二十四節気の季節感溢れる季語と俳句 初夏:立夏・小満(その4)行事

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小満

前回まで、「ホトトギス派の俳人」16人(「ホトトギス派の俳人(その16)杉田久女:虚子との確執で有名な悲運の女流俳人」など)と「ホトトギス派以外の俳人」14人(「ホトトギス派以外の俳人(その14)長谷川かな女:大正期を代表する女流俳人」など)を紹介する記事を書いてきました。

ホトトギス派は、「客観写生」「花鳥諷詠」「有季定型(季語のある定型俳句)」を旨としましたが、それに飽き足りない俳人たちが、「無季俳句」や「自由律俳句」などを標榜する「新興俳句運動」を起こしました。

私は、「新興俳句運動」を全否定するつもりはなく、それなりの歴史的意義はあったと思います。しかし、私はやはり季節感溢れる「季語」を詠み込んだ「定型俳句」に魅力を感じます。

そこには、現代の私たちの生活から失われつつある(一部はほとんど失われた)季節感が溢れており、「懐かしい日本の原風景」を見るような気がします。

そこで今回から、「二十四節気」に沿って季節感あふれる「季語」と俳句をご紹介していきたいと思います。

なお、前に「季語の季節と二十四節気、旧暦・新暦の季節感の違い」という記事も書いていますので、ぜひご覧下さい。

季語の季節対比表

二十四節気図

「夏」は旧暦4月~6月にあたり、「初夏」(立夏・小満)、「仲夏」(芒種・夏至)、「晩夏」(小暑・大暑)に分かれます。

今回は「初夏」(立夏・小満)の季語と俳句をご紹介します。

・立夏(りっか):新暦5月5日頃です。「四月節」 夏の気配が感じられます。

・小満(しょうまん):新暦5月20日頃です。「四月中」 すべてのものが次第にのびて天地に満ち始めます。

5.行事

(1)あ行

・愛鳥週間(あいちょうしゅうかん):アメリカのバードデーに倣って1947年より始められた。

戦中戦後の山林伐採は大洪水を呼び、住みかを失った鳥は激減し全国的に病害虫の大発生を見ることになった。これに伴い荒れた山林を保護し山野の緑化運動の推進とともに、鳥類の保護運動も始められた。現在では5月10日から16日までの一週間をいう

愛鳥週間 手を差しあげて 鳩放つ(尾形嘉城)

愛鳥週間 人も緑に まみれゐて(角田独峰)

愛鳥の 週に最たる 駝鳥立つ(百合山羽公)

・愛鳥日(あいちょうび):愛鳥週間の一日

どの鳥も 虫くはへ飛ぶ 愛鳥日(島崎秀風)

庭先に 図鑑持ち出す 愛鳥日(松沢佐多子)

庭雀 日すがら去らず 愛鳥日(加古宗也)

・葵鬘(あおいかずら):葵祭で使われる髪飾り

・葵祭(あおいまつり):京都の下賀茂神社(賀茂御祖神社)と上賀茂神社(賀茂別雷神社)で、陰暦の四月の中の酉の日(現在は5月15日)に行なわれる例祭。

京都三大祭(葵祭・祇園祭・時代祭)の一つ。平安時代の貴族の装いをした人たちが京都御所から上賀茂神社まで練り歩く

葵祭

髭つらに 葵かけたる 祭かな(高桑蘭更)

地に落(おち)し 葵踏み行く 祭かな(正岡子規)

・晶子忌(あきこき):5月29日、与謝野晶子(1878年~1942年)の忌日。

晶子は明治・大正の歌人・詩人。処女歌集「みだれ髪」で近代日本文学史上に浪漫主義 詩歌の位置を確立。鉄幹と結婚後も明星派の歌人として活躍。日露戦争の反戦歌「君死にたまふことなかれ」は有名。源氏物語の翻訳や評論活動にも熱心であった。白桜忌

小説の 冒頭夜空 晶子の忌(神尾久美子)

晶子忌の 蛍も恋の 火を育て(井沢正江)

口紅の 汗かいてゐる 晶子の忌(黛まどか)

・秋志(あきざし):陰暦9月23日、大原神社の例祭に参詣すること

・浅草祭(あさくさまつり):5月16〜18日、東京台東区の浅草神社の祭礼(三社祭)のこと。

江戸第一の荒祭という伝説の神輿渡御で知られる。百余基の町内神輿が出揃うのは圧巻。他に「びんざさら舞」の奉納など。東京に夏を呼ぶ祭である

浅草祭

ただでさへ 人出浅草 祭なる(松尾緑富)

・足揃(あしぞろえ):顔見世の別称

・甘酒祭(あまざけまつり):大原志の別称。祭礼のとき甘酒を神前に供えたことから

・あやめ人形(あやめにんぎょう):5月5日の端午の節句のとき飾る人形の一つ

・菖蒲の節会(あやめのせちえ):端午の別称

・菖蒲の日(あやめのひ):端午の別称

風さけて 入り日涼しき 菖蒲の日(加賀千代女)

四辻や 匂ひ吹きみつ あやめの日(高桑闌更)

