1.運転の3要素
自動車教習所で運転を習った時に、「運転の3要素は、認知・判断・操作である」と教えられて、なるほどと納得した記憶があります。
運転者は、人や車などの状況、道路の状況、信号や標識・表示などの「情報」を「認知」し、「判断」して、「操作」するものだというわけです。
「認知」とは「見る、聞く、感じることによって情報をとらえること」で、「認識」という言葉でも表せます。
「判断」は「考えることで予知したり、予測したりすること」です。「操作」は言うまでもなく「ブレーキやアクセル、ハンドル操作などのこと」です。
2.第一次的現実(物理的世界)と第二次的現実(観念的世界)、現実と認識の違い
このように、「物理的世界の現実」(第一次的現実)は一つであっても、各人の「認識」に基づく「観念的世界の現実」(第二次的現実)は複数あります。
この「観念的世界の現実」(第二次的現実)は「人間の脳が作り出した虚像」とも言えます。
では「観念的世界の現実」(第二次的現実)は、何によってどのようにして形成されるのでしょうか?
(1)読書
(2)マスメディアなどの各種メディア
①テレビなどの映像
②新聞などの文字情報
③インターネット上の情報
(3)思索・思考などの知的活動
上記のような媒体やそれを通した脳の活動によって「観念的世界の現実」は形成されるのですが、(3)の知的活動(批判的思考など)を伴わないと、無批判に筆者の主張を受け入れる(正しいと信じ込む)読書や、テレビや新聞の伝えることを鵜呑みにする(真実と思い込む)過ちを犯します。
「世の中には嘘がいっぱい」ですが、テレビや新聞も、故意か過失かわかりませんが「ウソの情報」(虚報・誤報)を流すことがあります。
かつて評論家の大宅壮一が「テレビは低俗で一億総白痴化を招く」と警告しましたが、新聞も「不偏不党」ということはあり得ないことを認識しておく必要があります。
太平洋戦争開戦に関するルーズベルト大統領のプロパガンダ戦略や、いまだに日本のマスコミや教育界などに影響を及ぼしている戦後のGHQによる日本人洗脳プログラム、いわゆる従軍慰安婦問題や徴用工問題など捏造された虚偽情報の一人歩きなど枚挙にいとまがありません。
3.「仮想現実」と「拡張現実」
「観念的世界の現実」(第二次的現実)が存在することの端的な具体例に、「仮想現実」と「拡張現実」があります。
(1)「仮想現実」(バーチャルリアリティ、VR)
「仮想現実(Virtual Reality)」とは、「現物・実物(オリジナル)ではないが、機能としての本質は同じであるような環境を、ユーザーの五感を含む感覚を刺激することによって理工学的に作り出す技術およびその体系のこと」で、「人工現実感」とも訳されます。
アメリカ海軍の「VRパラシュート訓練機」や、アメリカ陸軍の「VR射撃訓練装置」、「VRゲーム」や「eスポーツ」などに利用されているばかりでなく、最近は「地方創生」にVRを利用する自治体が増えているようです。
VRを利用して「アバター」を使ったユーチューバーである「Vチューバー」まで現れています。
(2)「拡張現実」(オーグメンテッドリアリティ、AR)
「拡張現実(Augmented Reality)」とは、「人が知覚する現実環境をコンピュータによって拡張する技術およびその拡張された現実環境のこと」で、「拡張現実感」「強化現実」「増強現実」とも訳されます。
これはうまく使えばとても便利なものなので、今後ますます利用される機会が増えてくると思います。
4.「パラレルワールド」
「観念的世界の現実」(第二次的現実)と似て非なるものに、「パラレルワールド」があります。
「この現実とは別に、もう一つの現実が存在する」というアイデアは、SFにおいてポピュラーなアイデアとなっています。
(1)「パラレルワールド」とは
「パラレルワールド」(parallel world)とは、「ある世界(時空)から分岐し、それに並行して存在する別の世界」を指します。「並行世界」「並行宇宙」「並行時空」とも呼ばれます。
これは「異世界(異界)」「魔界」「四次元世界」とは異なり、我々の宇宙と同一の次元を持つ不思議な世界です。
(2)「パラレルワールド」を題材とした小説
ほかにもたくさんあると思いますが、私が読んだのは次の二つです。
①東野圭吾の「パラレルワールド・ラブストーリー」
これは映画化もされました。
②村上春樹の「1Q84」
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