二十四節気の季節感溢れる季語と俳句 晩夏:小暑・大暑(その4)行事

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大暑

前回まで、「ホトトギス派の俳人」16人(「ホトトギス派の俳人(その16)杉田久女:虚子との確執で有名な悲運の女流俳人」など)と「ホトトギス派以外の俳人」14人(「ホトトギス派以外の俳人(その14)長谷川かな女:大正期を代表する女流俳人」など)を紹介する記事を書いてきました。

ホトトギス派は、「客観写生」「花鳥諷詠」「有季定型(季語のある定型俳句)」を旨としましたが、それに飽き足りない俳人たちが、「無季俳句」や「自由律俳句」などを標榜する「新興俳句運動」を起こしました。

私は、「新興俳句運動」を全否定するつもりはなく、それなりの歴史的意義はあったと思います。しかし、私はやはり季節感溢れる「季語」を詠み込んだ「定型俳句」に魅力を感じます。

そこには、現代の私たちの生活から失われつつある(一部はほとんど失われた)季節感が溢れており、「懐かしい日本の原風景」を見るような気がします。

そこで今回から、「二十四節気」に沿って季節感あふれる「季語」と俳句をご紹介していきたいと思います。

なお、前に「季語の季節と二十四節気、旧暦・新暦の季節感の違い」という記事も書いていますので、ぜひご覧下さい。

季語の季節対比表

二十四節気図

「夏」は旧暦4月~6月にあたり、「初夏」(立夏・小満)、「仲夏」(芒種・夏至)、「晩夏」(小暑・大暑)に分かれます。

今回は「晩夏」(小暑・大暑)の季語と俳句をご紹介します。

・小暑(しょうしょ):新暦7月7日頃です。「六月節」 暑気に入り梅雨の明ける頃です。

・大暑(たいしょ):新暦7月22日頃です。「六月中」 夏の暑さがもっとも極まる頃です。

5.行事

(1)あ行

・青祈祷(あおぎとう):陰暦六月の丑の日に行われる行事。稲の無事な成長を願って神社のお札を青田の上で振り回す

・秋成忌(あきなりき):陰暦6月27日、江戸時代中期の読本作者上田秋成(1734年~1809年)の忌日

・麻の葉流す(あさのはながす):夏越の祓の祓草として麻の葉を流すこと

麻の葉に 借銭書て 流しけり(小林一茶)

流すめり 風ふきたまる 麻の葉を(松瀬青々)

・芦刈山(あしかりやま):祇園祭先祭の山の一つ

・阿蘇の御田祭(あそのおんだまつり):熊本県阿蘇市一の宮町の阿蘇神社の祭。7月28日に行われる。午前中に献幣祭があり、次いで神幸式が始まる。行列は猿田彦神面を先頭に、四基の神輿がお旅所へ渡御し、神事を行ったあと、御田植式を行う。神輿は夕方、神社に還行する

・阿蘇祭(あそまつり):阿蘇の御田祭(あそのおんだまつり)に同じ

・愛宕の千日詣(あたごのせんにちもうで):京都市右京区嵯峨野の愛宕山頂にある愛宕神社は、火伏せの神、迦倶槌命をを祀っている。7月31日の夜から翌早朝にかけてお参りすれば、千日分のご利益があるとされる。境内では修験者によって護摩が焚かれ、午前二時より火伏神事が行われる

・油天神山(あぶらてんじんやま):祇園会の鉾山の一つ

・天の橋立祭(あまのはしだてまつり):橋立祭のこと

・霰天神山(あられてんじんやま):祇園会の鉾山の一つ

・石採神事(いしとりしんじ):桑名祭の別称

・石採祭(いしとりまつり):桑名祭の別称

・いたこ:東北地方で、霊の口寄せをする巫女 (みこ) 。多くは盲目の女性。青森県下北半島恐山のいたこが有名

・いたこ市(いたこいち):7月20日から24日まで恐山大祭にいたこが集まること。

・厳島管絃祭(いつくしまかんげんさい):厳島祭(いつくしままつり)の別称

・厳島祭(いつくしままつり):広島県宮島にある厳島神社で陰暦6月17日に行われる市杵島姫命(弁財天)など三女神を祭神とする祭礼。渡御の際に雅楽が奏されるので管弦祭ともいう。安芸守に任じられた平清盛が京都で行われていた管絃を神事としたと伝えられている。豪華な船の祭としても有名である

・岩戸山(いわとやま):祇園祭先祭の曳き山

・忌日の御飯(いんびのごはん):忌火(いんび)の御飯のこと

・忌火の御飯(いんびのごはん):陰暦6月1日に行われる古い宮廷行事。穢れをはらった清浄な火で御飯を炊き、天皇がそれを召し上がるという儀式

・忌日の御飯を供ず(いんびのごはんをくうず):陰暦6月1日、天皇が忌火の御飯を食べること

・ウェストン祭(うぇすとんさい):その年に初めての夏山登山の行事で、六月第一日曜日に上高地の梓川で行なわれる

・牛の祗園(うしのぎおん):牛を水辺で洗ってやり、村の小社に牽いて参る農村の祇園会

・海の記念日(うみのきねんび):海の日の別称

・海の日(うみのひ):国民の祝日の一つ。当初は7月20日だったが、2003年から7月の第3月曜日となった。「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」日である

・海開き(うみびらき):陽暦7月10日前後。海水浴場を開く日のこと。遊泳の安全祈願の神事などをしてから泳ぎ出す。泳ぐ人達のための海の家や売店もこの日から店開きする

・占出山(うらでやま):祇園会の鉾山の一つ

・栄西忌(えいさいき):陰暦7月5日、鎌倉時代の僧、栄西(1141年~1215年)の忌日。日本臨済宗の開祖、 比叡山延暦寺で学んだ後、二度の渡宋を経て「興禅護国論」を著わし禅の布教に努めた。叉「喫茶養生記」を著わし日本に、お茶を広めた

・恵心忌(えしんき):陰暦6月10日、天台宗の硯学恵心僧都源心(942年~1017年)の忌日。大和葛城の人。慈恵大師に師事し、深く天台の教理を探った。「往生要集」は、浄土信仰に大きな影響を与えた代表作である。絵画彫刻に親しみ著述と共に世に残るものが多い。寛仁元年入滅。76歳

