今やスマホを持っている人の大半は、「LINE」という「無料通話アプリ」を利用しているのではないかと思います。
ところで、このLINEはYouTubeのように広告が表示されることもないのに、なぜ無料なのか不思議に思っている方も多いのではないでしょうか?
今回はそのカラクリやリスクをわかりやすくご紹介したいと思います。
余談ですが、私が初めて「LINE」という言葉を聞いたのは7~8年前に「ニュースウォッチ9」で、大越健介キャスターが井上あさひアナに「井上さんはふだん通話には何を使っていますか?」と質問したのに対し、「私はラインを使っています」と答えた時です。
しかも、そのイントネーションが、普通の抑揚のない「ライン」ではなく、「上・下・上」のように発音したのが印象的で、「何か訳の分からないものが出てきたな」と感じました。
1.LINEはなぜ通話料無料なのか?
簡単に結論を言うと、「電話回線を使わず、インターネット回線を使っているから」です。つまり、電話の基地局を通さない「インターネットやモバイルデータ通信」を使用した通話だからです。
ただし「電話代」がかからないだけで、「モバイルデータ通信料(パケット料)」はかかります。これは発信者側と受信者側の双方にかかっています。
なお、自宅の「Wi-Fi環境下」や、外出先でも「Wi-Fiスポット」や「モバイルWi-Fi」があればデータ通信量を一切消費すること はありませんので、「完全無料通話」と言えます。
LINEで無料通話をしすぎると速度制限にかかってしまう恐れがあるので注意が必要です。
そのほか、モバイルデータが接続できない場所では使用ができません。山奥や、トンネルの中のように電波が入りづらい場所では使用ができないようになってます。
2.LINEの儲けのカラクリとリスク
(1)LINEは、「基本無料」で「+アルファは有料」のビジネスモデル
インターネットやスマホのサービスでは、多くの人に使ってもらうために「基本部分の利用は無料」、「もっと便利に使いたい、自分好みに使いたいならその部分だけは有料で提供」といったビジネスの方法(ビジネスモデル)が多く存在し、成功を収めています。
LINEもこうした仕組みの1つで、LINEのアプリを無料で提供し、サービスを無料で使えるようにしています。サービスの基本的な機能、スタンプやアイテムのいくつかは無料で使えます。
もっとたくさん使いたい時は、有料で購入します。例えば人気のアニメのキャラクターやゲームの追加アイテムは、LINEの「コイン」を購入して手に入れます。
(2)多種多様な有料スタンプを提供
LINEの人気の理由の1つが、手軽に気持ちを伝えることができる「スタンプ」を使えることです。今の状況や気持ちにぴったりな表情豊かなキャラクター、かわいい動物や漫画の登場人物やゆるきゃら、芸能人など多種多様なスタンプが「スタンプショップ」で販売されています。
1セット100円程度のコインで手に入るため、いくつも欲しくなってしまうのがポイントです。話題のキャラクターやお笑い芸人のネタなども次々とスタンプとして登場します。1つ1つのスタンプセットは少額でも、多くの人が使えば大きな収入源になります。実は、このスタンプショップがLINEの大黒柱として運営を支えているのです。
(3)企業の宣伝ツールとしての活用
LINEには「公式アカウント」と呼ばれるアカウントがあり、自分の友だちと同じように友だちとして登録できます。この公式アカウントは、企業やブランドからの広告やメッセージを伝えるもので、広報や宣伝のツールとして活用されています。
企業は利用者とコミュニケーションするために、公式アカウントの登録にお金を払っています。これもLINEのビジネスの1つです。
(4)個人情報の提供リスク
LINEの特徴である「友だちの自動追加」機能は、現代版“金のなる木”とも言われる「個人情報を提供すること」です。
利用者のアドレス帳にある個人情報データを常時サーバーにアップし、照合を行なっているとも言われます。
LINEの実態は、ユーザーのアドレス帳にある「親類・友人・知人の個人情報」を、常時吸い上げている「個人情報流出アプリ」とも言えるわけです。
GoogleやAppleでも問題になりましたが、運営会社はLINEから吸い上げた膨大な個人情報をサーバーから抽出し、それらを欲しがっている企業に渡すことで、莫大な利益を得ているとも言われています。
