「名もなく貧しく美しく」の映画と重なる昭和30年代が懐かしい

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名もなく貧しく美しく

1.名もなく貧しく美しく

Trailer 名もなく貧しく美しく (1961)

私が小学生のころに、「名もなく貧しく美しく」という映画がありました。

終戦直後のお話で、貧しい「ろうあ者夫婦」とその子供が、いろいろな困難の中をたくましく生きて行くという松山善三監督の作品です。

よく似たフレーズに宝塚歌劇団の「清く正しく美しく」というのがありますね。これは、宝塚歌劇団の創設者で、阪急電鉄の創業社長でもある小林一三翁の遺訓だそうです。

華やかな夢の舞台を支える「歌やダンス、演劇」といった芸能の基本は勿論、礼儀作法やマナーをわきまえ、一人の女性として、社会人としての品格を忘れないようにと贈った言葉だそうです。

やはり、昔の経営者は、今のサラリーマン社長と違って、風格・品格がありましたね。

2.豊かな時代に慣れると貧しい時代には戻れない

ところで、今は「飽食の時代」といわれる「豊かな時代」ですが、私のような「団塊世代」にとっては、幼稚園・小学生時代にあたる「貧しい昭和30年~36年ころ」がなぜかとても懐かしいのです。

あのころは、確かに貧しかったけれど、楽しい時代だった」と思うわけです。

よく昭和30年代の日本の子供の様子を撮った懐かしい写真集がありますが、皆貧しい身なりですが、どの子供も「はじけるような明るい笑顔」が印象的です。アフリカなどの開発途上国の子供たちの写真集も似たような印象を受けます。今のどん底の状態から明るい未来へ向かって行くという確信に満ちた希望があるからでしょうか?

それに比べると、現代の欧米や日本のような先進国の子供たちは、憂鬱で不機嫌そうだったり、無表情だったりすることが多いような気がします。

若い人たちには、「団塊おやじの単なるノスタルジア」と嘲笑されるだけかもしれませんが、あのころは我々にとってはまさに「古き良き時代」であり、「名もなく貧しく美しく」生きた時代だったのです。

ただ、それでは今から「あの時代の戻れ」と言われても、無理かもしれません。

便利で豊かな時代にどっぷりと漬かってしまった身には、「カラーテレビなし」、「洗濯機なし」、「冷蔵庫なし」、「クーラーなし」、「車なし」、「水洗トイレなし」、「パソコンなし」、「インターネットなし」、「スマホなし」、「スーパーなし」、「コンビニなし」、「CDなし」、「新幹線なし」、「高速道路なし」・・・といった不便で貧しい生活には、もう戻れません。

人間って、本当に勝手なものですね。

3.国民の幸福度世界一のブータンのその後(2019/8/7追記)

数年前にブータンが「国民の幸福度が世界一」ということで大変話題になりましたね。しかし、この国もご多分に漏れず、スマホの普及が目覚ましく、若者の失業率の増加などもあって、国民はかつてのような希望に満ちた明るさを失っているようです。