漢字発祥の国だけあって、中国の「四字熟語」は、人生訓にもなるような含蓄に富んでおり、数千年の悠久の歴史を背景とした故事に由来するものも多く、人類の叡智の結晶とも言えます。
そこで今回は、「機会」「好機」を表す四字熟語をご紹介したいと思います。
1.一期一会(いちごいちえ)
一生に一度だけの機会、生涯に一度限りであることです。生涯に一回しかないと考えて、そのことに専念する意です。
もと茶道の心得を表した語で、どの茶会でも一生に一度のものと心得て、主客ともに誠意を尽くすべきことをいいます。
千利休の弟子宗二の『山上宗二記(やまのうえそうじき)』に「一期に一度の会」とあるのに由来します。「一期」は仏教語で、人が生まれてから死ぬまでの間の意です。
2.奇貨可居(きかかきょ)
好機はうまくとらえて、利用しなければならないというたとえです。珍しい値打ちのある物は貯えておいて、将来値が上がってから売ることです。
「奇貨」は珍しい価値のあるもので、転じて、絶好の機会のたとえです。「居」はたくわえる、手元に置く意です。
一般に「奇貨居(お)く可(べ)し」と訓読を用います。
中国戦国時代末、趙(ちょう)の人質となっていた秦(しん)の子楚(しそ)を豪商の呂不韋(りょふい)が見出し、「これは掘り出しものだ、とっておかなくては」と援助し、のち子楚は秦の荘襄王(そうじょうおう)(始皇帝の父)となり、呂不韋はその大臣となった故事に由来します。
3.好機到来(こうきとうらい)
またとない良い機会がめぐってくること、絶好の機会に恵まれることです。
「好機」はちょうどよい機会、またとない機会のことです。「到来」は時機・機会の来ることです。
4.虎視眈々(こしたんたん)
強い者が機会をねらって形勢をうかがっているさまです。虎が獲物をねらって、鋭い目でじっと見下ろす意から。
「虎視」は虎が獲物をねらい見ることで、「眈眈」は虎が見下ろすさま、ねらい見るさまです。
5.戢鱗潜翼(しゅうりんせんよく)
志を持ち続け、機会が来ることをひたすら待つことのたとえです。
「戢」はおさめることで、「戢鱗」は竜が鱗をおさめて動かないことです。
「潜翼」は羽を縮めて動かないことです。
「鱗(りん)を戢(おさ)め翼(よく)を潜(ひそ)む」と訓読します。
6.千載一遇(せんざいいちぐう)
滅多に訪れそうもないよい機会、二度と来ないかもしれないほど恵まれた状態のことです。
「載」は「年」に同じで、「一遇」は一度出会うことです。「遇」は思いがけず出くわすことで、千年に一度偶然訪れるくらいの機会という意味です。
7.啐啄同時(そったくどうじ)
またとない好機のことです。また、学ぼうとする者と教え導く者の息が合って、相通じることです。
鳥の雛が卵から出ようと鳴く声と母鳥が外から殻をつつくのが同時であるという意から。
8.重見天日(ちょうけんてんじつ)
暗い状況から抜け出すこと、悪い状態から脱却し再び良いほうに向かうことです。
「重見」は再び見る意で、「天日」は太陽のことです。
「重ねて天日を見る」と訓読します。
9.秉燭夜遊(へいしょくやゆう)
人生は短いので、夜遅くまで遊んで楽しもうという意味です。
「秉燭」は手に灯りを持つことです。