漢字発祥の国だけあって、中国の「四字熟語」は、人生訓にもなるような含蓄に富んでおり、数千年の悠久の歴史を背景とした故事に由来するものも多く、人類の叡智の結晶とも言えます。
そこで今回は、「元気・健康」を表す四字熟語のうち、「元気・活気」を表す四字熟語をご紹介したいと思います。
1.元気・活気
(1)意気軒昂(いきけんこう)
意気込んで、奮い立つさま。元気や勢力が盛んなさまで、威勢のいい様子。
「意気」はあふれ出る元気、「軒昂」は高くあがる意。
(2)意気衝天(いきしょうてん)
意気込みや元気が、このうえなく盛んな状態。
「衝天」は天を突き上げる意。勢いの盛んなことのたとえ。「意気(いき)天(てん)を衝(つ)く」と訓読する。
(3)意気揚揚(いきようよう)
得意げで威勢のよいさま。いかにも誇らしげに振る舞うさま。
「揚揚」は得意な様子。
(4)雨後春筍(うごしゅんじゅん)
同じようなものが次から次へと出現したり、発生したりすること。
「筍」は植物のたけのこ。
雨が降った後に、たけのこが次から次へと生えてくるという意味から。
(5)鬱鬱葱葱(うつうつそうそう)
樹木がうっそうと茂るさま。また、気の盛んに立ちのぼり、満ちるさま。
「鬱鬱」は、草木がさかんに茂るさま(気がふさぐという意味もある)。「葱葱」は、草木が青々と茂るさま。
(6)鬱鬱勃勃(うつうつぼつぼつ)
草木がこんもりと茂るさま。また、意気や生気に満ち満ちているさま。
「鬱鬱」は、草木がさかんに茂るさま。ほかに、気がふさぐという意味もある。「勃勃」は、物事が勢いよく起こり立つさま。
(7)回山倒海(かいざんとうかい)
勢いがきわめて盛んな形容。山をころがし海をひっくり返す意から。
「回」はまわる、まわす意。
「山(やま)を回(めぐ)らし海(うみ)を倒(たお)す」と訓読する。
(8)鎧袖一触(がいしゅういっしょく)
相手をたやすく打ち負かしてしまうたとえ。弱い敵人にたやすく一撃を加えるたとえ。
鎧(よろい)の袖(そで)がわずかに触れただけで、敵が即座に倒れる意から。
「鎧袖」は鎧の袖。「一触」はほんの少し触れること。
(9)快犢破車(かいとくはしゃ)
大成する才能をもった子供は、無茶をすることがよくあるが、周りにいる人は肝要に見守るべきであるということ。
または、そのような子供には、自身の感情や欲望を抑えることを教え、しっかりとした大人になるようにするべきであるということ。
または、そのような子供が成長していくのは楽しみであるということ。
「快犢」は威勢のよい子牛。「破車」は車を破壊すること。
「快犢(かいとく)車(くるま)を破る」と訓読する。
(10)呵呵大笑(かかたいしょう/かかだいしょう)
大声をあげて笑うこと。
「呵呵」は大声で笑うさま。「大」は「だい」とも読む。
(11)活火激発(かっかげきはつ)
激しい炎が勢いよく起こること。
「活火」は火が激しく燃えている様子。「激発」は爆発すること。
火山が爆発するように炎が激しくおこることをいう言葉。
(12)渇驥奔泉(かっきほんせん)
勢いが非常に激しいことのたとえ。
または、書の筆遣いに力強さと勢いがあって素晴らしいこと。
「驥」は一日で千里の距離を走ることができるとされるすぐれた馬、駿馬のこと。
「奔」は非常に速く走ること。
のどが渇いて水が飲みたい駿馬が全力で泉に向かって走るという意味から。
中国の唐の時代の徐浩の書を言い表した言葉から。
「渇驥(かっき)泉(いずみ)に奔(はし)る」と訓読する。
(13)豁達豪放/闊達豪放(かったつごうほう)
心が広く、大らかな性格。また、度量が大きく堂々とした様子。
「豁達」は心が広く、細かいことにこだわらないこと。
「豪放」は小さなことにこだわらず、豪快なこと。
「豪放豁達(豪放闊達)」ともいう。
(14)闊達自在(かったつじざい)