・閻王(えんおう):閻魔王のこと。七月に閻魔の大斎日がある

・役行者山(えんのぎょうじゃやま):祇園会の鉾山の一つ

・閻魔の斎日(えんまのさいじつ):正月と七月の十六日の閻魔王の縁日で、特に七月十六日をいう

・閻魔参(えんままいり)/閻魔詣(えんまもうで):閻魔の縁日に詣でること。特に正月の十六日の「初閻魔」、七月十六日の「閻魔の斉日」が重視される。この日、お寺では地獄変相図をかかげ、一般に拝観させる

・小忌御燈を供ず(おいみのみあかしをくうず/こいみのみあかしをくうず):神今食(じんごんじき)の際、小忌衣をつけた所役が御灯をつけたこと

・追山(おいやま):7月15日、博多の祇園祭で行われる山笠という名の山車の競争

・追山笠(おいやまがさ):追山に同じ

・鷗外忌(おうがいき):7月9日、森鴎外(1862年~1922年)の忌日。鴎外は明治、大正期の小説家、評論家、 翻訳家、歌人。軍医としてドイツへ留学後、小説「舞姫」を出版、文筆活動を始める。軍医を続けながら、次々と日本文学史に残る作品を残した。歌人としても鉄幹、啄木等と親交があった。主な作品に「高瀬舟」「阿部一族」「山椒太夫」がある

・扇祭(おうぎまつり):和歌山県那智山にある那智大社の例大祭の一つ

・大忌の御湯(おおいみのおゆ):神今食(じんごんじき)の際に天皇が潔斎を行なった湯のこと

・大祓(おおはらい/おおはらえ):陰暦6月30日に行われた宮廷行事。天皇や臣が知らず知らずに犯した罪や穢れを除き去るための祓い

・大山祭(おおやままつり):神奈川県伊勢原市の大山阿夫利神社の夏季例祭。7月27日から8月17日まで行われ、多くの大山詣での人でにぎわう。大山は江戸時代、雨乞いの聖地とされ、また農業の守護神として信仰されてきた

・大山詣(おおやまもうで):大山に登り阿夫利神社に詣でること

・納太刀(おさめだち):大山詣の参詣者が奉納する太刀

・恐山大祭(おそれざんたいさい):7月20日から24日まで、青森県下北半島の恐山菩提寺で行われる地蔵講

・御田植神幸式(おたうえしんこうしき/おんたうえしんこうしき):阿蘇祭の別称

・お頂上(おちょうじょう):富士山の頂上をいう

・鬼舞(おにまい):民俗芸能の一つで、鬼の仮面をつけた者が登場して舞う芸能。大分県国東くにさき半島の修正鬼会しゅしょうおにえで行われるもの、岩手県一帯に伝わる鬼剣舞おにけんばいなど、種類は多い。

このほか、千葉県光町広済寺の盆狂言としての鬼来迎(きらいこう)、佐賀県神埼町仁比山(にいやま)神社の御田舞神事などで行なわれる

・御迎人形(おむかえにんぎょう):天神祭の船渡御の際に使われる大きな人形

お迎え人形

・御田祭(おんだまつり):阿蘇の御田祭(あそのおんだまつり)の別称

(2)か行

・開山祭(かいざんさい):それぞれの山で、その年に初めて登山を許す夏の行事。山岳信仰に由来する

・我鬼忌/餓鬼忌(がきき):7月24日。作家、芥川龍之介(1892年~1927年)の忌日。名称は芥川の書斎の扁額“我鬼窟(がきくつ)”にちなむ。「河童忌」「澄江堂(ちょうこうどう)忌」ともいう

・蝸牛忌(かぎゅうき):7月30日、明治・大正・昭和初期の小説家幸田露伴(1867年~1947年)の忌日

・掛鯛下す(かけだいおろす):陰暦の6月1日の慣習。正月、竈の上に掛けておいた小鯛を、この日羹にして食し、夏場の健康を願った

・嘉定菓子(かじょうがし):嘉定喰の別称

・嘉定喰(かじょうぐい):菓子を食べて厄除けする行事。起源には諸説あるが、室町時代には弓の試合で負けたものが、勝ったものを宋銭の嘉定通宝で購入した菓子でもてなしていた。

江戸時代には、幕府、宮中を中心に盛大に行われ、一部民間にも知られた。餅や菓子を十六個用意し、食して疫病除けとした。また、銭十六文で好きなものを買って食べれば疫病にかからぬとも信じられていた。明治時代には廃れるが、この行事にちなみ、1979年(昭和54)年、全国和菓子協会は、6月16日(太陽暦、仲夏)を「和菓子の日」とした。 嘉祥行事についての研究も今後さらに進むことだろう

月こよひ 食したまふや 嘉定食(松永貞徳)

物安き むかしゆかしや 嘉祥餅(溝口素丸)

子のぶんを 母いただくや 嘉定喰(小林一茶)

・嘉定銭(かじょうせん):嘉定喰の別称

・嘉定頂戴(かじょうちょうだい):嘉定喰の別称

・嘉定縫(かじょうぬい):嘉定喰の日に、十六歳の女子が元服の儀を行なったこと

・形代(かたしろ):紙や板などを切り取って人の形に似せたもの。それに触れたり息を吹きかけたりして、災厄を乗り移らせる。祓や祈祷が終ったあと、川や海に流す。流し雛や祭の時の神霊の代わりにする人形も言う

形代や つくれる罪も 夏痩せも(三宅嘯山)

形代に さらばさらばを する子かな(小林一茶)

・形代流す(かたしろながす):夏越の祓の一つ

・かつうの祝(かつうのいわい):嘉定喰の別称

・郭巨山(かっきょやま):祇園会の鉾山の一つ

・河童忌(かっぱき):7月24日。小説家芥川龍之介(1892年~1927年)の忌日。河童忌は、1927年に「改造」に発表した短編小説のタイトル「河童」にちなむ。東京京橋生まれ。俳句は1918年より高浜虚子の指導を受けた

・上の祭(かみのまつり):祇園会のこと

・かむいまけ:神今食(じんごんじき)の別称

・唐崎の千日参(からさきのせんにちまいり):唐崎参のことで、その日に参詣すると平日の千日分に相当するとされたことから

・唐崎の祓(からさきのはらえ/からさきのはらい):7月28、29日、大津市・唐崎神社で行われる祓いに参詣すること。

「唐崎の祓」は、賀茂の斎院がその職を辞すとき、近江国(滋賀県)唐崎で行なわれる祓で、「源氏物語」乙女の巻にも見える。

やがてみなとめさせ給て、宮仕へすべき御けしきありけれど、このたびはまかでさせて、近江のはからさきのはらへ、津の守は難波といどみてまかでぬ

・唐崎参(からさきまいり):7月28日と29日、滋賀県大津市唐崎の唐崎神社で行われる、夏越の神事。茅の輪くぐり、人形流し、湖上での護摩木焚き等の行事がある。古来、唐崎は七瀬の祓の一つで、源氏物語乙女の巻にも見られる

