1.日本が「IWC脱退」をようやく決断
去る12月20日、「日本政府はクジラの資源管理を行う「国際捕鯨委員会(IWC)」を脱退する方針を固めた」との報道がありました。
これまで、日本は粘り強く「調査捕鯨」の必要性を訴え続けて来ましたが、IWCは全く「聞く耳を持たない」「考えを変える気持ちは毛頭ない」ということがはっきりしたので、これ以上IWCにとどまる意味は全くなく、逆にマイナスの方が大きいと、「脱退」を決断したものです。
私は、個人的には「もっと早く脱退すべきだった」と思いますが、だらだらとIWCに残って無駄な時間を浪費するより、脱退する方針を固めたことは評価できます。
これで、日本の念願であった「商業捕鯨」再開に向けた道筋が出来た訳です。ただ商業捕鯨を再開しても、30年以上も市場に「鯨肉」が出回っていなかったこともあり、「果たして鯨肉需要があるのか、商業ベースに乗るのか疑問」という意見もあるのは事実ですが・・・
脱退後は、南極海と太平洋で行っていた「調査捕鯨」を取りやめ、来年から日本の「排他的経済水域(EEZ)で「商業捕鯨」を再開することで最終調整しているとのことです。
2.IWCは公正な国際組織ではなくなっている
IWCは、当初捕鯨国(現在41カ国が加盟)でつくる「資源管理機関」でしたが、オーストラリアなどの「反捕鯨国」(現在48カ国が加盟)が増えて、1982年には、「商業捕鯨モラトリアム(一時停止)」が決議され、1988年以降30年間も商業捕鯨が行われていません。
日本は、9月のIWC総会で、「資源が豊富な鯨種に限った商業捕鯨の再開などを提案しましたが、オーストラリアなどが、「あらゆる形態の商業捕鯨や、いわゆる『調査捕鯨』に断固反対する」と主張したため、政府は「IWCが異なる立場や意見の共存を受け入れないことが明らかになった」として「脱退」を決断したものです。
最近、「少数意見に振り回される例が多い」と思います。今回の捕鯨問題は、当初の「捕鯨国による資源管理機関」という目的から逸脱して、本来捕鯨と全く関係のない「反捕鯨国」がたくさん入って来て「政治問題化」させたことが原因です。
3.手前勝手な「クジラ愛護」を主張する国々
オーストラリアなどは、自国の「手前勝手」な「クジラ愛護」の主張を繰り返し、日本の調査捕鯨を過激な暴力行為で妨害する「シーシェパード」(この団体は、「エコテロリスト」と位置づけられています)の犯罪行為も容認・黙認する有様でした。
この「エコテロリスト」は、日本のIWC脱退表明を受けて、2020年の東京五輪での「テロ行動」ないし「示威行動」(「日本不買運動」など)を計画しているとの噂もあります。噂の真偽はともかく、「懲りない面々」ですね。
4.イソップ物語の「オオカミと子羊」の教訓
イソップ物語の「オオカミと子羊」の寓話にあるように、「悪事を働こうとする者は、いつも何かしらの口実を見つける」ものです。「悪事を働こうと決めた者と、どんな議論をしても、その考えを変えさせることはできない」ということです。
そもそも、巨大なクジラが増えすぎることは、餌となる中型や小型の魚の減少を招き、生態系が崩れることは素人にも容易に想像が付きます。
話は脱線しますが、今後、日本はG20や国連などの国際政治の舞台において、武力行使はできなくても、どんどん日本の主張を粘り強く発信し続けることが必要だと思います。
「核」を持たない日本の主張は、日米同盟による「アメリカの核の傘の下」でも、なかなか通らないことも十分予想されますが、国際連合の「常任理事国」の「国連分担金」の増額(中国・イギリス・フランス・ロシアは日本より少なく、特にロシアが9番目と少なすぎます)と「日本の分担金の減額」を、アメリカと連携して強く主張すべきではないでしょうか?