・家康忌(いえやすき):陰暦4月17日、江戸幕府初代将軍徳川家康(1543年~1616年)の忌日

・出雲大祭礼(いずもだいさいれい):5月14〜16日、島根・出雲大社の出雲祭のこと

・出雲祭(いずもまつり):5月14日~16日、島根県大社町の出雲大社の例祭。

的射祭、流鏑馬、田植舞、出雲神代神楽等、様々な催しがある。縁結びの神として古くから人々の信仰篤く、また八百万の神々の集う大社とあって、全国からの参詣者が多い

出雲大社の出雲祭

・伊勢神御衣祭(いせかんみそのまつり):5月と10月の14日、伊勢の皇大神宮(内宮)で、絹布の和妙と麻布の荒妙を奉納する祭。

絹布は神服織機殿神社で、麻布は神麻続機殿神社で(松坂市)、地元の奉仕団によって織られる。いわば、神々の更衣にあたるもの

・犬養忌(いぬかいき):5月15日、大正・昭和初期の政治家犬養毅(1855年~1932年)の忌日

・今宮祭(いまみやまつり):5月5日から15日まで、京都市・今宮神社で行われる祭礼

・今宮祭御出(いまみやまつりおいで):今宮祭の神輿がお旅所(たびしょ)に出御すること

・宇治祭(うじまつり):5月8日より一ヵ月間、宇治市・宇治神社で行われる祭礼。

上社と下社両社の神輿が御旅所にとどまり、6月8日に還幸する。布張りの三枚笠と松の枝をつけた大幣を捧げてを巡行するが、終わると大幣を倒して、宇治橋より川に投げ込む。そのほかに傘鉾もある

・内幟(うちのぼり):幟を家の中に立てること

・団扇撒(うちわまき):5月19日奈良・唐招提寺で行なわれる法要(梵網会)。

鎌倉時代の中興開山の祖、覚盛(かくじょう)上人の命日に行われる。上人は蚊に刺されても「血を与えるも仏の道」と追い払わなかったという。命日に団扇を献じたのが始まり。参詣人にハート形の団扇を撒く。団扇は厄除けになるという

・卯月八日(うづきようか):陰暦4月8日、灌仏会の日に各地の山の神社で行われる山の神を祀る祭礼

・閻魔堂狂言(えんまどうきょうげん)/閻魔堂大念仏(えんまどうだいねんぶつ):京都市上京区の引接寺・千本閻魔堂で5月1日から3日にかけて営まれる大念仏法要の狂言。

壬生大念仏、嵯峨大念仏とともに京都三念仏といわれる。一説には恵心僧都源信の弟子、定覚上人が始めた踊躍念仏が起源とも。他の二つの大念仏との違いは科白があるところ

からくりの 鉦(かね)うつ僧や 閻魔堂(川端茅舎)

・扇流し(おうぎながし):三船祭に行なわれる行事で、献じられた扇を川中に流すこと

扇流し

・扇の拝(おうぎのはい)/扇を賜う(おうぎをたまう):孟夏の旬の宴の後、内侍を通じ扇を公卿に下賜したこと

・大矢数(おおやかず):陰暦四、五月の頃の晴天の日に京都・三十三間堂で行われた弓矢の行事(弓の腕競べ)。

実際には六十五間ほどの廊下を射通し、その本数を競った。暮れ六つから一昼夜にわたる過酷な弓較べで、江戸時代盛んに行なわれた

大矢数

大矢数 弓師親子も まゐりたる(与謝蕪村)

夕ぐれは あらしと成りぬ 大矢数(其調)

堂形や 今ぞさかえん 大矢数(椎本才麿)

天下矢数 二度の大願 四千句なり(井原西鶴)

・大原志(おばらざし):5月3日、京都府福知山市三和町大原にある大原神社の大祭に参拝すること。

安産信仰をつかさどる。神前の清流の辺には今でも大正の初期まで使われていた産屋が立っている

・御柱里曳(おんばしらさとびき):諏訪の御柱祭のこと

・御柱祭(おんばしらまつり):長野県下で式年に行われる神事。諏訪大社のものが有名である。

諏訪大社のものは、寅年、申年の5月4日、5日に行われる。神山から切り出した樅の大木の御柱を、四宮の社殿の四隅に建てる。引き綱をなう綱打ち、御柱の伐採、山出し、御柱休め、里曳き、曳き建てで終わる。樅の木の御柱の上に人が乗り山坂をすべり下ろす、山出しは、勇壮である

御柱祭

みはらしや 長刀持の 顔の汗(高桑蘭更)

(2)か行

・懸葵(かけあおい):葵祭で社殿や御簾に葵を懸けること

懸葵 しなびて戻る 舎人(とねり)かな(野村泊月)

牛の眼の かくるるばかり 懸葵(粟津松彩子)

・挿頭草(かざしぐさ): フタバアオイの別名。葵祭(賀茂祭)でかざしにするところから

・勝馬(かちうま):賀茂競馬で勝った方の馬

・かぶと人形(かぶとにんぎょう):武者人形の別称。端午の節句に飾る武者の人形のこと。江戸期は、戸外に幟と共に立てる外飾りが主であったようだが、今では室内に飾ることが多い

・紙幟(かみのぼり):5月の節句に用いる紙製の幟

笈 (おひ) も太刀も 五月にかざれ 紙幟(松尾芭蕉)

