「USJ」の「人気V字回復」の秘密をわかりやすくご紹介します

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USJミニオン

1.USJの人気低迷

「東京ディズニーランド」や「東京ディズニーシー」に比べて、「ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)」は、開業翌年から2009年ころまで、長らく人気低迷が続いていました。

二つの「ディズニー」の方は、団塊世代でもおなじみのミッキーマウスなどのキャラクターがあり、大人から子供まで「家族連れ」で楽しめるほか、大人の熱狂的なディズニーファンもいて、「リピーター」が多いのも特徴です。

先日、30歳を過ぎた女性スタッフが、パワハラを受けたとのことで訴訟を起こしましたが、オリエンタルランドという会社内部の問題であり、入場者数にさほどの影響はないのではないかと思います。

一方、「USJ」の方は、ユニバーサル映画の人気キャラクターが限られている上、「子供」が楽しめるアトラクションや、好きなキャラクターが少ないという弱点がありました。

もともと、USJは、「ゲストの期待と想像をはるかに上回る興奮と感動のライド(乗り物)やショーのアトラクションによって、「ジョーズ」「ジュラシックパーク・ザ・ライド」などハリウッド映画の世界を余すところなく体験できるテーマパーク」というコンセプトで、2001年3月31日にオープンしました。

ユニバーサル映画で数多くの作品を手掛けたスティーヴン・スピルバーグ氏が、パークのクリエイティブ総監督を務めています。

開業初年度こそ入場者数が1100万人を数えましたが、2年目は700万人台に落ち込み、その後はおおむね800万人台で推移していましたが、2009年には日本経済のデフレが進行する中、過去最低の700万人台前半に落ち込みました。

2.USJ人気V字回復の仕掛人

そこへ乗り込んで来たのが、森岡毅執行役員です。彼は、日本を代表するマーケター、戦略家で、ビジネス書のベストセラー作家としての顔も持っています。彼はP&Gでの抜群の実績を買われてヘッドハンティングされ、20010年6月にUSJに入社しました。

彼は、経営回復のための大戦略として、「三段ロケット構想」を掲げました。

第一段ロケットは『USJの弱点であったファミリー集客を強みに変える』ものとして、新エリア「ユニバーサル・ワンダーランド」を2012年にオープンしました。

そこから稼いだ資金で第二段ロケット『集客の関西依存体質からの脱却』を目指して450億円を投下して「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」を2014年にオープンしました。

USJ

そこから稼いだ資金で第三段ロケット『効率的にテーマパークを経営するノウハウで新パークを日本全国やアジアへ多拠点展開する』ことで、USJをエンターテインメント分野におけるアジアのリーディングカンパニーにするという戦略です。

第三段ロケットについては、沖縄県への進出を国や県と計画し、合意直前まで行きましたが、USJが2015年にアメリカのメディア大手のコムキャストに買収され、資本の変化に伴う戦略の変化で中止されました。

なお、森岡氏自身は、2017年1月にUSJを退任しています。「USJ復活という自分の任務は終わった」というのが表向きの理由ですが、USJを買収したコムキャストとの運営方針・成長戦略をめぐる対立があったことは想像に難くありません。

USJのV字業績回復の立役者の森岡氏の業績で特筆すべきなのは、「映画に囚われない自由な発想で集客力の回復を図りチケット料金の大幅値上げもしながら、それを成し遂げたことです。平成28年の入場者数は、1460万人に上っています。

要するに、「脱映画」と言うか、「映画だけという固定観念に縛られず、映画好きの大人だけでなく子供を含む家族連れにも十分楽しんでもらえるテーマパークにする」ことで、人気回復に成功したと言えます。

最近は、USJの人気キャラクターの「ミニオン」や「スパイダーマン」のグッズを持った中国人や韓国人の家族連れ観光客を、大阪駅周辺でよく見かけます。

USJの今後については、部外者の私が心配する話ではありませんが、「第三段ロケット」は凍結して、当面は「ハリーポッター」に投下した450億円という巨額投資の回収に専念すべきだと思います。

実際、コムキャストに買収されてそうなっていますが、「手張り過ぎは禁物」です。「急成長企業」によく見られることですが、手を広げ過ぎると元も子も失うことになりかねません。堅実な経営方針を貫いてほしいと思います。

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