心が広く小事にこだわらないさま。思いのままにのびのびしているさま。
「闊達」は度量の大きく細事にこだわらないこと。「自在」は何の束縛もなく思いのままなこと。
(15)豁達大度(かったつたいど)
心が広く、小さなことにこだわらないこと。
または、隠し事などなく、ありのままの性格で、包容力があること。
「豁達」と「大度」はどちらも心が広いということ。
(16)活潑婉麗(かっぱつえんれい)
元気がよく、たおやかで美しい様子。
「活潑」は生き生きとしていて元気のある様子。「婉麗」はたおやかで美しい様子。
(17)活潑豪宕(かっぱつごうとう)
威勢がよく、度量が大きく、細かいことにこだわらない様子。
「活潑」は生き生きとしていて元気のある様子。
「豪宕」は度量が大きく、細かいことにこだわらないこと。
(18)活溌溌地/活撥撥地(かっぱつはっち/かっぱつぱっち/かつはつはっち)
生き生きとして勢いのあるさま。意気盛んで、元気のあるさま。
「活溌溌」は魚がぴちぴちと勢いよくはね上がるさま。「地」は助字。
(19)撼天動地(かんてんどうち)
活動がめざましいこと、人々を驚かすほどの大きな出来事のたとえ。また、音声がきわめて大きいことのたとえ。
「撼」は、揺り動かす。天地を揺り動かすという意から。
(20)感奮興起(かんぷんこうき)
心に深く感じて奮い立つこと。
「感奮」は心を揺り動かされて奮い立つこと。「興起」は奮いおこること。
(21)気炎万丈/気焔万丈(きえんばんじょう)
意気込みが他を圧倒するほど盛んであること。多くは意気盛んな談論についていう。
「気炎」は炎が燃え上がるように盛んな気勢。意気込み。「万丈」は非常に高いこと。「丈」は長さの単位。気勢を上げるのを高く燃えあがる炎にたとえたもの。
(22)旗鼓堂堂(きこどうどう)
軍隊が整然として勢いや威厳のあるさま。転じて、一般に隊列をなして行進するさまなどの形容にも用いる。また、文筆の勢いの盛んな形容。
「旗鼓」は軍旗と太鼓。転じて、軍隊。「堂堂」は陣容などが整って盛んなさま。また、威厳のあるさま。
(23)旭日昇天(きょくじつしょうてん)
勢いがきわめて盛んなたとえ。朝日が勢いよく天空に昇る意から。
「旭日」は朝日。「昇天」は天に昇ること。
(24)決河之勢(けっかのいきおい)
抑えようとしてもどうしても抑えきれないほどの猛烈な勢いのたとえ。
「決河」は、川の水が堤防を破って流れ出すことで、「決壊」と同意。堤防が決壊して川の水が流れ出るときのような勢いという意から。
(25)元気潑溂/元気潑剌(げんきはつらつ)
「元気」は、生き生きとして活力があるさま。また、健康であるさま。「潑溂」は、魚が元気よく飛びはねるさま。転じて、きびきびとして元気がいいさま。同意のことばを重ねて強調したもの。
(26)光焰万丈/光炎万丈(こうえんばんじょう)
詩や文章などの内容が雄大で力強いさま。
「光焰万丈長(なが)し」の略で、中国唐の時代、著名な文人の韓愈(かんゆ)が李白(りはく)や杜甫(とほ)の詩文を形容したもの。
「光焰」は、光り輝く炎のことから転じて、勢いが盛んなこと。力強さが感じられる詩文のたとえ。「万丈」は、非常に高いさま、非常に深いさま。
(27)昂首闊歩(こうしゅかっぽ)
威張って好き勝手に振舞うこと。
「昂首」は頭を上げること。「闊歩」は好き勝手に歩くこと。
顔を上げて、両足を広げて気ままに歩くという意味から。
(28)骨騰肉飛(こっとうにくひ)
心も体も躍動すること。または、美しい女性を見て、情欲が沸き立つ様子のこと。
元は、兵士が戦場を勇敢に走り回る様子をいう言葉。
「骨(ほね)騰(おど)り肉(にく)飛ぶ」と訓読する。
(29)三面六臂(さんめんろっぴ)
三つの顔と六つの腕をもつ意から、一人で何人分かの働きをすること。また、一人で多方面にわたって活躍すること。