・賀茂競馬(かもけいば):5月5日、京都・上賀茂神社社前の馬場で行なわれる競馬。

もとは陰暦五月五日に、天下太平や五穀豊穣祈願のために行われた。騎手は冠をかぶり、袴の腰に菖蒲を挿し、古式ゆかしい競技である。競べ馬。きそひ馬。足揃え

埒(らち)明けて 目の塵払ふ 競馬かな(加藤暁台)

四囲の山 あをあをとある 競馬かな(鈴木花蓑)

翠簾(みす)越しの 誰に落ちけん くらべ馬(大島蓼太)

我恋ふる 月毛のきみや 競馬(素丸)

競べ馬 顔見えぬまで 誉めにけり(炭太祇)

落ちたがる ことに見立つや 足揃へ(服部嵐雪)

・賀茂葵(かものあおい):二葉葵の別称。初夏五月頃、淡い赤紫の小花をつける。葵祭で使う葵のこと

・賀茂祭(かものまつり):葵祭の別称。5月15日に行われる京都の上賀茂神社、下鴨神社の大祭。

平安時代の宮中では祭といえばこのまつりだった。御所から参向する勅使らの冠を、葵桂で飾ったことから葵祭ともいい、石清水八幡宮の南祭に対し北祭ともいう

加茂衆の 御所に紛るる 祭かな(黒柳召波)

草の雨 祭の車 過ぎてのち(与謝蕪村)

白髪に かけてもそよぐ 葵かな(小林一茶)

呉竹(くれたけ)の よよにあふひの 祭かな(三浦樗良)

追ひ戻す 坊主が手にも 葵かな(炭太祗)

牛の嗅ぐ 舎人が髪や 葵草(蝶夢)

・賀茂御蔭祭(かもみかげまつり):5月12日、京都・賀茂両社で葵祭りに先立って行われる神事

・傘御幣(からかさごへい):宇治祭で使われる傘の上にほこなど取りつけたもの

・傘鉾(からかさぼこ/かさぼこ):宇治祭で使われる傘の上にほこなど取りつけたもの

・神田祭(かんだまつり):東京の神田明神の祭礼で、江戸三大祭りのひとつ。

大祭は二年に一度、五月の第二日曜をはさんで、約一週間行われる。昔は旧暦の九月十五日、関が原で徳川家康が勝利を収めた日にちなんで行われた。五月の第二土曜日に時代行列といわれる神幸祭、翌日曜日に約九十基の神輿の宮入がある。神輿かきが売り物の威勢のいいの祭りである

神田祭

打ち晴れし 神田祭の 夜空かな(高浜虚子)

・神衣祭(かんみそのまつり/かんみぞのまつり):5月と10月の14日、伊勢の皇大神宮(内宮)で、絹布の和妙と麻布の荒妙を奉納する祭。

絹布は神服織機殿神社で、麻布は神麻続機殿神社で(松坂市)、地元の奉仕団によって織られる。いわば、神々の更衣にあたるもの

・きおい馬(きおいうま):賀茂競馬の馬

・鬼子母神参(きしぼじんまいり/きしもじんまいり):5月16日から18日まで、大津市の園城寺(通称三井寺)にある護法善神堂に祀られる鬼子母神の縁日。

鬼子母神は千人の子があったが、人の子をとって食っため仏に懲らしめを受け、以後改心して子供の守護者となった。安産、子育てを祈り千個の団子を供える

・きそい馬(きそいうま):賀茂競馬の馬

・北祭(きたのまつり/きたまつり):賀茂祭(葵祭)の別称

・清水地主祭(きよみずじしゅまつり):地主祭に同じ

・競べ馬(くらべうま):5月5日、京都・上賀茂神社社前の馬場で行なわれる競馬

くらべ馬 おくれし一騎 あはれなり(正岡子規)

・久里浜黒船祭(くりはまくろふねまつり)/黒船祭(くろふねまつり):7月14日、神奈川県久里浜で行われる黒船祭

嘉永6年(1853年)、下田にペリー提督率いる米国海軍が日本との通商を求めて来航。幕府の鎖国政策に終止符が打たれた。これを記念して昭和9年(1934年)に「黒船祭」が始まった

・夏書(げがき):「夏安居(げあんご)」(4月16日から90日間)の期間中、写経は大事な部門で、これを夏書という。寺院に限らず、在家でも読経、写経を行い、安居の終わる解夏を待って、先祖供養のため寺に納経する

傾城の 夏書やさしや 仮の宿(宝井其角)

月と日は 男の手なる 夏書かな(炭 太祇)

たもとして 払ふ夏書の 机かな(与謝蕪村)

たらちねの ゆるさぬ恋の 夏書かな(高井几菫)

夏書すや ねみだれ髪を かき上げて(蝶夢)

人の為に 枕しながら 夏書かな(吉分大魯)

よそ目には 夏書と見ゆる 小窓哉(小林一茶)

・鯉幟(こいのぼり):鯉の形に作った幟で、5月5日の端午の節句に男の子の健康と出世を願って立てるもの。江戸時代からのならわし。明治時代の末頃までは紙製であったが、今はほとんど布製である

鯉幟 岳麓の田植 始まれり(渡辺水巴)

