「新型コロナウイルス肺炎」の有効な治療薬やワクチン開発はいつごろになるか?

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コロナウイルス

2020年1月に入ってからは、ずっと「新型コロナウイルス肺炎」(COVID-19)の世界的感染拡大抑止のための対応に精一杯で、エボラ出血熱対策どころではありません。エボラ出血熱ワクチンの開発も大切でしょうが、今は「新型コロナウイルス肺炎」ワクチン開発の方が最優先課題だと私は思います。

1.「新型コロナウイルス肺炎」の治療薬やワクチンの開発状況

現在「パンデミック」となった「新型コロナウイルス肺炎」が恐れられている最大の原因は、「空気感染・飛沫感染すること」よりも「有効な治療薬やワクチンがまだ開発されていない」ということです。

2020/3/6付の「Answers News」によれば現在は次のような状況です。

(1)治療薬

米国の臨床試験登録サイト「CrinicalTrials.gov」によると、現在、COVID-19を対象に臨床試験が行われているのは、▽抗ウイルス薬レムデシビル(米ギリアド・サイエンシズ)▽抗HIV薬ロピナビル/リトナビル配合剤(米アッヴィの「カレトラ」)▽抗インフルエンザウイルス薬ファビピラビル(富士フイルム富山化学の「アビガン」)――など。日本では、国立国際医療研究センターの研究班による観察研究として、これら3種類の薬剤の投与が行われています。

日本感染症学会は2月26日、3種類の薬剤のうち国内で承認されているカレトラとアビガンをCOVID-19に使用する際の留意点などをまとめた暫定的な指針を公表しました。指針によると、抗ウイルス薬の投与対象となるのは、50歳以上の患者と、糖尿病、心血管疾患、慢性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患のある患者、免疫抑制状態にある患者など。いずれも、低酸素血症を発症して酸素投与が必要になった段階で投与を検討するとしています。

レムデシビル(米ギリアド)

ギリアドは2月26日、COVID-19を対象にレムデシビルの臨床第3相(P3)試験を始めると発表しました。試験は、重症患者400人を対象としたものと、中等症患者600人を対象としたものの2本で、アジアを中心に診断例が多い世界各国の医療機関が参加。いずれも、レムデシビルを5日間または10日間、静脈内投与し、発熱と酸素飽和度を指標として有効性を評価します。

レムデシビルはすでに、中国(中日友好医院主導)と米国(国立アレルギー・感染症研究所=NIAID主導)で臨床試験が始まっており、ギリアドによる企業治験はこれらの試験データを補完するものになるとみられています。中国での試験は4月に結果が得られる見通しです。

レムデシビルはもともと、エボラ出血熱の治療薬として開発されていた核酸アナログ。これまでの研究では、コロナウイルスが引き起こすMERS(中東呼吸器症候群)やSARS(重症急性呼吸器症候群)への効果が示唆されており、ギリアドは2月3日に発表した声明で「今回の新型コロナウイルス以外のコロナウイルスで得られているデータは希望を与える内容だ」としています。

ロピナビル/リトナビル配合剤(米アッヴィの「カレトラ」)

ロピナビルはウイルスの増殖を抑えるプロテアーゼ阻害薬で、リトナビルはその血中濃度を保ち、効果を増強する役割を果たします。これらの配合剤であるカレトラは、日本では2000年にHIV感染症に対する治療薬として承認されています。

In vitroや動物モデルを使った研究でMERSへの有効性が示されており、COVID-19に対してもバーチャルスクリーニングで有効である可能性が示唆されています。CrinicalTrials.govによると、COVID-19患者にロピナビル/リトナビルを投与する複数の臨床試験が中国で実施中です。

ファビピラビル(富士フイルム富山化学の「アビガン」)

アビガンは2014年に日本で承認された抗インフルエンザウイルス薬。新型インフルエンザが発生した場合にしか使用できないため、市場には流通していませんが、新型インフルエンザに備えて国が200万人分を備蓄しています。