「面」は顔。「臂」はひじ・腕のこと。
(30)死灰復燃/死灰復然(しかいふくねん)
一度、消滅したり衰退したものが、再び勢力を盛り返すこと。決着がついて収束したはずのことが、また問題となること。一度火が消えてしまった灰から、再び燃え上がることから。
「死灰」は、火が消えて冷たくなった灰。「燃」は、燃える。
「死灰(しかい)、復(また)燃(も)ゆ」と訓読する。
(31)士気高揚(しきこうよう)
集団で事を起こす時に、全員の熱意や意気込みが高まること。やる気が、皆に満ちあふれること。
「士気」は、戦いに臨む兵士たちのやる気、意気込み。「高揚」は、気分や精神が盛り上がること。「士気高揚を促す」のように使う。
(32)獅子奮迅(ししふんじん)
獅子が奮い立って、猛進するような激しい勢い。また、そのような猛烈な勢いで活動すること。
「獅子」はライオン。「奮迅」は激しく奮い立つさま。
(33)縦横無尽(じゅうおうむじん)
自由自在に物事を行うさま。思う存分に。四方八方に限りない意から。
「縦横」はたてとよこ。四方八方。転じて、自分の思うとおりに振る舞うさま。自由自在に。「無尽」は尽き窮まることがないこと。
(34)自由闊達/自由豁達(じゆうかったつ)
心が広くのびのびとして物事にこだわらないさま。
「闊達」は度量が大きく、小事にこだわらないさま。
「闊達自由(豁達自由)」ともいう。
(35)自由奔放(じゆうほんぽう)
他を気にかけず、自分の思うままに振る舞うさま。
「奔放」は勢いのあるさま。転じて、周りにとらわれず、思いのままに振る舞うさま。
(36)少壮気鋭(しょうそうきえい)
年が若く意気盛んで、将来が期待されること。また、その人。
「少壮」は二十代、三十代の年若く意気盛んな年ごろ。「気鋭」は意気込みの鋭いこと。
(37)少壮有為(しょうそうゆうい)
若く意気に溢れ、有能であること。
「少壮」は若くて意気が盛んなこと。「有為」は才能があって役に立つこと。
(38)進取果敢(しんしゅかかん)
みずから進んで積極的に事をなし、決断力が強く大胆に突き進むさま。
「進取」はみずから進んで事をなすこと。「果敢」は決断力が強く大胆に物事を行うさま。
(39)新進気鋭(しんしんきえい)
新たにその分野に現れ、意気込みが鋭く、将来有望なさま。また、そういう人のこと。
「新進」は新しくその場に出る、新しく仲間入りする意。「気鋭」は意気込みが鋭く盛んなさま。
(40)人心沸騰(じんしんふっとう)
多くの人々の心が熱狂すること。
「人心」はたくさんの人たちの心。「沸騰」は興奮状態になること。
(41)振臂一呼(しんぴいっこ)
自分自身を奮い立たせること。
「振臂」は腕を振ること。「一呼」は声を出すこと。
腕を振って声を出すということから。
(42)生気溌溂/生気溌剌(せいきはつらつ)
生き生きとして、動作や表情に元気のあふれている様子。
「生気」は生き生きとした様子。「溌溂」は魚の元気よくはねるさまから、動作や表情に元気のあふれているさま。
(43)精力絶倫(せいりょくぜつりん)
とびぬけて元気であるさま。力がみなぎっていること。一般には、男性の性的能力がなみはずれて強いという意味で使われる。
「精力」は、心身が元気で活動的であること。「絶倫」は、「倫(たぐい)を絶(ぜっ)す」と読み、比較にならないほど、すぐれているさま。
(44)脱兎之勢(だっとのいきおい)
動きが非常に素早い様子。
罠から逃げる兎のように素早いという意味から。
(45)直往邁進(ちょくおうまいしん)
ためらわずにまっすぐ突き進むこと。
「直往」はまっすぐに行くこと。「邁進」は恐れずに前進すること。
(46)闘志満満(とうしまんまん)
闘争心がからだじゅうに満ち満ちていること。
(47)呑牛之気(どんぎゅうのき)
やる気に満ち溢れていること。