LINEがユーザー端末から自動取得している個人情報データは以下の通りです。
(1)利用者本人の、電話番号、携帯電話用メールアドレス、プロフィール情報
(2)利用者のアドレス帳に登録されている、全ての電話番号、携帯電話用メールアドレス
(3)利用者本人の、Cookie、ログ(IPアドレス、ブラウザ種類等)、位置情報
なお、アドレス帳内に登録されている(2)以外の情報(氏名・写真・住所・生年月日・携帯用メアド以外のメールアドレス等)は取得していないとのことです。
3.LINEにまつわる事件・事故や問題点
①個人情報漏洩と対策不十分、セキュリティの脆弱性の問題
②性犯罪などの犯罪行為に利用
③韓国政府によるデータ傍受疑惑
④LINEアカウント乗っ取り事件
⑤いじめに利用
⑥台湾(中華民国)総統府によるLINE利用禁止措置(セキュリティに対する懸念が理由)
⑦未成年者によるサーバーへの不正アクセス
⑧LINEゲームの法令違反疑惑
⑨LINEゲーム払い戻し申請者の個人情報漏洩
⑩LINEスタンプ販売サービスの利用者データ漏洩
⑪韓国・中国などの国外委託会社のサーバーでの利用者データの保管・閲覧
⑫LINEオープンチャットでLINE本社が「サクラ投稿」を指示
4.LINEのあらまし
LINEはスマホやパソコン、タブレットなどで利用できるアプリケーションです。
LINEアプリのユーザー同士で、無料でメッセージのやり取り、音声通話、ビデオ通話ができます。これは国内、海外、通信キャリア問わずできるので、世界で230以上の国と地域で広まっているゆえんです。
日本では人口の約70%がLINEを利用しており(2021年3月末時点)、性別や年齢などにかかわらず、幅広く多くのユーザーに使われています。
LINEは、今の時代になくてはならない便利なコミュニケーションツールのひとつと言えます。
基本機能は次の通りです。
(1)トーク(通話)
音声通話、チャット、ビデオ通話をひっくるめたトーク機能です。
個人間、複数人問わずこれらを利用したコミュニケーションが楽しめます。
テキストやスタンプ、写真、動画、音声、位置情報、音楽といったコミュニケーションに必要なあらゆる情報がトーク画面でやり取りできます。
送金の依頼や贈り物の授受もこのトーク画面でできます。
(2)タイムライン
「タイムライン」とは本来「時刻表、スケジュール表、行動計画」という意味ですが、LINEでは個人やグループのトーク画面のことです。
自分から相手に話しかけたり、友だちの投稿をチェックしたり、ストーリー機能を使って今の状況をシェアできたりもします。
(3)ホーム
家のマークを押すとそこがホームタブです。
ここで自分の友だちリストを見られます。また公式アカウントやLINEのスタンプ、着せかえといったサービスコンテンツにアクセスできます。
(4)ニュースタブ
日本ならLINE NEWSがみられます。ヤフーニュースと同じようなイメージです。
要は、ニュースがLINEアプリで見られるから、ブラウザやほかのニュースアプリ開く必要ないというものです。
(5)LINEウォレット
「ウォレット(wallet)」とは財布のことです。
LINE Payの利用や、モバイル送金、決済などを行う機能がこちらです。
それだけではなく、お金関係の管理も可能。LINE家計簿、LINEほけん、スマート投資といった機能が用意されています。
(6)スタンプ
スタンプ機能はLINEのトーク機能をより発展的なものにしてくれる点で、結構大きなインパクトがあります。
既存のキャラクターをスタンプにしたり、自分でイラストを書いて販売したりと、ビジネスの場にもなるほどです。
(7)着せかえ
LINEのトークルームやタイムラインなど、LINE全体のデザインを変更できる機能です。
(8)サービス
ショッピングやスマート投資、ほけんなどのサービスが利用できます。
5.LINEの運営会社
「LINE」は、韓国最大のインターネットサービス会社「NHN」の日本法人「NHN Japan」が、独自に開発し、日本国内で生み出された無料通話アプリです。
開発の経緯は、「NHN JAPAN」の親会社「NHN」の創業者である李海珍(イ・ヘジン)が、家族や親戚と連絡を取ろうとする東日本大震災被災者の映像を見て発案し、自ら日本に滞在して開発プロジェクトを推進したものです。
現在「LINE株式会社」はソフトバンクグループ傘下の「Zホールディングス株式会社」の完全子会社です。