アビガンは、インフルエンザウイルスの遺伝子複製酵素であるRNAポリメラーゼを阻害することでウイルスの増殖を抑制する薬剤。COVID-19を引き起こす新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスと同じRNAウイルスであることから、効果を示す可能性があると期待されています。ただし、動物実験で催奇形性が確認されているため、妊婦や妊娠している可能性がある人には使うことができず、妊娠する可能性がある場合は男女ともに避妊を確実に行う必要があります。

その他

ChiCTRによると、これら3つの薬剤以外にも、▽抗HIV薬ダルナビル/コビシスタット▽抗マラリア薬クロロキン▽抗ウイルス薬インターフェロン▽抗インフルエンザウイルス薬オセルタミビル▽同バロキサビル▽ステロイド薬メチルプレゾニドロン▽抗IL-6受容体抗体トシリズマブ――などを使った臨床試験が中国で行われています。

武田薬品工業は3月4日、COVID-19の治療薬として、原因ウイルスSARS-CoV-2に対する高免疫グロブリン製剤「TAK-888」の開発を始めると発表しました。TAK-888は、回復した患者の血漿から採取した病原体特異的な抗体を濃縮したもので、これを投与すると患者の免疫系の活性が高まり、回復の可能性が高まることが期待できるといいます。

武田はTAK-888の開発に向けて世界各国の規制当局と協議を進めており、ほかにもCOVID-19に有効な薬剤がないか、発売済みの製品や新薬候補ライブラリを探索しています。

米ファイザーも新たな抗ウイルス薬の開発を進めている模様。ロイター通信は3月2日、米ファイザーがSARS-CoV-2に抗ウイルス活性を示す化合物を特定し、第三者機関と化合物の評価を進めていると報じました。ほかにも、米リジェネロン・ファーマシューティカルズが、COVID-19に対する抗体医薬の開発に向けて米保健福祉省(HHS)と提携。米アルナイラム・ファーマシューティカルズも3月4日、米ビル・バイオテクノロジーとSARS-CoV-2を標的とするsiRNAを開発すると発表しました。

中国の臨床試験登録サイト「Chinese Clinical Trial Registry(ChiCTR)」によると、中国でCOVID-19に対するファビピラビルの臨床試験が複数行われています。

(2)ワクチン

COVID-19を予防するワクチンの臨床試験も近く始まる見通しです。米バイオベンチャーのモデルナは2月24日、開発中のコロナウイルスに対するワクチン「mRNA-1273」の治験薬を初めて出荷したと発表しました。米NIAIDが近くP1試験を始める予定です。

CrinicalTrials.govに登録されている情報によると、mRNA-1237のP1試験は18~55歳の健康な男女45人を対象に実施。ワクチンを4週間隔で2回投与し、安全性と免疫原性を評価します。

新型コロナウイルスに対するワクチンの開発をめぐっては、ノルウェーに本部を置く「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」が、▽米イノビオ▽豪クイーンズランド大▽モデルナ・NIADI▽独キュアバック――とパートナーシップを締結。英グラクソ・スミスクライン(GSK)は、アジュバント技術の提供でCEPIの開発プログラムに協力しています。GSKはさらに、中国のクローバー・バイオファーマシューティカルズとも研究協力に合意。クローバーにもアジュバント技術を提供し、同社創製のワクチンの大量生産をサポートします。

このほか、仏サノフィや米ジョンソン・エンド・ジョンソンなどもCOVID-19に対するワクチンの開発を表明。ロイター通信は3月5日、ファイザーが独ビオンテックとワクチンの共同開発を検討していると報じました。

日本企業では、アンジェスが3月5日、大阪大とDNAワクチンを共同で開発すると発表。タカラバイオも製造で協力します。アイロムグループのIDファーマは、中国・復旦大付属上海公衆衛生臨床センターとワクチンの共同開発で合意。両者はセンダイウイルスベクターを使った結核ワクチンを共同開発しており、その経験を生かして新型コロナウイルスに対するワクチンの開発を目指すといいます。

2.「エボラ出血熱」ワクチン開発状況

(1)厚生労働省と国立感染症研究所(感染研)が病原体輸入を決定

2019年5月30日の産経新聞の報道によれば、厚生労働省と国立感染症研究所(感染研)はエボラ病原体の輸入を正式表明しました。「早ければ2019年夏にも輸入」とのことでした。