・五月人形(ごがつにんぎょう):武者人形の別称

・五月の節句(ごがつのせっく):端午の節句に同じ

・五月場所(ごがつばしょ):大相撲夏場所のこと

・御昇天(ごしょうてん):復活祭から四十日めの木曜日。復活したキリストが昇天したことを記念する

・こどもの日/子供の日(こどものひ):5月5日。昭和23年(1948年)に新しく制定された国民の祝日の一つ。端午の節句の日とした。子供の人格を尊重し、その幸福を図る日

・駒牽(こまびき):平安時代,毎年四月末、五月の騎射に先立って、天皇が左右馬寮・諸国の馬を御覧になる儀式

・御霊の御出(ごりょうのおいで):京都・上御霊、下御霊両社の祭礼において、みこしが御座所に鎮座する間をいう

・御霊の神事(ごりょうのしんじ)/御霊祭(ごりょうまつり):5月1日から18日まで、京都市の上御霊神社と下御霊神社で疫神をなだめるために行なわれる祭礼。

両社は平安遷都の折、非業の死を遂げた早良親王らの霊を慰めるために営弁された。5月1日から18日までそれぞれの神社では、神輿大前の儀から神輿渡御まで、神幸祭から還幸祭までが執り行われる

羽織着て 染屋が御霊 祭かな(子角)

(3)さ行

・雑賀踊(さいがおどり):天正五年(1577年)、織田の軍勢に勝利した雑賀衆が狂喜して踊ったのに由来し、和歌祭に奉納する

初蝉は 雑賀踊の ささらかな(久保田春耕)

・雑賀祭(さいがまつり):和歌祭の別称。5月17日に和歌山県和歌山市の浦東照宮で行われる祭

・朔太郎忌(さくたろうき):5月11日、大正・昭和初期の詩人萩原朔太郎(1886年~1942年)の忌日。

朔太郎は室生犀星と詩誌「感情」を出版。その後「月に吠える」「青猫」を出版。近代口語自由詩を完成させた

・座敷幟(ざしきのぼり):幟を家の中に立てること

・五月鯉(さつきごい):鯉の形に作った幟で、5月5日の端午の節句に男の子の健康と出世を願って立てるもの

・五月幟/皐月幟(さつきのぼり):端午の節句に男子の出生、健康を祝って立てるもの

・傘雨忌(さんうき):5月6日。作家・劇作家・俳人の久保田万太郎(1889年~1963年)の忌日。名称は久保田の雅号にちなむ。「万太郎忌」とも言う

・三社祭(さんじゃまつり):毎年5月中旬に行われる東京都台東区浅草の浅草神社の例大祭。

かつては観音祭・船祭・示現会に分かれていたが、1872年から5月17・18日に行われるようになった。現在は5月第3週の金・土・日曜日に行われる。名前は浅草神社の旧名である三社大権現社または三社明神社(檜前浜成・竹成の兄弟と土師真中知の3人を祀ってあるためこの名がある)に因む。正式名称は「浅草神社例大祭」

・さんばい送り(さんばいおくり)/さんばい降し(さんばいおろし)/さんばい待ち(さんばいまち)/さんばい祭(さんばいまつり):田植え初めに行なわれる田の神降しの行事。さんばいは田の神のこと

・さんやれ祭(さんやれまつり):八瀬祭の別称

・地主祭(じしゅまつり):5月5日、京都市の清水寺境内にある地主権現の祭礼。

千年ほど前、円融天皇の行幸の際、勅命によって行われたのが始まり。神職を先頭に白川女、武者行列や稚児らが清水から三年坂、茶碗坂を神幸する

揚々と 家老の鑓(やり)や 地主まつり(三宅嘯山)

景清は 地主祭にも 七兵衛(炭太祇)

・芝切神事(しばきりしんじ): 葵祭に先立って行なわれる5月12日の賀茂御蔭祭(かもみかげまつり)の際、下賀茂神社の本殿前で行なわれる神事。

・芝能(しばのう): 奈良市春日大社および興福寺南大門の前庭で行なわれる能楽の称。

古くは、陰暦2月2日、のち6日から7日の晴天二日間、戦前までは3月14、15日、戦後は5月11、12日に行なわれている。芝の能。薪能(たきぎのう)

一笛に 月の芝能 はじまりぬ(大橋宵火)

・四方太忌(しほうだき):5月16日、明治・大正期の俳人坂本(阪本)四方太(1873年~1917年)の忌日。

四方太は鳥取から東大進学で上京、子規の教えを受け俳句に開眼。写生文の開拓にも励んだ。自伝的長編の写生文「夢の如し」がある

・四明忌(しめいき):5月16日、明治・大正期の俳人中川四明(1849年~1917年)の忌日

・四迷忌(しめいき):5月10日、明治期の小説家二葉亭四迷(1864年~1909年)の忌日

花器の水 硯にすりて 四迷の忌(松本澄江)

・下田黒船祭(しもだくろふねまつり):下田市で行なわれる黒船祭のこと

・舟遊祭(しゅうゆうさい):三船祭の別称

・昇天祭(しょうてんさい):復活祭から四十日めの木曜日。復活したキリストが昇天したことを記念する

・昇天日(しょうてんび):昇天は復活祭から四十日後のことで木曜日にあたる。復活後の四十日間、イエスは神の国について語り続けたあと昇天した、という言い伝えに由来する