・唐崎祭(からさきまつり):唐崎参の別称

・烏団扇(からすうちわ):すもも祭で参詣人に与えられる烏の絵の団扇

・蛙飛(かわずとび):奈良・金峰山寺の蓮華会で行われる行事

・川づかえ(かわづかえ):出水のため旅人の渡河を禁止したこと。梅雨時に多いため、夏の季語とされる

・川渡御(かわとぎょ):天神祭(天満祭)に、川を下る神事。船渡御

・川どまり(かわどまり):出水のため旅人の渡河を禁止したこと。梅雨時に多いため、夏の季語とされる

・川止め(かわどめ):夏の雨は想像を超えて降ることがままある。現在と違って大河にかかる橋があまりなかった時代には、渡河を禁止する処置が何日もとられた

・川祓(かわはらえ):六月のみそかに諸社で行なわれた大祓。川辺で水をそそぎ、身を清めた。水無月祓(みなづきばらえ)。夏越(なごし)の祓

・川開き(かわびらき):古くはお盆を控えて禊に川に入ったのが始まりと考えられるが、納涼の季節の幕開けの祝と、水難事故の防止を祈願する行事。なかでも墨田川の花火は江戸時代から続くもので、かつては料亭の桟敷や川に舟を浮かべての花火見物でにぎわった

・川船祭(かわふねまつり):津島祭の別称

・川社(かわやしろ):夏越の祓の一つ。川のほとりに社をたてて、神楽を奉納すること

・函谷鉾(かんこくぼこ/かんこぼこ):祇園会の鉾山の一つ

・雷鳴陣(かんなりじん)/雷鳴の陣(かんなりのじん):雷鳴の折の古い儀式。夏、雷が三度高く鳴ると、近衛の大将以下朝廷の武官が弓矢を携えて紫宸殿に伺候し天皇を守護したもの

・雷鳴の壷(かんなりのつぼ):平安京内裏の襲芳舎 (しほうしゃ) の異称。雷鳴陣の時に天皇が臨御 (りんぎょ) したのでいう

・甘露忌(かんろき):7月25日、昭和期の俳人秋元不死男(1901年~1977年)の忌日

・祗園会(ぎおんえ):京都東山八坂神社の祭礼。祇園祭、祇園御霊会とも言われる。七月一日の吉符入から、くじ取り、神輿洗、鉾建、宵山、山鉾巡行、花傘巡行、疫神社夏越祭と七月中、連日行事が続く。7月17日の山鉾巡行で最高潮を迎える

鉾にのる 人のきほひも 都かな(宝井其角)

祇園会や 京は日傘の 下を行く(大島蓼太)

祇園会や 真葛が原の 風かほる(与謝蕪村)

ぎをん会や 僧の訪(とひ)よる 梶が許(与謝蕪村)

我子にて 候へあれに ほこの児(ちご)(大江丸)

長刀鉾(なぎなたぼこ) ぐらりと揺れて 動き出づ(長谷川櫂)

・祗園御霊会(ぎおんごりょうえ):祇園会の祭りの一つ

・祗園太鼓(ぎおんだいこ):7月10日から三日間の小倉祇園会で演じられる太鼓

・祗園囃/祗園囃子(ぎおんばやし):祇園会に奏される囃。京都の祇園祭の祭囃子

・祗園祭(ぎおんまつり):7月17日から24日まで行われる京都市・八坂神社の祭礼で、京都の三大祭の一つ

・祗園山笠(ぎおんやまがさ):博多の祇園祭(博多祇園山笠)で使われる山車

・季吟忌(きぎんき):陰暦6月15日、北村季吟(1625年~1705年)の忌日。季吟は江戸中期の国学者、俳 人。俳諧は松永貞徳に学び、若くして俳諧季寄「山之井」を出し幕府の歌学方となる。「土佐日記抄」「伊勢物語拾穂抄」等古典 注釈家としても名声を博す。俳諧伝書「埋木」を芭蕉に伝え芭蕉の師と言われている

・菊水鉾(きくすいぼこ):祇園会の鉾山の一つ

・北観音山(きたかんのんやま):祇園会の鉾山の一つ

・宮中の六月祓(きゅうちゅうのみなづきはらえ):大祓の別称

・キュリー忌(きゅりーき):7月4日、ラジウムを発見した科学者キュリー夫人(1867年~1934年)の忌日

・キュリー夫人祭(きゅりーふじんさい):キュリー忌に同じ

・鬼来迎(きらいごう):7月16日、千葉県・広済寺で行われる仏教劇

・黒主山(くろぬしやま):祇園会の鉾山の一つ

・桑名祭(くわなまつり):三重県桑名市の春日神社の祭礼。八月第一土曜日の午前零時から日曜日の深夜まで行われる。参加する町内ごとに祭車があり、それが三十数台寄り集まって鉦や太鼓を打ち鳴らして練り歩く。日曜の夜には、祭車が春日神社に囃子を奉納する渡祭が行われる

・解斎粥(げさいかゆ):解斎の御粥に同じ

・解斎の御粥(げさいのおんかゆ):忌火の御飯を食する「神今食(じんごんじき)」の翌朝に、天皇が召し上がるお粥のこと。赤い土器に若布の汁物を添え、三口だけを食して解斎とした

・源信忌(げんしんき):陰暦6月10日、天台宗の硯学恵心僧都源心(942年~1017年)の忌日。大和葛城の人。慈恵大師に師事し、深く天台の教理を探った。「往生要集」は、浄土信仰に大きな影響を与えた代表作である。絵画彫刻に親しみ著述と共に世に残るものが多い。寛仁元年入滅。七十六歳

・献茶舟(けんちゃぶね):天神祭り(天満祭)に使われる船

・建仁寺開山忌(けんにんじかいさんき):陰暦7月5日、鎌倉時代の日本臨済宗の宗祖栄西(1141年~1215年)の忌日

・原爆忌(げんばくき):第二次世界大戦の終結は昭和20年に投下された原子爆弾による。 8月6日に広島、9日に長崎、という二回もの核兵器の使用は世界に類のない大惨事を招いた。この日の慰霊行事に合わせ、世界平和への祈りを捧げる

