「日本人の発明」は意外と多い!しかも現代の生活に欠かせない物が多い

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OSトロン

かつて、「日本人は物まねは得意だが、独創性・創造力に欠ける」とよく言われました。その原因を「日本の教育と欧米の教育の違い」に求める議論もあったように思います。欧米の「自由な教育」に比べて、「詰込み教育」だと批判する立場の教育評論家や教育学者などの意見です。これは「自虐史観」と同様、自ら日本民族を卑下し過小評価する誤った考え方だと私は思います。

アドルフ・ヒトラーも「日本人は創造力の欠如した劣等民族、ただしドイツの手先として使うなら小器用・小利口で役に立つ存在」と「我が闘争」で述べています。

日本の組織では「出る杭は打たれる」ということで、あまり他より突出することは嫌われます。そういうわけで、優れた科学者が「頭脳流出」してアメリカなどで研究した結果、立派な業績を上げて「ノーベル賞」を受賞するということもありました。

自然科学三分野(物理学、化学、医学・生理学)における日本人のノーベル賞の受賞者数は、戦後から現在までで、アメリカ・イギリス・ドイツに次ぐ4位で、21世紀にはいってからでは、アメリカに次ぐ2位です。

確かに、欧米人が発明したものに改善を加えてもっと優れた製品を作ることは、日本人が得意とするところだったと思います。

しかし、日本人には本当に独創性・創造力がないのかというと、そうではありません。日本人の発明した物で現代の我々の生活に欠かすことの出来ないものは少なくありません。また、ヨーロッパの絵画に大きな影響を与えた「浮世絵」のような日本独自の素晴らしい芸術もあります。

1.カラオケ

カラオケは1971年に、バンドマン出身の井上大佑氏が発明しました。8トラック再生機に、あらかじめ用意された「調」や「テンポ」から選択して再生、歌唱できるテープを添付して「8Juke(エイトジューク)」としてリース販売を開始し、人気を博しました。初期のものはコイン式の有料再生装置でした。

2.カーナビゲーション

以前のGPSの電波航法だけに頼る方式は、アメリカ軍の軍事上の理由から100m程度の誤差があったり運用が保障されなかったり、トンネルなど電波の届かない所では利用できないという問題がありました。

民生用のカーナビゲーションを最初に普及させたのは日本です。GPSの電波航法と自らのセンサー類に基づく自立航法を組み合わせ、さらにCD-ROMに記録された道路地図情報を必要に応じて読み出し、自車走行経路の情報と照合することで正確に自車位置を特定する「マップマッチング」という方式が取られるようになりました。

1981年にホンダが「ジャイロ式カーナビ」を発売しました。1991年にはパイオニアが世界で初めて市販モデルで「GPS式カーナビ」を発売しました。

3.LED(発光ダイオード)

LED(light emitting diode)とは、「ダイオード」の一種で、「順方向に電圧を加えた際に発光する半導体素子」のことです。「ダイオード」とは、「整流作用(電流を一定方向にしか流さない作用)を持つ電子素子」のことです。

光源として用いるには「白色」が適していますが、LEDは以前は「赤色」と「黄緑色」だけでした。「青色」がなくては「白色」を出すのが難しく、照明としての明るさも足りませんでした。

そのため、せっかくのLEDも広範囲には活用できず、「青色LED」(青色発光ダイオード)の開発は20世紀中にはできないだろうと考えられていました。

ところが、1990年代初めに赤崎勇、天野浩、中村修二の三氏が、窒化ガリウムによる「青色LED」(青色発光ダイオード)の半導体を発明しました。これで「光の三原色」がそろい、白色光源のLEDが実用化されるようになったわけです。

最近の照明器具は圧倒的にLEDが多くなったように思います。LEDは長寿命で、消費電力が少なく、低発熱でCO2の排出量も少ない上、様々な色の光を出せるなどメリットが多いからです。

青色の光は波長が短いので、デジタルデータの書き込みに使えば容量を大幅に増やすことができるなど、青色LEDによって可能になることはたくさんあります。

今後地球上でLEDが用いられる場面はますます増えていくと思われます。青色LEDそのものよりも、開発によって可能になった技術の多さ、人類にもたらされる利益の多さが画期的なのです。

赤崎勇、天野浩、中村修二の三氏が2014年の「ノーベル物理学賞」に輝いたのも当然と言えます。

4.アニメ・ゲーム

アメリカにもディズニーなどのアニメはあります。テレビゲーム・コンピューターゲームも最初は外国で誕生しています。しかし、現在世界中で人気のあるアニメやゲームは日本のものではないかと思います。これは、厳密には「発明」ではありませんが、「模倣から出発して独自の作品を創造し、進化させた好例」で「大人の鑑賞にも耐えうる、大人も楽しめるもの」を作り上げたと言えるでしょう。

5.液晶テレビ

1983年にセイコーエプソンが発売したテレビ付き腕時計の「カラーポケット液晶テレビ」が最初です。

その後、シャープなどのメーカーが本格的に液晶テレビを開発し、発売しましたが、やがて韓国・台湾の低価格製品の攻勢で苦戦することになりました。

6.OS「トロン」

OS「トロン」というのは、耳慣れない言葉だと思いますが、日本で生まれたコンピューター用基本ソフトウェア(OS=オペレーティングシステム)「トロン」のことです。

情報通信の世界では、「あらゆるものをインターネットにつなげよう」という「I o T」(Internet of things)の技術が、製品開発や産業応用の中心技術になりつつあります。

トロンは自動車のコンピューター制御やデジタルカメラのオートフォーカスのほか、工場の機械制御やロケット・人工衛星の内部ネットワークにも採用されています。

その「I o T」の分野で6割以上の市場占有率を誇るのが「トロン」です。この「トロン」が米国電子電子学会の標準規格として認定される手続きが進んでいるそうです。

順調に進めば、日本のOS「トロン」が「世界標準」になります。