牛を丸呑みするほどに大きな心意気という意味から。
(48)幕天席地(ばくてんせきち)
志気が非常に盛んなこと。また、気持ちの大きいたとえ。
天を屋根の代わりの幕とし、大地を座席のむしろにする意から。「席」はむしろ。
「天(てん)を幕(まく)とし地(ち)を席(せき)とす」と訓読する。
(49)破竹之勢(はちくのいきおい)
竹が割れるように、さえぎりようのないほど勢いが盛んなさま。また物事が勢いよく順調に進むさま。戦いなどに次々と勝ち進むさま。
「破竹」は、竹が割れること。竹は最初の一節が裂けると、一気に裂けることから。
(50)抜山蓋世(ばつざんがいせい)
山を引き抜くほどの強大な力と、世を覆い尽くすほどの気力があること。威勢がきわめて盛んなさま。
もとは漢の劉邦(りゅうほう)と天下を争った楚の項羽(こうう)が、寵愛する虞美人(ぐびじん)と最後の酒宴を催した折に、自分の盛んな力量と意気をいった語。
「抜山」は山を引き抜くこと。「蓋世」は世を覆う、世を圧倒すること。「力は山を抜き、気は世を蓋(おお)う」の略。
「山(やま)を抜(ぬ)き世(よ)を蓋(おお)う」と訓読する。
(51)抜山翻海(ばつざんほんかい)
やる気に満ち溢れているさま。
「抜山」は山を引っ張って抜くこと。「翻海」は海の上下を逆さにすること。
山を引き抜いて、海を逆さまにするほどに勇ましくやる気に満ち溢れている様子から。
(52)発揚蹈厲(はつようとうれい)
舞の動きが荒々しく激しい様子。または、気持ちを奮い立たせてやる気を高める様子。
「発揚」は精神が高ぶること。「蹈厲」は気持ちを高めること。
(53)万馬奔騰(ばんばほんとう)
多くの馬が走ったり跳ねたりするように、勢いのきわめて盛んなさま。
「奔」は勢いよく走る意。「騰」は高くとび跳ねる意。
(54)噴薄激盪(ふんぱくげきとう)
水しぶきが激しく吹き上がり、水の流れが激しく揺れ動くこと。
「噴薄」は水の流れがよく、水しぶきが吹き上がること。
「激盪」は水の流れが激しく揺れ動くこと。
(55)霹靂閃電(へきれきせんでん)
激しく勢いがあって非常にすばやいことのたとえ。
「霹靂」は前触れもなく急に雷鳴が轟くこと。「閃電」は雷がきらめくこと。
(56)勇往邁進(ゆうおうまいしん)
恐れることなく、自分の目的・目標に向かって、ひたすら前進すること。
「勇往」は勇んで行くこと。「邁進」は勇敢に突き進んで行くこと。元気よく前進すること。
(57)愉快活発(ゆかいかっぱつ)
元気があって楽しい気分の様子。または、盛んな勢いがあって、元気で心地よい様子。
「愉快」は楽しくて気持ちのよい様子。「活発」は勢いがあって生き生きとしている様子。
(58)揚眉吐気(ようびとき)/吐気揚眉(ときようび)
目的を成し遂げて思いっきり喜ぶこと。
または、我慢を強いられていた環境から解放されて喜ぶこと。
または、積極的な心持ちになっていて活気づいている様子。
眉を上げて息を吐くことから笑顔や活気のある様子のこと。
「眉(まゆ)を揚(あ)げ気(き)を吐(は)く」と訓読する。
(59)雷轟電撃(らいごうでんげき)
「雷轟」は雷が鳴り響くこと、「電撃」は稲光が走るという意味から、勢いが非常に激しいこと。
(60)雷霆万鈞(らいていばんきん)
他の比ではないほどの激しい勢いや力のたとえ。
「雷霆」は雷が轟くこと。「鈞」は重さの単位のことで、「万鈞」は非常に重いこと。
(61)竜驤虎視(りょうじょうこし/りゅうじょうこし)
竜や虎のように意気が盛んで、権力を持ち世の中を威圧すること。
「驤」は躍り上がること。「虎視」はとらが鋭い目つきで獲物をにらむこと。
(62)竜驤麟振(りょうじょうりんしん)
勢いが非常に盛んな様子。
竜のように勢いよく天に昇り、麒麟のように勇み立つということから。
「竜」と「麟」は竜と麒麟のことで、どちらも伝説上の生物のこと。