「ゴーン元会長」が「会社を私物化」

フォローする



カルロスゴーン

1.ゴーン元会長が会社の私物化で逮捕

日産自動車のカルロス・ゴーン元会長が、「金融商品取引法違反」容疑で逮捕されました。

ゴーン容疑者は、自らの役員報酬を実際の金額より少なく「有価証券報告書」に記載して、「有価証券報告書の虚偽記載」(「役員報酬の過少記載」)したというものです。平成23年~27年の5年間で約50憶円少なく記載したとのことですが、その後の調べでさらに約30億円もごまかしていたそうです。

その他、ブラジルや、フランス、レバノン、オランダで高級住宅を、海外子会社の金で買わせて、ゴーン容疑者の姉(ブラジル)や自分が無償で使っていた(「投資資金の私的流用」)ほか、ゴーン容疑者の姉と実務実態のない「アドバイザー契約」(「経費の不正支出」)を結び、2002年以降毎年10万ドルを日産に支払わせていたということです。

また、ゴーン容疑者自身の私的投資の損失17億円を日産に付け替えていた疑いもあるようです。

日本国民の一人として、「会社を私物化して食い物にした」ゴーン容疑者に対しては、東京地検特捜部による徹底的な捜査を望みたいと思います。

2.「カリスマ経営者」ではなく「獅子身中の虫」だった

ゴーン容疑者は、1999年、ルノーが経営危機に陥った日産の株式の36.8%を取得して資本提携を結んだ後、「最高執行責任者(COO)」として送り込まれました。2001年には「最高経営責任者(CEO)」となっています。

彼は、「日産リバイバルプラン」というリストラ策で、主力工場の閉鎖や大規模な人員削減で「コストカッター」と呼ばれながら、日産の経営をV字回復させたとして、「カリスマ経営者」ともてはやされました。

3.司法取引

しかし、同時進行で、経営危機に瀕した日産の弱味に付け込んで「会社の私物化」を進めていたことが、今回の内部告発で明らかになった訳です。この「内部告発」には、2016年に日本にも導入された「司法取引」制度が大きな役割を果たしました。

「司法取引」とは、「裁判において、被告人と検察官が取引をし、被告が罪を認めるか、あるいは共犯者を法廷で告発する、あるいは捜査に協力することで、求刑の軽減、またはいくつかの罪状の取り下げを行うこと」です。

アメリカでは、古くから行われている制度で、テレビドラマなどでも見たことがあります。

「権力は必ず腐敗する」とよく言われますが、ゴーン容疑者の場合は、最初から「会社を私物化」する行動を取っていることから、悪質性は非常に高いと私は思います。

ルノー・日産・三菱自動車の三社連合というのも、今や弱体化したルノーが復活した日産の利益を吸い取るような構造になっていますので、日産としては、ゴーン容疑者逮捕を契機として、提携見直しに動くのは不可避と思われます。

日本での「司法取引」今回の事件で2例目だそうですが、「司法取引」の有効性が見事に証明されたような格好です。今後も同様の事件が「司法取引」を利用して出て来るような気が、私にはしています。