結婚記念の写真を、結婚式や披露宴よりも前に撮影する場合に使う「前撮り」は聞いたことがありましたが、最近コンビニやドラッグストアの食品コーナーで「前取りでお願いします」や「てまえどりにご協力ください」という「前取り(手前取り)」のPOP表示をよく見かけるようになりました。
1.環境省と農水省主導の「てまえどり」施策とは
(1)報道発表資料
環境省と農水省は令和3年6月1日に、日本フランチャイズチェーン協会とともに次のような発表を行いました。
環境省は、食品ロス削減に向け、消費者庁、農林水産省、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会と連携して、小売店舗が消費者に対して、商品棚の手前にある商品を選ぶ「てまえどり」を呼びかける取組を、本年6月1日(火)より行います。<消費者庁、農林水産省、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会同時発表>
(2)背景と取り組み内容
背景と取り組み内容については、次のように説明されています。
①背景
食品産業から発生する食品ロス削減のためには、食品事業者における食品ロス削減の取組のみならず、食品小売店舗等を利用する消費者に、食品ロス削減への御理解、御協力をいただくことが不可欠です。
消費者の日頃のお買い物の中で、購入してすぐに食べる場合に、商品棚の手前にある商品等、販売期限の迫った商品を積極的に選ぶ「てまえどり」については、販売期限が過ぎて廃棄されることによる食品ロスを削減する効果が期待されます。
②取組内容
小売店舗における、消費者への「てまえどり」の呼びかけを促進するため、消費者庁、農林水産省、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会(以下「協会」という。)と連携して、商品陳列棚に掲示する啓発資材を作成しました。
また、協会加盟のコンビニエンスストア4社にて、作成した啓発資材を活用し、買い物をされる方へ周知を行うほか、ホームページ上にて啓発資材のデータの提供を行います。
<参加企業>※五十音順
セブン-イレブン、ファミリーマート、ミニストップ、ローソン<啓発物の掲示>
2021年6月1日(火曜日)より順次、協会加盟コンビニエンスストアにて展開予定
2.「食品ロス削減」が目的なら「値引き販売」を推奨すべき
「食品ロス」については、以前から問題になっています。
しかし「食品ロス削減」が目的なら、業者に「予約販売」や「タイムセールなどの値引き販売」を推奨すべきです。
消費者は、「すぐに食べるもの」だけを買うわけではありません。消費者は暇人ではなく、サラリーマンなど忙しい人が多いので、朝に夜に食べる食品を買っておく場合もありますし、数日後に食べる食品を購入することもあります。むしろ「すぐに食べるもの」を買う場合の方が少ないのではないでしょうか?
本来消費者(客)は、「鮮度の良い商品」「製造されたのが新しい商品」「消費期限の長い商品」を好んで選びます。もちろん、そんなことを気にしないで手前の商品を手にする方もいます。
しかし、手前から取ろうが奥から取ろうが客の自由だということです。
3.そもそも日本の「食品の過剰生産と過剰廃棄の悪循環」を改めるべき
私はこの問題の根本原因は、食品だけでなく、書籍や衣料品でも同様ですが、「過剰生産と過剰廃棄の悪循環」だと思っています。
池田勇人首相の掲げた「所得倍増計画」を受けた形で「消費は美徳」という言葉が1959年の流行語大賞になりました。大量消費社会の到来を象徴するような言葉です。
しかし、そろそろ曲がり角に来ているような気がします。「適量生産・適量消費・少量廃棄社会」を目指すべき時期なのではないかと思います。
4.「てまえどり」は「レジ袋有料化」と同様に消費者に負担を強いるだけで片手落ち
2年前から実施されている「レジ袋有料化」という愚策がありますが、これなどは「消費者いじめ」の典型で、「地球環境保護」には全くなっていないと私は思います。「スプーン有料化」に至っては論外です。
「SDGs」(持続可能な開発目標)という大義名分も、私は信用できないと思っています。岸田首相は、「地球温暖化対策」や「カーボンニュートラル(脱炭素化)」などを当然のことのように唱え、産業界も「電気自動車推進」などに注力しているようですが、これらは「莫大な税金の無駄遣い」で、消費者に過大な負担を強いるものだということを、多くの国民は知りません。日本の政治家もそれを言いません。
これはGHQが日本人を洗脳するために行ったWGIPのような「プロパガンダ」です。
2018年にノーベル医学・生理学賞を受賞した京都大学の本庶佑(ほんじょたすく)教授も「世の中には嘘が多い」と述べていましたが、このような「壮大な嘘」には、案外多くの国民も騙されてしまうものです。