・原爆の日(げんばくのひ):1945年8月6日には広島市、同9日には長崎市に原子爆弾が投下された。広島では十余万人、長崎では7万人を超す死者が出て、残った被爆者たちは今もなお苦しんでいる。以降この両日を忘れてはならない過去として刻むため、広島・長崎それぞれについて原爆の日、または原爆忌、原爆記念日とした

・鯉屋忌(こいやき):陰暦6月13日、杉山杉風(すぎやまさんぷう)(1647年~1732年)の忌日。杉風は、幕府御用の魚問屋を継ぎながら俳諧をした。芭蕉東下以後は終世、芭蕉につき、経済的にも芭蕉を支え芭蕉が蕉風を築き上げる土台を作った。深川の 芭蕉庵も杉風が提供したと言われている

・鯉山(こいやま):祇園会の鉾山の一つ

・光琳忌(こうりんき):6月2日。尾形光琳(1658年~1716年)の忌日。江戸中期の画家で乾山の兄。京都の呉服商雁金屋に生まれる。光悦、宗達に傾倒し、大胆で華麗な画風を展開。蒔絵や染色の分野にも光琳風、光琳模様を創案。その画風は乾山などに引き継がれ、琳派の系譜を生む。「紅白梅図屏風」など

・氷の朔日(こおりのついたち):陰暦6月1日、宮中の氷室(ひむろ)の氷の古例に習い、氷餅を食べる習慣

・氷を供ず(こおりをくうず):各地の氷室から朝廷へ氷を献上すること。陰暦の4月1日に始まり、9月30日に終わる

・粉河祭(こかわまつり):七月最後の土曜日と日曜日、和歌山県粉河町・粉河産土神社の境内にある丹生神社で行われる祭礼

・御神乗太鼓(ごじんじょうだいこ):輪島市にある白山神社の祭礼で7月31日の夜から8月1日にかけて夜叉鬼・女亡霊・爺・海坊主など七つの奇怪ともいえるような面をつけた男たちが、海藻の髪をふりみだして勇壮なバチさばきで、置かれた陣太鼓を打ちまくる

(3)さ行

・大斎日(だいさいにち):正月と七月の十六日の閻魔王の縁日で、特に七月十六日をいう

・蔵王堂蛙飛(ざおうどうかわずとび):7月7日奈良県吉野の金峰山寺蔵王堂で、開祖、役小角(えんのおづの)の蓮華会の際に行われる祭事。昔蔵王権現を侮った行者が大鷲にさらわれ、金峰山の岩屋から降りられなくなった。その際、高僧が行者を蛙にして助けたという。修験の威力を示す行事である

・左千夫忌(さちおき):7月30日、伊藤左千夫(1864年~1913年)の忌日。左千夫は明治時代の歌人、小説家。正岡子規に歌を学び、子規の死後、歌誌「馬酔木」を創刊、 編集にあたる。廃刊後は「アララギ」を創刊、編集にあたり茂吉、 迦迢空等の歌人を輩出。子規に学んだ写生文「野菊の墓」等小説 も残した

・座頭の納涼(ざとうのすずみ):昔、陰暦6月19日に京で行われた盲人たちの法要。盲人にはじめて官位を与えた光孝天皇の忌日を弔うもので、納涼もかねていた

罪あらじ 座頭の涼み 耳なくば(小林一茶)

・座摩の御祓(ざまのみそぎ/ざまのおはらい):座摩祭のこと

・座摩祭(ざままつり):7月21日から23日まで、大阪市中央区久太郎町の座摩神社の祭礼。蘆の葉で包んだ白蒸の供御と醤を奉るのが古例。船場一円を氏子に持ち、その家々は宵宮提灯を飾る。大阪情緒ゆたかな祭である

・山上(さんじょう):山上詣のこと

・山上詣(さんじょうもうで):富士山に登頂すること

・杉風忌(さんぷうき):陰暦6月13日、杉山杉風(すぎやまさんぷう)(1647年~1732年)の忌日。杉風は、幕府御用の魚問屋を継ぎながら俳諧をした。芭蕉東下以後は終世、芭蕉につき、経済的にも芭蕉を支え芭蕉が蕉風を築き上げる土台を作った。深川の 芭蕉庵も杉風が提供したと言われている

・塩釜祭塩竈祭(しおがままつり):7月10日に行われる宮城県塩釜市の鹽竈神社の例祭。まず4日に藻刈神事、翌5日に水替神事、6日に藻塩焼神事を行い、出来た荒塩を神饌とし、大祭を斎行する。荒神輿が百隻もの漁船を伴って、松島湾内を巡行する「みなと祭」は海の日開催される

・塩釜港祭(しおがまみなとまつり):塩釜祭のこと

・七月場所(しちがつばしょ):大相撲名古屋場所のこと

・志度寺八講(しどじはっこう):7月16日、香川・志度寺で行われる法会。もとは陰暦六月に行われた

・志度寺祭(しどでらまつり):7月16日、香川県さぬき市西国八十六番札所志度寺で行われる法会。謡曲「海人」で知られる古寺で、藤原不比等と海女の伝説が伝わる。海女の墓前祭にちなんで市が立ち、ご本像の開帳があるが、祭とは呼ばれていない

・志度詣(しどまいり):7月16日、香川・志度寺で行われる法会。もとは陰暦六月に行われた

・篠小屋(しのごや):富士詣で利用する坊のこと

・賜氷の節(しひょうのせつ):6月1日の宮中での節会。各地の氷室から献上された氷を、天皇が臣下に分け与えること

・四万六千日(しまんろくせんにち):観音様の縁日。功徳日は百日功徳、千日功徳といろいろあるが、とくに7月9日から10日にかけてお参りすれば、四万六千日分の功徳があるとされる。この日、東京浅草の浅草寺では鬼灯市が立ち並び、多くの参詣客でにぎわう

・下賀茂の御祓/下鴨の御祓(しもがものみそぎ):八月立秋の前日、下鴨神社境内にある御手洗池で行われる夏越の祓神事。池でお祓いが行われ、人形を流すと同時に、池に立てられた五十本の斎串を裸の若者たちが奪い合う。串が矢に似ている所から、「矢取りの神事」ともいわれる

・下の祭(しものまつり):祇園会のこと

・十王詣(じゅうおうもうで):閻魔の縁日に詣でること。特に正月の十六日の「初閻魔」、七月十六日の「閻魔の斉日」が重視される。この日、お寺では地獄変相図をかかげ、一般に拝観させる

