チャルメルソウ(哨吶草)という珍しい植物にまつわる面白い話

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チャルメルソウの果実

屋台のラーメン屋さんが吹きならす「チャルメラ」の音は独特の哀愁がただよっていますが、この「チャルメラ」を名前に冠した植物があるのをご存知でしょうか?

1.チャルメルソウとは

「チャルメルソウ」は、ユキノシタ科チャルメルソウ属の多年草です。

本州(福井県・滋賀県・三重県以西)、九州(北部)の山地谷沿いの陰湿地に生えます。根性葉は柄があり、長さ4〜8cmの広卵形で基部は心形、葉柄と両面に長毛と腺毛があります。

チャルメルソウ

チャルメルソウの花

花茎は高さ15〜30cm、多数の花(上の画像)をつけます。花弁は羽状に3〜5裂し、萼裂片は直立します。花期は4〜5月です。

果実(冒頭の画像)は広鐘形で開口し、長楕円形の種子があります。果実の開口した形が「チャルメラ」に似ていることから、「チャルメルソウ」と呼ばれています。

2.チャルメラについて

リヤカー屋台ラーメン大統領 チャルメラの音

(1)チャルメラとは

「チャルメラ」とは、オーボエと同じ、2枚リードの木管楽器の一種で、「チャルメル」とも言います。

一般には、「ドレミレド、ドレミレドレ」の基本旋律を即興的に変奏しながら深夜の町を流す夜鳴きそば屋の楽器として、庶民的な下町の音の一端を担ってきました。

(2)チャルメラの起源・歴史

中国では通常「嗩吶」(唢呐, さない, suǒ-nà)と呼び、民間の祝祭や回族の音楽に用いる管楽器ですが、これはペルシア語の「スールナーイ」または「ソルナー(سرنا، سورنای، سرنای)」に由来し、西アジアから伝来したものです。

「スールナーイ」は、西アジア諸国で広く用いられるオーボエ系管楽器」です。

キジル石窟にはすでにチャルメラらしき楽器を演奏する様子が描かれています。文献には16世紀の正徳年間から見え、王圻『三才図会』によると、本来は軍楽に用いていましたが、後に民間音楽に用いられるようになったということです

清朝の1759年には回部楽の楽器「蘇爾奈」(sū-ěr-nài, スルナイ)と呼ばれました。穴は前に7つ、後ろに1つあいており、地方によってさまざまな変種があります。現代の楽団用には高音・中音・低音の3種類の楽器が存在します。

(3)日本でのチャルメラの歴史

日本には安土桃山時代に中国から伝わったとみられます。「唐人笛(とうじんぶえ)」と呼ばれていたこともあります。

江戸時代初期に長崎を訪れたポルトガル人が、この楽器を「チャラメラ(ショーム)」と呼んだことから、嗩吶のことを「チャルメラ」と呼ぶようになりました。

屋台のラーメン屋の客寄せとして、チャルメラで鳴らすメロディー(ソラシーラソー ソラシラソラーというもの)がありますが、これを鳴らす自動車用警笛は「チャルメラホーン」と呼ばれ、全音より少し広い(110~120セント)音程が使用されます。

またラーメン・豆腐・納豆などの流しの屋台や物売りで客寄せにチャルメラを使用しているケースがあります。

なお、明治期には水飴の行商人に主に使用されており、上田敏の詩「ちゃるめら」に登場するのは飴屋を想定したチャルメラです。

中華そばで用いられるようになったのは大正期からとされています。

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