1.「元徴用工訴訟」の韓国大法院判決は不当
今年10月30日に、韓国大法院(日本の最高裁判所に当たります)がいわゆる「元徴用工訴訟」について、新日鉄住金に対して約4千万円の賠償を命じる判決を下しました。
太平洋戦争中に「徴用工として、日本で強制的に働かされた」と虚偽の主張をする韓国人4人が、新日鉄住金に対して損害賠償を求めた裁判のことです。
この問題については、既に安倍首相が、「本件は、1965年の『日韓請求権協定』によって、完全かつ最終的に解決している。この判決は国際法に照らして、あり得ない判断だ。日本政府として、毅然として対応して行く」と述べています。至極まっとうな対応で、日本国民として当然だと思います。
2.日韓請求権協定
『日韓請求権協定』とは、「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」のことで、略称は「韓国との請求権・経済協力協定」です。「日韓基本条約」と共に結ばれ、「日本が韓国に5億ドルの経済支援を行うことで、両国及び国民の間での請求権を完全かつ最終的に解決した」とする内容です。
当時の韓国の国家予算が3.5億ドル程度でしたから、国家予算の1.4倍もの巨額の経済支援だった訳です。ですから、いわゆる「元徴用工」や「従軍慰安婦」に対する支払いも全て韓国政府が責任を持って行うという話だったのです。
しかし、今回の報道で気になるのは、どのメディアも「元徴用工」という言葉を使っていることです。この言葉が独り歩きしていますが、彼らは「募集に応じた工員」であって、「決して強制労働させられたわけではない」ということです。
それが「徴用工」という言葉が独り歩きして「強制労働」(forced labour)ではないのに、そのような誤解を与えてしまっている点が、大変気になります。
韓国外務省が、英訳で意図的に「forced labour」という言葉を使っていますが、日本政府は、「彼らが募集に応じた者で、強制連行ではないことを明確にするために、【朝鮮半島出身労働者】に呼称統一している」のに、日本のマスメディアが、韓国の意向に迎合するような「元徴用工」という言葉を使うのは、理解に苦しみます。誤解を拡散するだけで、日本の国益を損なうものだと思います。略称にするなら「募集工」か「応募工」でしょう。
3.従軍慰安婦問題
それと、話は変わりますが、「従軍慰安婦問題」でも、さまざまな問題があります。
もともと、「従軍慰安婦問題」というのは、朝日新聞の吉田清治記者の捏造記事から生まれたもので、「従軍慰安婦は、韓国人の仲介業者などの募集に応じた者で、相当高額の報酬も得ており、決して強制労働ではない」にも拘わらず、「従軍慰安婦」という言葉が、捏造記事とともに、「強制連行」「強制労働」というイメージで全世界に広まり、日本の国益を長年にわたって損なってきたものです。
しかし、2015年12月の日韓政府間合意に基づいて、この問題は「最終的かつ不可逆的に解決」され、その証として日本が10憶円を拠出して、「和解・癒し財団」が韓国で設立されたのです。大阪市大の朴一教授によれば、既に一部の「元慰安婦」はお金を受け取ったそうです。
ところが11月21日に、韓国政府が「慰安婦財団解散、事業終了」と発表しました。安倍首相は同日、直ちに反論し「国際約束が守られなければ、国と国との関係が成り立たなくなる。韓国に責任ある対応を望みたい」と述べています。これも至極まっとうな対応で、日本国民として当然だと思います。
私は、国連人権委員会が、朝日新聞の吉田清治記者による「捏造記事」の誤った情報に基づいて行った「従軍慰安婦」に関する誤った報告書(「クマラスワミ報告書」と「マクドゥーガル報告書」)を「撤回」するよう、日本政府は国連に対して改めて強く求めるべきだと思いますが、いまだに実行されていません。
朝日新聞に至っては、社長名の「捏造記事の謝罪発表」の後は、国連を含む国際社会に対して、「従軍慰安婦問題は捏造記事に基づく誤解であること」の説明も行動も起こしていません。
このような誤った国連報告は、一旦出されると「一人歩き」する危険が極めて大きく、日本の国益を著しく損なう恐れがあります。
4.日本は韓国に対して毅然とした対応を貫くべき
今まで、日本政府は、「大人の対応」で、あまり事を荒立てないように穏便な行動を取ってきましたが、韓国は「政権が変わったら、前政権と外国との約束は平気で反故にする」というのでは、まともな国と国との外交関係は、首相が言うように成り立ちません。
明治時代の啓蒙思想家で教育者の福沢諭吉は「脱亜論」の中で次のように述べ、「朝鮮人との約束は、最初から無効と覚悟せよ」と警鐘を鳴らしています。
左れば斯る国人に対して如何なる約束を結ぶも、背信違約は彼等の持前にして毫も意に介することなし。既に従来の国交際上にも屡ば実験したる所なれば、朝鮮人を相手の約束ならば最初より無効のものと覚悟して、事実上に自ら実を収むるの外なきのみ(『時事新報』明治30年10月7日)
また、司法にしても、政権が代わったからと言って、現在の政権に阿(おもね)るように、過去の国家間の合意を完全に無視した判決を下すに至っては、まともな司法とは思えません。それも、下級裁判所ならいざ知らず、最高裁判所たる大法院がこのような判決を下すとは、信じがたいことです。
文在寅大統領が、「司法の判断を尊重する」と、他人事のようなコメントを出していますが、事の重大性を全く理解していない無責任な発言と言わざるを得ません。
朝日新聞社が、「捏造記事を報道したこと。およびそれによって世界の人々の誤解を招いたこと。日本の国益を長年にわたって損なってきたこと」を全世界に向けて謝罪・説明する努力をすべきなのはもちろんです。
そして、日本政府も国連人権委員会に対して、1996年の「クマラスワミ報告」や、1998年の「マクドゥーガル報告書」が「捏造記事に基づく誤った報告書であるので『撤回』を求める」などの措置を取る必要があるのではないでしょうか?
吉田元首相や白洲次郎のように、「プリンシプル(principle)」を持って、「言うべきことはきちんと言う日本になる」ことを、国際的にも明確にすべき時ではないかと思います。
昨日(11月29日)には、、韓国大法院が今度は三菱重工業に対して、10月30日の新日鉄住金に対すると同様の判決を出しました。この結果、韓国側が日本側の厳重な抗議を無視して同様の判決を出し続けることが確実になりました。
これに対して、即日河野外相が「1965年の日韓請求権協定で、請求権に関する問題は完全かつ最終的に解決された。(判決は)日韓の友好協力関係の法的基盤を根本から覆すもので、断じて受け入れられない」とする談話を発表しました。これも至極まっとうな対応で、日本国民として当然だと思います。
今まで、韓国側に不当な発言や言動が多々あっても、寛容な態度で来ましたが、こうなっては「受忍限度」をはるかに超える暴挙であり、日本政府としては、毅然とした態度で韓国政府に臨み、心からの謝罪と誠意ある対応を求めるのは当然でしょう。
国際司法裁判所(ICJ)への付託などの対抗措置も現実味を帯びて来ました。判決を受けた企業も、日本政府と緊密な連絡を取りながら対応に当たってほしいと思います。