政府は、今年は「皇位継承の年」に当たるという理由で、「死刑執行の当面見合わせ」を検討しているようです。
しかし、これは、本当に必要で妥当な措置なのでしょうか?
1.死刑制度の現状
現在、死刑制度があるのは、日本をはじめ、アメリカ、中国、北朝鮮、ウガンダ、ロシア(ただし1996年以降執行凍結)など少数派になっており、ヨーロッパでは死刑制度を廃止した国が多いようです。
しかし、内閣府の最新の世論調査では、日本で「死刑容認派」は、80.3%、「死刑廃止派」は、9.7%となっています。
死刑廃止論の根拠として「冤罪の可能性」が挙げられることがありますが、それでは、何の罪もないのに亡くなった被害者が浮かばれないと思います。
「犯罪の抑止力」や被害者の犯人に対する「処罰感情」を考えると、存続は必要だと思います。
日本には、まだ死刑執行されていない死刑囚が100人以上いると聞いたことがあります。
2.死刑執行しなかった法務大臣の責任
歴代法務大臣の中には、「在任中、全く死刑執行をしなかった人」や「自分は死刑廃止論者だから死刑執行はしないと公言した人」がいました。
前者は、「職務怠慢の甚だしいもの」であり、後者は、「法務大臣就任要請を受けたら、辞退すべきもの」だと思います。
3.死刑執行の「法令順守」の提案
刑事訴訟法第475条には、次のように明確に定めがあります。
1.死刑の執行は法務大臣の命令による。
2.前項の命令は、判決確定の日から6箇月以内にこれをしなければならない。但し、上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申し出がされ、その手続が終了するまでの期間及び共同被告人であった者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない。
つまり「死刑判決確定後、一定期間内に法務大臣がサインして、死刑を執行する」と定められているのですから、粛々と順次執行すべきではないかと思います。
逆に、ずるずると引き延ばすのは、三権分立に反する行政府の(怠慢)行為ではないでしょうか?
かつて、鳩山邦夫法務大臣が、「死刑の執行は機械的に行えないものか」と発言して物議を醸したことがあります。しかし、この真意は、「死刑囚のうちの誰に対して執行するか、いつ執行するかという判断を法務大臣一人がしなければならない責任の重大さ、苦悩」を表したもので、決して無責任な言葉ではないと思います。
4.今年の死刑執行見合わせの妥当性
「皇位継承」と「死刑執行」は何ら関係ないし、妨げにはならないと思います。法務大臣は粛々と死刑執行すべきではないでしょうか?