・拾穂軒忌(しゅうすいけんき):陰暦6月15日、江戸時代前期の貞門俳人北村季吟(1625年~1705年)の忌日

・十六度市(じゅうろくどいち):7月16日、香川・志度寺祭で立つ市

・十六度会(じゅうろくどえ):7月16日、香川・志度寺で行われる法会。もとは陰暦六月に行われた

・潤一郎忌(じゅんいちろうき):7月30日、谷崎潤一郎(1886年~1965年)の忌日。潤一郎は、明治、大正、昭和の小説家。永井荷風に推され文壇にデビュー、耽美的作品を数多く残した。代表的な作品に「痴人の愛」「蓼喰う虫」「春琴抄」「盲目物語」「細雪」源氏物語の現代語訳にも力を注いだ

・浄明山(じょうみょうやま):祇園会の鉾山の一つ

・神今食(じんごんじき/じんこんじき):、神道における祭礼のひとつ。平安時代の宮中行事の1つで、陰暦6月・12月の月次祭の際に行われる。

陰暦6月と12月の月次祭終了後の夜、天皇が中和院の神嘉殿で、天照大神を勧請(かんじょう)して、忌火(いみび)で改めて炊いた新しい御飯を天皇自身が供え、自身も共食し、共寝するという儀式である。

新嘗祭との違いは、新穀を用いるか、旧穀を用いるかの点にあり、神饌の数量は新嘗祭より少なく、豊明節会(とよのあかりのせちえ)も行われなかった

・水泳場開始(すいえいばかいし/すいえいじょうかいし):海水浴場が解禁になること。7月1日に行うところが多い

・水防組出初式(すいぼうぐみでぞめしき):7月6日、明治初めに隅田川沿いに設けられた五組の水防組の出初式。現在は行われていない

・水防出初式(すいぼうでぞめしき):明治時代の水防組出初式の別称

・菅貫(すがぬき):茅の輪の別称

・鈴鹿山(すずかやま):祇園会の鉾山の一つ

・涼み積塔(すずみしゃくとう):座頭の納涼(ざとうのすずみ)に同じ

・涼の塔(すずみのとう):江戸時代、陰暦6月19日に京都・清聚庵で当道流盲人が行なった法会

・住吉夏越の大祓(すみよしなごしのおおはらえ):住吉祭のこと。

「夏越の大祓」は、6月晦日(みそか)に行う大祓(おおはらえ)の行事で、単に「夏越(なごし)」または「水無月(みなづき)祓」などともいう。大祓は平安期には6月と12月の晦日に朱雀門において、中臣が祝詞を読んで祭事を行っていたが、後世になって6月の祓だけが残ったものである。

この日、輪くぐりといって氏神の社前に設けた大きな茅の輪(ちのわ)をくぐり災厄を祓う

・住吉南祭(すみよしなんさい):住吉の御祓の別称

・住吉の御祓(すみよしのおはらい):7月31日と8月1日、大阪市・住吉神社で行われる祭礼

・住吉の火替(すみよしのひがわり):住吉の御祓の別称

・住吉祭(すみよしまつり):大阪の住吉大社で7月30日から8月1日に行われる。31日17時より夏越祓神事があり、華麗に着飾った夏越女や稚児らが茅の輪をくぐる。その後一般市民も「住吉の夏越の祓する人は千年のよはひのぶといふなり」と口ずさみながら茅の輪をくぐる

・すもも市(すももいち)/すもも祭・李祭(すももまつり):7月20日、府中市・大国魂神社で行われる祭礼

・石尊詣(せきそんもうで):大山に登り阿夫利神社に詣でること

・施米(せまい):平安時代、陰暦六月に行なわれた行事。不便な山中などで修行する僧に、米や塩を施すこと

暮れ行くや 余所に施米の 置き所(炭 太祇)

腹あしき 僧こぼし行く 施米かな(与謝蕪村)

腰抜けの 僧扶(たす)け来る 施米かな(黒柳召波)

・浅間講(せんげんこう):富士山を信仰する徒の作った講社。富士講

・艸心忌(そうしんき):7月15日、昭和期の歌人吉野秀雄(1902年~1967年)の忌日

・相馬野馬追(そうまのまおい):福島県南相馬市と相馬市にある三社が合同で行う祭事。毎年7月23日から三日間行われる。数百の騎馬武者が馬を繰って神旗を奪い合う神旗争奪戦や、馬を神に奉納する神事など、勇壮な騎馬武者の祭として知られる

・袖止(そでどめ):嘉定喰(かじょうぐい)の日に、十六歳の女子が元服の儀を行なったこと

(4)た行

・太子山(たいしやま):祇園会の鉾山の一つ

・糺の納涼(ただすのすずみ):土用の丑の日、京都市・下鴨神社(糺宮)の東側を流れる清流御手洗川で修せられる祓

・谷崎忌(たにざきき):7月30日、谷崎潤一郎(1886年~1965年)の忌日。潤一郎は、明治、大正、昭和の小説家。永井荷風に推され文壇にデビュー、耽美的作品を数多く残した。代表的な作品に「痴人の愛」「蓼喰う虫」「春琴抄」「盲目物語」「細雪」源氏物語の現代語訳にも力を注いだ

・茅の輪(ちのわ):茅を束ねて大きな輪としたものが茅の輪。陰暦六月晦日の夏越の祓の時に、人々はその輪をくぐり身についた穢れを祓い、無病息 災を願う

茅の輪茅の輪くぐり

子をつれて 茅の輪を潜る 夫婦かな(大江丸)

白雲や 茅の輪くぐりし 人の上(岩間乙二)

人たえて 一圓立てる 茅の輪かな(松本たかし)

見つゝ来て 即ち茅の輪 くゞるなり(星野立子)

やすらかに 人とほしたる 茅の輪かな(長谷川櫂)

向うより 子どものまねく 茅の輪かな(高田正子)

・澄江堂忌(ちょうこうどうき):7月24日。作家、芥川龍之介(1892年~1927年)の忌日。名称は、1922年以降の芥川の書斎の扁額“澄江堂”にちなむ。「我鬼忌(がきき)」「河童忌」ともいう

・提燈祭(ちょうちんまつり):陰暦6月14、15日。津島市の津島神社の祭礼

・月鉾(つきほこ):祇園会の鉾山の一つ

・佃島住吉祭(つくだじますみよしまつり):佃祭の別称

・佃祭(つくだまつり):東京中央区の住吉神社の例祭。8月6日、7日に行なわれる。三年に一度の本祭りでは、期間も土曜日曜を含む四日間となる。期間中、佃島の中には六本の幟が立てられ、獅子頭や八角神輿の宮出し、神輿を船に載せて巡行する船渡御などが行なわれる

