この季節になるとクスノキの落葉が目立ちます。クスノキは「常緑樹」ですが、4月上旬~5月上旬には古い葉が散って風に舞います。
常緑樹の落ち葉は「常磐木落葉(ときわぎおちば)」あるいは「夏落葉(なつおちば)」と呼ばれ、「初夏」の季語となっています。「樟落葉(くすおちば)」とも言います。
木や花などの植物のことにあまり関心のない人は「常緑樹」の落葉に気付いていないかもしれません。「落葉樹」とは、「ある季節(主に秋から冬)に定期的に葉を落とす木本植物」で、「常緑樹」とは、「幹や枝に1年を通じて緑の葉が付いている木本植物」のことです。
戦乱の絶えなかった昔は、「無常観」から常に安定した緑を見せる「常緑樹」の方が心の安らぎが生まれるので好まれたようですが、現代は季節感にあふれる「落葉樹」の方が好まれています。
私も「落葉樹」が好きで新しい家には、主に落葉樹を植えました。ハナミズキやハクモクレンのような喬木(高木)もあれば、アジサイ、サンショウのような灌木(低木)もあります。
1.常緑樹に学ぶこと
(1)目立たぬように、しかし着実に世代交代を進めること
「目立たぬようにはしゃがぬように」と言うと、河島英五さんの「時代おくれ」の歌の文句ですが、将来を見据えて空白を作らず確実に次の世代にバトンをつなぐ企業や組織のようです。
(2)目に優しい緑を常に見せてくれること
自己に厳しく他人に優しい理想的なリーダーのようです。「春風駘蕩」とでも言うべき人柄です。しかし、現実には自分には甘く部下には厳しい上司が多いのが現実です。
(3)自己の不動の信念を持っているように常に変わらない緑を見せること
自分のしっかりした定見がなかったり、上役の意見によってころころ自分の意見を変える上司が多いのが現実です。
2.落葉樹に学ぶこと
(1)冬には潔く全部葉を落とすこと
自分の責めに帰すべき不祥事などがあっても、隠蔽や言い訳・責任回避をしたり、地位に連綿としたり未練がましいことを言う人が多い中、出処進退を弁えている人物のようです。
あるいは不運な出来事に遭っても不遇な境遇に陥っても、前向きになって一から出直す気概のある人物のようです。
これと反対の悪い方の典型的な例は、日産自動車元会長のカルロス・ゴーン容疑者です。彼は一時「日産の業績をV字回復させた凄腕のカリスマ経営者」とマスコミなどでもてはやされました。しかし種を明かせば「日本人なら二の足を踏む」ような「血も涙もない非情なコストカッター」に過ぎなかったわけです。
それだけならまだしも、「絶対権力者」として「お手盛り」で巨額の役員報酬を取っていただけでなく、日産やその関係会社を私物化し、公私混同して私利を図り、会社に多大な損害を与えた「獅子身中の虫」だったわけです。
経営者としてはもちろん、人間としても最低だったことが、今次々と白日の下に曝されつつあります。裁判所が日本の司法の名誉にかけて公正で厳格な裁きをしてくれることを期待したいと思います。
(2)冬の間は風雪に耐えながら内部では春に向けて着実に力を蓄えていること
時にあわず、表面的には死んだ(枯死した)ように見せながら、内部では来るべき春に向けて精力的に研鑽を積む人物のようです。
(3)夏は葉を茂らせて緑陰(日陰)を作り、冬は葉を落として人々に日差しを存分に与える優しさ
「思いやり」や「優しさ」を持つ人情味あふれる人物を思わせます。世の中には、部下が「地位に対して頭を下げている」のを人望があると勘違いしている上司がいるものです。