・菖蒲の節句(しょうぶのせっく):端午の別称

・白い羽根(しろいはね):5月8日、世界赤十字平和デーの頃の赤十字共同募金運動。

医療事業を行なう災害救護を目的として、毎年五月に行なわれる共同募金に応じた人に、その証として渡された純白の羽根。昭和25年(1950年)に始まり、昭和34年(1959年)に廃止された

白い羽根 少女の夢の ごと吹かれ(勝又一透)

・神宮神御衣祭(じんぐうかんみそさい/じんぐうかんみそのまつり):伊勢神御衣祭のこと

・諏訪の御柱祭(すわのおんばしらまつり):長野・諏訪神社の式年祭のこと。七年に一度行われる

・諏訪祭(すわまつり):諏訪の御柱祭のこと

・青柏祭(せいはくさい/あおがしわまつり):5月1日から5日まで、石川県七尾市の大地主神社で行われる例大祭。

重量が20トンにもなる巨大な山車が三台出て町を回る。神饌を青い葉に盛り、天下太平と五穀豊穣を祈ったことから「青柏祭」の名がある。「でか山」といわれる山車は、重要無形民俗文化財

・聖母月(せいぼづき):五月の別称。カトリック信者は五月を聖母マリアの月と定めている。聖母月の信心は18世紀のイタリアで盛んとなったとされる

・千団子(せんだんご):5月16日から18日まで。大津市の園城寺、通称三井寺にある護法善神堂に祀られる鬼子母神の縁日。

鬼子母神は千人の子があったが、人の子をとって食っため仏に懲らしめを受け、以後改心して子供の守護者となった。安産、子育てを祈り千個の団子を供える

子供等よ 戻りにくれん 千団子(夏目成美)

・千団講/栴檀講(せんだんこう)/千団子祭(せんだんごまつり)/千団子詣(せんだんごもうで):5月16日、大津市・三井寺の鬼子母神の縁日の祭

・千本大念仏(せんぼんだいねんぶつ):五月に京都市・引接寺(閻魔堂)で行われる狂言

・総一(そういち):大矢数の時、先人を越える記録がでると堂内に額を掲げたこと

・曽我どんの傘焼(そがどんのかさやき)/曽我の笠焼(そがのかさやき):陰暦5月28日または24日に、曾我兄弟の敵討ちに倣って行われてきた練成行事

・外幟(そとのぼり):幟を外に立てること

(4)た行

・ダービー:日本中央競馬会が主催する競馬のG1レースの一つ「東京優駿競走」の通称。イギリスのダービーにならい1932年(昭和7年)に創設されたサラブレッド系三歳馬のクラシックレース。距離2400m。

三歳の牡馬牝馬のうち過去のレースで優秀な成績をおさめた馬に出場権が与えられる。毎年五月、府中競馬場で開催される。三歳馬にとって最も栄誉あるレース

・退虫の呪(たいちゅうのまじない):陰暦4月8日に行った、夏の虫除けよけの呪い

・大幣神事(たいへいしんじ):宇治祭で行われる神事

・多佳子忌(たかこき):5月29日、昭和期の俳人橋本多佳子(1899年~1963年)の忌日。

本名多満、明治32年、東京に生れる。杉田久女に俳句を学びのち山口誓子に師事。
「天狼」の重要同人となり、自らも「七曜」を主宰した。華麗な叙情句の作り手として知られる。昭和38年死去。六十四歳

・たかし忌(たかしき):5月11日、昭和期の俳人松本たかし(1906年~1956年)の忌日。

本名孝。東京神田の宝生流座付能役者の家に生まれたが、病弱のため俳句に専心。高浜虚子を信奉し「ホトトギス」で川端茅舎・中村草田男らと一時期を画した。

・薪猿楽(たきぎさるがく):薪能のこと

・薪能(たきぎのう):夜、野外に敷舞台を設けて篝火を焚き、そのあかりで演じる能。「薪の宴の能」の意。奈良の興福寺および春日大社で修二会の前行事として行われたことを起源とする。源流はあくまで神事・仏事の神聖な儀式

ひつからげ 九郎や片荷 薪能(西山宗因)

能や薪 焼かぬ先より こがるらん(井原西鶴)

・辰雄忌(たつおき):5月28日、昭和期の小説家堀辰雄(1904年~1953年)の忌日。

芥川龍之介に師事、「聖家族」で文壇に認められた。知性、抒情にあふれた作風で「美しい村」「風立ちぬ」等の作品がある

・端午(たんご)/端午の節句(たんごのせっく):旧暦の月の端(はじめ)の午(うま)の日の意。

現代では多くは新暦の5月5日に祝う。邪気を払うといわれる菖蒲や蓬を軒に吊るしたり、菖蒲湯に入ったりする。又、「菖蒲」と「尚武」の読みから、近世以降は男子の節句となった

孫六が 太刀の銘きる 端午かな(鳳朗)

・重五(ちょうご):端午 (たんご) のこと。五を重ねる意で、陰暦5月5日の節句。

・筑摩鍋(つくまなべ):筑摩祭の別称

小わらはも 冠りたがるや つくま鍋(小林一茶)

・筑摩祭(つくままつり):5月3日に滋賀県米原市の筑摩神社で行われる歴史ある奇祭で、伊勢物語にも和歌が記載されている。

以前は娘たちが関係した男の数だけ鍋釜をかぶり神前に参った。現在では八歳になる氏子の子女が狩衣に紙の鍋をかむり、神輿の行列に加わる

鍋ずみや はげをかくせし 筑摩姫(池西言水)