・津島天王祭(つしまてんのうまつり):津島祭の別称

・津島笛(つしまぶえ):津島祭で奏される笛

・津島祭(つしままつり):愛知県津島市と愛西市に伝わる津島神社の祭礼。荘厳な川祭りである。江戸末期の東海道名所図会には、津島祭と記載されている。七月第四土曜日の「宵祭」とその翌日に行われる「朝祭」中心となる。宵祭は、無数の提灯をまとった舟が、天王川を漕ぎ渡る。揺らめく提灯が川面に映りその美しさを際立たせ、朝祭は六艘の船が能の出し物の置物を飾って漕ぎ進む

・弦召(つるめそ):祇園祭の神輿の渡御で甲冑武者が徒歩で従うこと

・津和野の鷺舞(つわののさぎまい):7月20日と27日、島根県津和野町・弥栄神社祇園祭に、神輿に供奉して舞われる舞い

津和野鷺舞

・出羽三山祭(でわさんざんまつり):山形県羽黒町の出羽三山神社の例大祭。7月15日に行われる。修験場としても有名な出羽三山は月山、羽黒山、湯殿山の三山で、当日は神輿渡御があり、五穀豊穣が祈られる

・天神祭(てんじんまつり):大阪の天満宮の夏祭。7月24日は宵宮祭。朝のお祓いの後、鉾流し神事を行う。25日の本祭では午後に社殿を発ち、御鳳輦、神童はじめ時代装束をまとった人々、神馬などが陸渡御を行う。夕刻、天満橋を起点に船渡御となる。百艘以上の供奉船が出る。ベーロン船に似たどんどこ舟が、太鼓の音に合わせ櫂を揃え船の間をぬっていく。花火も揚がり夜の川辺は賑わう

暑けれど はだか身は見ず 船まつり(小西来山)

菅原や みこし太鼓の 夜の音(上島鬼貫)

舟渡御を 見る皃(かお)あつき 篝(かがり)哉(青木月斗)

その中の 暗き舟こそ 神輿ませ(長谷川素逝)

・天満御祓(てんまのおはらい):天神祭(天満祭)の別称

・天満祭(てんままつり):天神祭のこと

天満祭 大魯(たいろ)に逢ひし 人もあり(与謝蕪村)

・戸開け(とあけ):大峰山の山開きの神事

・十日詣(とおかまいり):7月9日と10日、観世音菩薩の結縁日で、この日に参詣すると四万六千日分の功徳があるという。東京浅草観音が有名で、境内には鬼灯市が立つ。地方によっては八月に行う

・木賊山(とくさやま):祇園会の鉾山の一つ

・独立祭(どくりつさい):米国独立祭。7月4日のアメリカの独立記念日。横浜などでも日本駐在のアメリカ人によってこの日が祝われる

・土用灸(どようきゅう):土用の日に灸をすえると、ことのほか効きめがあると信じられていた。猛暑で弱った体を灸でを養う意味もあったであろう

・土用芝居(どようしばい):昔は五月狂言が終わると、暑さも激しくなるので、歌舞伎も土用休みに入った。その間、若手や、あまり売れない役者が怪談物などを演じた

・土用艾(どようもぐさ):夏の土用に灸治をすること。特に効きめがあるとされる

・鶏鉾(とりほこ):祇園会の鉾山の一つ

・どんどこ舟(どんどこぶね):天神祭(天満祭)の船渡御に使われる船

(5)な行

・長岡川開き(ながおかかわびらき):長岡市の信濃川の川開き

・長刀鉾(なぎなたぼこ):祇園会の鉾山の一つ

長刀鉾

長刀鉾は、巡行の順番が決まっている「くじ取らず」で、山鉾の中で唯一、生稚児を乗せ巡行の先頭に立つ。下京区四条烏丸東入ル長刀鉾町に位置する

・夏越(なごし):陰暦六月晦日 (みそか) に行われた行事。半年間の罪や穢れを祓うため宮中や神社、民間でさまざまな神事が行われた

・夏越の祓(なごしのはらえ):陰暦六月晦日に、罪やけがれを除き去るため宮中および諸社で行われる祓の行事。茅 (ち) の輪をくぐったり、人形 (ひとがた) を作って身体をなでて清め、それを水に流したりした。輪越しの祭り。みなづきばらえ。なごしのみそぎ。なつばらえ

・名古屋場所(なごやばしょ):七月に名古屋で行なわれる大相撲興行

・那智火祭(なちひまつり):7月14日に斎行される熊野那智神社の例大祭。昔は陰暦の6月14日に斎行されていた。松明が豪快に燃えさかることから「那智の火祭」と名づけられた。御火神事で用いられる大松明は重さは50kgほど、十二体が奉製される。扇を取り付けた「扇神輿」の巡行もある

・夏狂言(なつきょうげん):土用の間に行った小規模の臨時興行のこと

・夏芝居(なつしばい):夏の芝居には納涼が求められ、水狂言や怪談狂言の演目が選ばれる。陰暦六、七月江戸は夏祭りが続き、本興行は休みとなり、主な役者は避暑や消夏を兼ねて巡業に出た。しかし、その慣習もすたれている

・夏祓(なつはらえ):夏越の祓の別称

・撫物(なでもの):夏越の祓で、体をなでて、穢れを祓い捨てるもの

・二階囃(にかいばやし):6月3日から鉾町の会所で行われる祇園囃子のけいこ

・日本福者祭(にっぽんふくじゃさい):7月7日(陰暦6月6日)、日本殉教者中の205名が福者の位にあげられた日

・野馬追(のまおい)/野馬追祭(のまおいまつり):福島県南相馬市と相馬市にある太田神社・中村神社・小高神社の三社が合同で行う祭事。毎年7月23日から25日に行われる。数百の騎馬武者が馬を繰って神旗を奪い合う神旗争奪戦や、馬を神に奉納する神事など、勇壮な騎馬武者の祭として知られる

(6)は行

・博多の祗園祭(はかたのぎおんまつり):博多祇園山笠(はかたぎおんやまがさ)の別称。 7月1日から15日にかけて、福岡市博多の櫛田神社で行われる祇園祭。山笠と呼ばれる大きな山車が出る。飾山笠と追山笠があり、前者は商店街などに飾られ、後者は十日から水法被の若者た ちが水を浴びながら市内を担ぎ回る