厚生労働省と国立感染症研究所(感染研)は30日、エボラ出血熱など致死率の高い1類感染症の病原体の輸入方針について、保管先となる感染研村山庁舎(東京都武蔵村山市)で開かれた関係者会議で正式に表明した。早ければ今夏にも国内に持ち込まれる見込みだが、輸入経路や日時は事前に公表しない。

輸入対象となっているのは、国外で感染例があるエボラ出血熱、南米出血熱、ラッサ熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病の5種類の感染症の病原体。2020年東京五輪・パラリンピックを控え、国内で発生した場合の検査体制の強化を図る。

日本ではこれまで人工的に合成した病原体の一部を使ってきたが、実際の病原体を使うことで、回復具合を判断する検査法の確立が可能となる。

保管場所となる感染研村山庁舎のBSL-4施設は、高性能フィルターを備えるなど高度な安全性が確保されている。厚労省と感染研は昨年11月、武蔵村山市側に輸入に向けた考えを提示。これまで住民向けの説明会や見学会などを実施しており、一定の理解を得られたとみている。

関係者会議には、厚労省、感染研のほか、地元住民の代表らが参加。地元側から「引き続き透明性を高めてほしい」などの要望が出たという。厚労省は今後、実際の輸入に向けた対応に入る意向だが、「要望があれば、今後も説明会などを実施していきたい」としている。

2019年12月に国立研究開発法人「日本医療研究開発機構」が、「東大開発のエボラワクチンの第Ⅰ相臨床試験を開始」と発表しましたので、もうすでに輸入されたのでしょうか?

アフリカのコンゴ民主共和国では、2018年8月に発生したエボラ出血熱の流行は1年6カ月経ってもまだ終息していないようです。「国境なき医師団」などが治療に当たっており、ワクチン投与などで懸命な治療が続けられているそうです。エボラ出血熱の致死率は60%~70%と言われています。

しかし、エボラ出血熱は空気感染・飛沫感染はしないので、感染者の血液や体液に触れなければ感染の心配はありません。つまり、エボラ出血熱を治療している医師団やボランティアが感染する恐れが大きいということです。「新型コロナウイルス肺炎」のように空気感染・飛沫感染することはないので、日本での大流行を懸念する必要はありません。

(2)エボラ出血熱の病原体輸入の必要性はあったのか?

エボラ病原体

私は専門家ではないので、科学的根拠は持ち合わせませんが、エボラ出血熱などの病原体を輸入しておかないと、患者が発生した時に対応できないのでしょうか?

エボラ出血熱の症状がどのようなものかを医師が詳しく把握した上で、現時点で使用できる治療薬などを輸入しておけば済む話ではないのでしょうか?

現在、日本国内で患者が発生していないのであれば、出入国時の「防疫体制」の徹底的な強化によって、水際で防ぐ作戦では無理なのでしょうか?

(3)エボラ出血熱の病原体の安全対策は大丈夫か?

2019年7月1日の産経新聞の報道では、「根本匠厚生労働大臣が武蔵村山市長と会談し、一定の理解を得た」とのことです、

2020年の東京五輪・パラリンピック対策とのことですが、「テロの危険性大震災の可能性」も否定できません。

その場合、テロリストに病原体が奪われて「細菌兵器」というのか「生物化学兵器」として使われ、手の施しようがなくなる危険はないのでしょうか?

現にアフリカのコンゴ民主共和国では、エボラ出血熱による死者が2,000人を超えて、感染が拡大している上、治療に当たる医師や医療施設が襲撃を受けて、封じ込め対策は難航しているとの報道もあります。

あるいは自然災害で「東日本大震災」並みかそれ以上の大災害が発生した場合、その病原菌が流出して被害が拡散する恐れはないのでしょうか?

(4)流行地域からの帰国者・入国者に対する防疫検査の厳格化が先決ではないか?

コンゴ民主共和国などのエボラ出血熱が流行している地域からの帰国者・入国者については、今後極めて厳格な防疫検査を実施し、水際でエボラ出血熱の国内での感染・流行を阻止するのが第一ではないかと私は思います。通常7日程度の潜伏期間があるので、特に熱があったり体調不良の人については、慎重に見極める必要があるでしょう。