君が代や 筑摩祭も 鍋一つ(越人)

・鶴岡天満宮祭(つるおかてんまんぐうさい):5月25日、鶴岡市・太宰府天満宮で行われる祭礼

・天頭花(てんとうばな)/てんと花(てんとばな):陰暦4月8日の灌仏会に野の草花を高い竿の先に結びつけて庭先に立てる風習

・電波記念日(でんぱきねんび)/電波の日(でんぱのひ):6月1日、昭和25年(1950年)のこの日に電波法・放送法・電波監理委員会設置法が施行され、電波が政府の独占から開放されたのを記念した日

・東京優駿競走(とうきゅゆうしゅんきょうそう):ダービーのこと

・透谷忌(とうこくき):5月16日、明治期の詩人北村透谷(1868年~1894年)の忌日。

・東照宮祭(とうしょうぐうさい):日光東照宮祭の別称

・通し矢(とおしや):陰暦四、五月の頃の晴天の日に京都・三十三間堂で行われた弓矢の行事。通し矢の数を競った

・渡御祭(とぎょさい):日光東照宮祭の別称

・鳥の日(とりのひ):愛鳥週間の一日

(5)な行

・夏の駒牽(なつのこまびき):陰暦4月28日に宮中で行われた行事で、端午の節句に行われる騎射(うまゆみ)に出場する馬を天皇にご高覧いただくため引き回しすること。

・夏場所(なつばしょ):大相撲の本場所の一つ。五月に東京の国技館で開催される。初夏の到来を感じさせる爽やかさのある季語

夏場所の はねし太鼓や 川向う(松本たかし)

・鍋乙女(なべおとめ):筑摩祭(つくままつり)に参列する乙女のこと

・鍋被り(なべかぶり):筑摩祭の別称

・鍋釜(なべかま):筑摩祭の別称

・鍋冠(なべかむり):筑摩祭の別称

・鍋祭(なべまつり):筑摩祭の別称

・楠公祭(なんこうさい):5月24日から26日まで、神戸市中央区・湊川神社で行われる祭礼。「湊川の戦い」で戦死した楠木正成の遺徳を偲ぶ。

楠木正成の命日(5月25日)をはさんで、前日の宵宮、後の御礼祭と祭は三日間にわたる。お旅所への神幸の行列は賑々しく、南北朝時代の道具や装束を再現した行列が供奉したが、現在は中断されている

瓦煎餅 反(そり)うつくしや 楠公祭(山口青邨)

・日光祭(にっこうさい):日光東照宮祭の別称

神橋に かゝる御輿や 日光祭(春三)

・日光東照宮祭(にっこうとうしょうぐうさい):5月17日、18日に行なわれる日光東照宮の例祭。

17日に流鏑馬神事があり、18日は中心行事である千人行列が繰り広げられる。前日に二荒山神社境内を出発した三神興(家康公、秀吉公、頼朝卿)は二荒山神社へ渡御し一泊する。18日、三神興行列は、日光二荒山神社境内を進発し、日光東照宮の御旅所に入り、そののち還御祭が行われる

・日本ダービー(にほんだーびー):ダービーのこと

・練供養(ねりくよう)/当麻練供養(たいまねりくよう):5月14日、奈良・当麻寺で行なわれる練供養のこと

信仰の功徳により往生をとげた中将姫の伝説にともない、西方浄土から菩薩、観音が来迎する様子を再現したもの。中将姫の像を安置したお堂へ菩薩観音に扮した二十五人が練り込むもので、中将姫の忌日の5月14日に行われる。奈良の当麻寺が有名

ねり供養 まつり貌(がお)なる 小家(こいえ)かな(与謝蕪村)

茂りから 鳥の音(ね)近し 練供養(堀麦水)

・幟(のぼり):5月5日の端午の節句に、男子のすこやかな成長を願って立てる細長い旗状のもの。家紋や武者絵などが描かれており、高さが10mに及ぶものもある

ものめかし 幟の音に 沖も鳴る(小西来山)

家ふりて 幟見せたる 翠微(すいび)かな(与謝蕪村)

幟出す 雨の晴れ間や 時鳥(ほととぎす)(森川許六)

斎(とき)に来て 幟うらやむる 小僧かな(黒柳召波)

・幟市(のぼりいち):端午の節句の飾り物を商(あきな)う市。幟や五月人形が商われる

・幟売(のぼりうり):幟市の別称

・幟飾る(のぼりかざる):幟を立てて飾ること

・幟杭(のぼりくい/のぼりぐい)/幟竿(のぼりざお):端午の節句の幟を立てる竿

・幟店(のぼりだな):端午の節句の幟を売る店

(6)は行

・バードウィーク:愛鳥週間のこと

・バードデー:愛鳥週間の一日

・化物祭(ばけものまつり):5月24日から27日にかけて行われる、山形県鶴岡市の鶴岡天満宮の天神祭。本祭は25日になる。

「化け物」というのは、変装するということ。編み笠をかぶり、花模様の長襦袢などを着て男か女かも分からない状態で道行く人に酒を振る舞う

・走り馬(はしりうま):賀茂競馬の馬

・初節句(はつせっく/はつぜっく):男子が初めて迎える端午の節句のこと

・初幟(はつのぼり):初節句に立てる幟

・花湯祭(はなゆまつり):5月8日、鳥取・三朝薬師の縁日

・母の日(ははのひ):母に感謝して贈り物などをする日。五月の第二日曜を当てる。アメリカで1907年、A・ジャービスの提唱に始まるとされる。日本では敗戦後に一般化した。カーネーションの花がつきものである