・博多祭(はかたまつり):博多の祇園祭の別称

・伯牙山(はくがやま):祇園会の鉾山の一つ

・白楽天山(はくらくてんやま):祇園会の鉾山の一つ

・羽黒花祭(はぐろはなまつり):7月15日、出羽三山祭のこと

・橋立祭(はしだてまつり):京都府宮津市にある智恩寺は文殊堂とも呼ばれる。7月24日、文殊堂では文殊会が修される。丹後の海を荒らす悪竜を文殊菩薩が調伏した故事にちなみ文殊菩薩を乗せた船が出る。夜の海は船の篝火に照らされて、幽玄な雰囲気に包まれる。別名出船祭

・橋弁慶山(はしべんけいやま):祇園会の鉾山の一つ

・八幡山(はちまんやま):祇園会の鉾山の一つ

・パリ祭・巴里祭(ぱりさい)/パリー祭(ぱりーさい):7月14日のフランスの革命記念日。1789年7月14日パリの民衆がバスチーユ監獄を占拠して革命の発端を作った。革命記念日に沸くパリの街の情景を描いたフランス映画「パリ祭」以後日本では、パリ祭と呼ぶ。パリでは夜を徹して祝う祭である

・氷の御物(ひのおもの):陰暦6月1日、各地の氷室から宮廷へ氷を献じた故事

・氷の貢(ひのみつぎ):陰暦6月1日、各地の氷室から宮廷へ氷を献じた故事

世の貢(みつぎ) 多かる中に 氷(ひ)のみつぎ(加舎白雄)

身祝ひに 先寝たりけり 氷の貢(ひのみつぎ)(小林一茶)

・氷室(ひむろ):冬の天然氷を夏まで貯蔵するための室または洞穴。それを守る人が氷室守。『日本書紀』にすでに記述がある。春は四月から九月にかけて、各地の氷室から宮中に氷が献上された。現在も一部の地方に氷室がある

水の奥 氷室尋ぬる 柳かな(松尾芭蕉)

日はしんと 空の深みに 氷室跡(長谷川櫂)

ひややかに 神のこもれる 氷室かな(長谷川櫂)

・氷室の節供(ひむろのせっく):江戸時代、6月1日の称。この日は、前の年の冬に雪水で作った折餠(へぎもち)、あるいは氷餠(こおりもち)を祝って食べた。氷餠の祝

・氷室の使(ひむろのつかい):氷を供ず(こおりをくうず)の別称

・氷室の山(ひむろのやま):夏に使うために冬の氷や雪を貯蔵しておく設備

杉檜(すぎひのき) 朝日つめたき 氷室山(正岡子規)

氷室山 雲鎖(さ)す木々の 雫かな(大須賀乙字)

・氷室の雪(ひむろのゆき):氷室に保存しておいた雪

・氷室守(ひむろもり): 氷室の番人

神秘(じんぴ)そも 人にはとかじ 氷室守(与謝蕪村)

六月を 桜に知るや 氷室もり(大島蓼太)

氷室守 清き草履の うらを干す(前田普羅)

・氷餅を祝う(ひもちをいわう):陰暦六月一日に宮中の氷室の氷の古例から、氷もちを食べること

・屏風祭(びょうぶまつり):祇園会の別称

・比予利祭(ひよりまつり):桑名祭の別称

・不死男忌(ふじおき):7月25日、昭和期の俳人秋元不死男(1901年~1977年)の忌日。新興俳句運動の第一線で活躍しリアリズムを追求した。このことで戦中に弾圧を受け、二年間の獄中生活を送ることになる。戦後は「天狼」に参加しのちに「氷海」を創刊主宰した。75歳で没す

・富士行者(ふじぎょうじゃ):参詣のための富士登山者のこと

・富士講(ふじこう):富士山を信仰する農民・職人・商人で組織された講社。富士山登拝を行う。浅間講 (せんげんこう) ともいい、江戸時代後半に盛行。明治以後は扶桑教・実行教などとなった

・富士禅定(ふじぜんじょう):富士山・白山・立山などの高山に登って修行し、所願成就を祈ること

・富士道者(ふじどうじゃ):富士詣をする道者(修行者)

・富士詣(ふじもうで):信仰の山である富士山に登り、富士権現に参詣することをいう。昔は、富士講、浅間講という講中があり、陰暦の6月1日から20日までの間に、修験のいでたちで富士山に詣でた

衣裳もや みな白妙の 富士詣(伊藤信徳)

数珠玉や 里の下草 富士詣(椎本才麿)

時しらぬ 布子羽織や 富士詣(米翁)

うすものに 雲の匂や ふじ詣(春和)

焼土に ずりこむ杖や 富士詣(赤木格堂)

・富士山開(ふじやまびらき):富士山信仰と深く関わる浅草浅間神社の祭礼。神社を一段高いところに設け、それを富士山に見立てた山開きが行われる。明治以降、富士の山開きが七月一日になったのをきっかけに、6月1日、7月1日を中心に年二回の祭礼となった。当日は植木市が並び多くの人でにぎわう。江戸浅間祭

・船鉾(ふなほこ):祇園会の鉾山の一つ

・船祭(ふなまつり):天神祭(天満祭)の別称

・米国独立祭(べいこくどくりつさい):7月4日のアメリカの独立記念日。横浜などでも日本駐在のアメリカ人によってこの日が祝われる

・平和祭(へいわさい):8月6日と9日、広島と長崎に原子爆弾が投下された日

・放下鉾(ほうかほこ):祇園会の鉾山の一つ

・茅舎忌(ぼうしゃき):7月17日。俳人川端茅舎(本名:信一)(1897年~1941年)の忌日。東京生まれ。「渋柿」「雲母」などに投句したのち、高浜虚子に師事。約二十年間病臥にありながら「茅舎浄土」と言われる独自の表現世界を創出した

・保昌山(ほうしょうやま):祇園会の鉾山の一つ

・焙烙灸(ほうろくきゅう):土用の日に灸をすえると、ことのほか効きめがあると信じられていた。猛暑で弱った体を灸でを養う意味もあったであろう

・酸漿市/鬼燈市(ほおずきいち):四万六千日の縁日にあたる7月10日とその前日に東京の浅草寺 (せんそうじ) 境内に立つ、ほおずきを売る市

・鉾立(ほこだて):祇園会の鉾を山車の屋根に組立て、二階囃をここに移すこと

・鉾流の神事(ほこながしのしんじ):天神祭(天満祭)の前夜の宵宮祭の際に行なわれる神事

・鉾の稚児(ほこのちご):祇園会の稚児

・鉾町(ほこまち):祇園会のとき、二階囃の稽古の行われる会所のあるところ

・鉾祭(ほこまつり):祇園会のこと

(7)ま行

・万座忌(まんざき):7月25日、昭和期の俳人秋元不死男(1901年~1977年)の忌日。新興俳句運動の第一線で活躍しリアリズムを追求した。このことで戦中に弾圧を受け、二年間の獄中生活を送ることになる。戦後は「天狼」に参加しのちに「氷海」を創刊主宰した。75歳で没す