・春夫忌(はるおき):5月6日、大正・昭和期の詩人・小説家佐藤春夫(1892年~1964年)の忌日。

春夫は「スバル」「三田文学」に詩歌を発表。「田園の憂欝」「神々の戯れ」等の小説を残した

・春志(はるざし)/大原の春志(おおはらのはるざし):5月3日、京都府福知山市三和町大原にある大原神社の大祭に参拝すること。

安産信仰をつかさどる。神前の清流の辺には今でも大正の初期まで使われていた産屋が立っている

・びんざさら踊(びんざさらおどり):三社祭に奉納される踊り

・吹流し(ふきながし):鯉幟やのぼりと一緒に飾られる五色の長い帯状の布。上空の強い風になびいているさまは爽快である。

雀らも 海かけて飛べ 吹流し(石田波郷)

江山や 吹貫一つ いと高し(鈴木花蓑)

・吹貫(ふきぬき/ふきぬけ):吹流しの別称

・武具飾る(ぶぐかざる):端午の節句に武具を飾ること

・藤森祭(ふじのもりまつり):京都市伏見区の藤森神社(ふじのもりじんじゃ)の5月5日の祭礼。

祭神の一人である早良(さわら)親王は蒙古襲来の際、当社に祈って勝利をおさめたという。かつては神幸の際、神人(下級の神官)は甲冑をまとい騎馬で従ったが、現在は鼓笛隊、稚児、武者行列、神輿の巡行などが行われる

下手乗せて 馬も遊ぶや 藤の森(炭太祇)

馬馳(かけ)る 陣のゆかりや 藤の森(三宅嘯山)

・二葉葵(ふたばあおい):葵祭で使う葵のこと。ウマノスズクサ科カンアオイ属の多年草。本州、四国、九州の山地に自生する。茎は地を這うように伸び、先端にハート状の葉を二枚つける。五月ころ葉柄の付け根部分に紫褐色の小さな花を一つつける。葵に似た葉を二つつけるのでこの名がある

・府中暗闇祭(ふちゅうくらやみまつり)/府中闇祭(ふちゅうやみまつり):府中祭のこと

・府中喧嘩祭(ふちゅうけんかまつり):府中祭のこと

・府中祭(ふちゅうまつり):東京府中市の大国魂神社の祭礼。4月30日から5月6日にかけて行なわれるが、5日の大太鼓送り込みから神輿渡御、6日未明から朝にかけての神輿還御が最も盛り上がる。六基の大太鼓と八基の神輿が出て神輿渡御が行われる。昔、夜中に真っ暗闇の中を神輿渡御したので「くらやみ祭」の名がある

・舟舞台(ふなぶたい):柳川水天宮祭りで使われる舞台

・ペリー祭(ぺりーさい):5月17日頃、下田市でペリーの黒船来航を記念して行われる催し

・泡鳴忌(ほうめいき):5月9日、明治・大正期の詩人・小説家岩野泡鳴(1873年~1920年の忌日

・北斎忌(ほくさいき):陰暦4月18日、江戸時代後期の浮世絵師葛飾北斎(1760年~1849年)の忌日

・梵網会(ぼんもうえ):5月19日、奈良・唐招提寺で行われる法要。団扇撒(うちわまき)

(7)ま行

・負馬(まけうま):賀茂競馬で負けた馬

・松前渡る(まつまえわたる):江戸時代、海の穏やかな夏に東北の漁夫や商人が北海道(松前藩)に交易のため渡ったこと

・松本祭(まつもとまつり):5月5日、滋賀県大津市松本の平野神社の例祭。

古くは松本比良祭として知られる。祭神は仁徳天皇。合わせて祀る猿田彦命は、蹴鞠の神であり、蹴鞠を業とする飛鳥井家の崇敬が篤かった。祭当日は、神輿が二基出御、天狗面の猿田彦が行列の先頭を歩く

・祭(まつり):単に祭といえば都市の神社の夏祭をさす。悪疫退散を目的とする。この点、秋に田園の神社で行なわれる秋祭(収穫祭)と異なる。山車や鉾、神輿などの巡行があり、舞や奏楽などの奉納が行われる。境内や門前には夜店が立ち並び、宵宮から祭り当日にかけて多くの人でにぎわう

酔ひ臥して 一村起きぬ 祭かな(炭大祗)

象潟や 料理何食ふ 神祭(河合曽良)

大雨に 獅子を振りこむ 祭かな(村上鬼城)

万燈を 消して侘しき 祭かな(村上鬼城)

値段立つ 繭天皇の 祭かな(菅原師竹)

隣村の 疲弊目に見る 祭かな(島田青峰)

・マリアの月(まりあのつき):五月の別称。カトリック信者は五月を聖母マリアの月と定めている

・万太郎忌(まんたろうき):5月6日。作家・劇作家・俳人の久保田万太郎(1889年~1963年)の忌日。久保田の雅号にちなみ、「傘雨忌」とも言う

・御生木(みあれぎ):賀茂御蔭祭の神事の一つ

・御蔭祭(みかげまつり):賀茂御蔭祭のこと。5月12日、京都・賀茂両社で葵祭りに先立って行われる神事

・三朝大綱引(みささおおつなひき):5月7日と8日の三朝綱引のこと

・三朝綱引(みささつなひき):5月7日と8日、鳥取県三朝町で行われる綱引

・御衣祭(みそのまつり):伊勢神御衣祭(いせかんみそのまつり)のこと。

5月と10月の14日、伊勢の皇大神宮(内宮)で、絹布の和妙と麻布の荒妙を奉納する祭。

絹布は神服織機殿神社で、麻布は神麻続機殿神社で(松坂市)、地元の奉仕団によって織られる。いわば、神々の更衣にあたるもの

・三船祭(みふねまつり):五月第三日曜日、京都・大堰川で行われる車折神社(京都市右京区)の祭礼。

平安時代の船遊びを再現する。昭和3年(1928年)、昭和御大典を記念して始められた。毎年五月第三 日曜日、嵐山の大堰川に御座船・龍頭船・鷁首船など二十数隻を 浮かべて、管弦、舞、扇流しに興ずる。白川天皇の行幸の折、「和歌」「漢詩」「奏楽」に長じた者を三隻の舟に乗せて舟遊 びをしたことから「三船」という

三船祭

・武者人形(むしゃにんぎょう):端午の節句に飾る武者の人形のこと。江戸期は、戸外に幟と共に立てる外飾りが主であったようだが、今では室内に飾ることが多い

・空走り(むだはしり):賀茂競馬で行なわれる勝負なしの前走

・孟夏の旬(もうかのじゅん/もうかのしゅん):平安時代の宮廷行事。「旬」とは朝廷が臣下から政を聞くこと。孟夏と孟冬、つまり夏のはじめと冬のはじめの年二回宴を賜るこの儀式が行われた。この日、臣下は朝廷より扇を賜るのが慣例

・木堂忌(もくどうき):5月15日、大正・昭和初期の政治家犬養毅(1855年~1932)の忌日

・諸鬘(もろかずら):葵祭で使われる髪飾りの桂と葵の両方をさすこと

・双葉葵(もろはあおい):二葉葵の別称。初夏五月頃、淡い赤紫の小花をつける。葵祭で使う葵のこと

・両葉草(もろはぐさ):二葉葵の別称。初夏五月頃、淡い赤紫の小花をつける。葵祭で使う葵のこと

(8)や行

・矢数(やかず):京都・三十三間堂の大矢数のこと

・屋形の稚児(やかたのちご):藤森祭に参列する稚児のこと

・矢車(やぐるま):鯉幟や幟の竿の頂点に取り付けた、金属製の風車。車の中に何枚もの矢羽が取り付けてあり、風を受けると、からからと音を立てて回る

・八瀬祭(やせまつり):5月8日、京都市左京区八瀬、日吉八王子天満宮の祭。さんやれ祭ともいう。午前中に馬駆けの行事があり、午後には神饌、剣鉾、太鼓鉾、神官や祭員などの行列を従え、神輿二基が御旅所に渡御する

数珠かけた 直衣姿(のうしすがた)や 八瀬祭(三宅嘯山)

・柳川水天宮祭(やながわすいてんぐうまつり):福岡県柳川市の沖端水天宮の祭。5月3日から5日まで行なわれる。沖端水天宮は、稲荷社・祇園社・水天宮の三神を祀る神社。祭りの期間中、神社横の掘割に舟舞台が浮かべられ、囃子や芝居が奉納される。お囃子は古典的なものにオランダ風の調子が混ざり「オランダ囃し」ともいわれるもの。掘割の両岸には露店商が立ち並び、多くの見物客でにぎわう

・山崎祭(やまざきまつり):5月4日と5日、京都府大山崎町、天王山の山腹にある酒解(さかとけ)神社で行われる祭礼。5月4日に御神体を大山崎の御旅所に移して神輿が町内を巡行する。翌5日に還幸。現在、御輿渡御は隔年に行われる。かつては榊舞や神歌などが奏され厳かな神事であった

・弓の天下(ゆみのてんが):大矢数の時、先人を越える記録がでると堂内に額を掲げたこと

・宵成祭(よいなりさい):5月17、18日に行われる日光東照宮祭の別称

・義経忌(よしつねき):陰暦閏4月30日、平安時代末期の武将源義経(1159年~1189年)の忌日

(9)ら行

・らいてう忌(らいちょうき):5月24日、大正・昭和期の社会運動家平塚らいてう(1886年~1971)の忌日

・離宮祭(りきゅうまつり):宇治祭の別称

・六所祭(ろくしょまつり):府中祭のこと

(10)わ行

・和歌浦祭(わかのうらまつり):和歌祭の別称

・和歌祭(わかまつり):徳川家康を祀る「紀州東照宮」の大祭の神輿の渡御のこと。1622年から受け継がれてきた伝統の祭で、毎年5月に開催される

和歌祭

・若宮能(わかみやのう):薪能の一つ