・神輿洗(みこしあらい):祇園会の際、賀茂川で行う儀式

・水合(みずあわせ):昔、夏の土用の入りの日に御所や堂上家の井戸に行った祓。陰陽道の呪術の一つ

・水合の祓(みずあわせのはらえ/みずあわせのはらい):土用の古い宮廷行事。陰陽師大黒民部が禁裏、仙洞御所の井戸水と与謝郡の天真井の水を合わせ、それに呪術をかけて祓い清めたことをいう

・水替神事(みずかえしんじ):塩釜祭での行事の一つ。塩竈神社に伝わる神竈にある水を入れ替えるもの

・御禊/禊(みそぎ):陰暦六月晦日、神社で行われる神事。人の罪や穢れを祓う。夏の疫病などの災いを逃れ、無事を祈願する。宮中では古くから六月と十二月に行ったが、現在では、六月三十日に行うことが多い。茅の輪潜り、形代を流したりする

吹く風の 中を魚飛ぶ 御祓かな(松尾芭蕉)

沢潟(おもだか)に よる傾城や 御祓川(与謝蕪村)

泪(なみだ)して 命うれしき 御祓かな(三浦樗良)

川ぞひを 戻るもよしや 御祓の夜(加舎白雄)

夕虹も 消えて御祓の 流れかな(高桑闌更)

雨雲の 烏帽子(えぼし)に動く 御祓かな(正岡子規)

・禊川(みそぎがわ):みそぎをする川。特に、夏越 (なごし) の祓 (はらえ) の神事を行う川

・御手洗会(みたらしえ):土用の丑の日、京都市・下鴨神社(糺宮)の東側を流れる清流御手洗川で修せられる祓

・御手洗団子(みたらしだんご):土用の御手洗詣の時に売られる団子

・御手洗詣(みたらしもうで):土用の丑の日、京都市・下鴨神社(糺宮)の東側を流れる清流御手洗川で修せられる祓

・水無月祓(みなづきはらえ):夏越しのに同じ

・南観音山(みなみかんのんやま):祇園会の鉾山の一つ

・神葭流し(みよしながし):津島祭で行われる厄送りの行事

・無言詣(むごんもうで):祇園会の際、無言で詣でると願いごとのしるしがあるとされる俗信

・目玉争奪(めだまそうだつ):大牟田の祇園会

・孟宗山(もうそうやま):祇園会の鉾山の一つ

・文殊会(もんじゅえ):文殊菩薩を供養する法会。毎年7月8日に諸国の寺院で行われたが、のち京都の東寺・西寺のものが有名になった

(8)や行

・弥彦燈籠祭(やひことうろうまつり):新潟県弥彦村弥彦神社の夏の大祭。7月24日から26日にかけて行われる。千年の昔からの祭といわれ、近郷近在の参詣者でにぎわう。本祭の25日の夜には神輿渡御、大燈籠巡行がある。深夜、稚児による神楽舞が奉納される

・山笠(やまがさ):博多の祇園祭で使われる山車

・山開き(やまびらき):夏山のシーズンの初めに、その年の登山の安全を祈願して各山で行われる儀式。昔の登山は信仰行事だったので、霊峰には夏季の一定期間以外は登ることを禁じられていた。その禁を解くのが山開で、山により期日はまちまちである

・山伏山(やまぶしやま):祇園会の鉾山の一つ

・山鉾(やまぼこ):山車(だし)の一種。台の上に山の形などの造り物があって、ほこ・なぎなたなどを立てるもの。京都の祇園会のものが特に有名。やま。山棚

・夕爾忌(ゆうじき):8月4日、詩人、俳人、木下夕爾(1914年~1965年)の忌日。夕爾は詩集「田舎の食卓」
で認めらた後、久保田万太郎の俳誌「春燈」に参加、その後、俳誌「春雷」を主宰する。柔らかで抒情的な俳句を作った。詩集に「生まれた家」「昔の家」句集に「南風抄」がある

・宵飾り(よいかざり):氏子が祇園会のとき秘蔵の屛風を美しく飾りつけること

・宵宮詣(よいみやもうで):祇園会の宵宮を詣ること

・宵山(よいやま):祇園会で6月16日と6月23日の行事をいう

・節折(よおり):陰暦6月30日に行なわれた宮廷祭事。天皇、皇后、皇太子の体を竹ではかり、その長さに竹を折るという祓いの儀式

・吉野の蛙飛(よしののかわずとび): 7月7日奈良県吉野の金峰山寺蔵王堂で、開祖、役小角(えんのおづの)の蓮華会の際に行われる祭事。昔蔵王権現を侮った行者が大鷲にさらわれ、金峰山の岩屋から降りられなくなった。その際、高僧が行者を蛙にして助けたという。修験の威力を示す行事である

・吉野秀雄忌(よしのひでおき):7月15日、昭和期の歌人吉野秀雄(1902年~1967年)の忌日

(9)ら行

・雷の壷(らいのつぼ):雷鳴陣の時に天皇が居る寝殿

・龍之介忌(りゅうのすけき):7月24日。作家、芥川龍之介(1892年~1927年)の忌日。「我鬼忌」「河童忌」「澄江堂(ちょうこうどう)忌」ともいう

・両国川開き(りょうごくかわびらき):東京隅田川の両国橋での川開き。花火大会などが行われる

・両国の花火(りょうごくのはなび):隅田川の川開きで行われた花火大会。現在は8月1日に行われる

・蓮華会(れんげえ):7月7日、奈良・金峰山寺で行われる会式。吉野の蛙飛が行われるので有名

・六千日さま(ろくせんにちさま):7月9日と10日、観世音菩薩の結縁日で、この日に参詣すると四万六千日分の功徳があるという。東京浅草観音が有名で、境内には鬼灯市が立つ。地方によっては八月に行う

・露伴忌(ろはんき):7月30日、明治・大正・昭和初期の小説家幸田露伴(1867年~1947年)の忌日

(10)わ行

・輪越祭(わごしまつり):夏越の祓の茅の輪をくぐる行事の岡山での呼称