植物の名前は漢字で書くほうが想像しやすく、名前の由来もわかる!

フォローする



敦盛草

戦後、動物や植物の名前を「学術的名称」として使う場合は「カタカナ表記」にするようになった関係で、動植物の「漢字表記」をあまり見かけません。

しかし、カタカナ表記ではわからない動植物の名前の由来が漢字表記にするとよくわかるものもあって面白いものです。

前に「スパルタ教育とアテナイ教育」という記事の中で、「アセビ」が「馬酔木」、「ママコノシリヌグイ」が「継子の尻拭い」であることなどをご紹介しましたが、今回はそのほかの面白いものをご紹介します。

前に「動物の名前」の記事を書きましたので、今回は植物の名前をご紹介します。

1.カタカナ表記・漢字表記・ひらがな表記のメリットとデメリット

(1)カタカナ表記

与える印象:学術的・専門的

メリット:地の文章から名前を区別できる。誰でも読める。統一された表記ができる

デメリット:名前の由来がわかりにくい

(2)漢字表記

与える印象:文語的・文学的・古い印象

メリット:名前の由来をイメージしやすい

デメリット:難読漢字が多くなる。アイヌ語由来や外国語の動植物はそのまま漢字にできない

(3)ひらがな表記

与える印象:口語的・柔らかい印象

メリット:誰でも読める

デメリット:地の文章からの区別が難しい。名前の由来がわかりにくい

2.漢字でどう書くのか意外と知らない植物の名前

(1)アツモリソウとクマガイソウ

アツモリソウ

アツモリソウは山中の草地に生えるラン科アツモリソウ属の多年草です。初夏に袋状の唇弁(しんべん)を持つ淡紅色の花を咲かせます。

袋状の唇弁を持つ花の姿を、平敦盛(たいらのあつもり)(1169年~1184年)の背負った母衣(ほろ)に見立てて名付けられたものです。

漢字では「敦盛草」と書きます。

この命名は、熊谷直実(くまがいなおざね)(1141年~1207年)の名にちなんだ同じアツモリソウ属の「クマガイソウ(熊谷草)」(下の画像)と対をなすものです。

クマガイソウ

平家物語」にある平敦盛と熊谷直実の故事とは次のようなものです。

平敦盛は平家一門として15歳で「一ノ谷の戦い」に参加しました。源氏側の奇襲を受け、平家側が劣勢になると、騎馬で海上の船に逃げようとした敦盛を、敵将を探していた熊谷直実が「敵に後ろを見せるのは卑怯でありましょう。お戻りなされ」と呼び止めました。

そこで敦盛が取って返すと、直実は敦盛を馬から組み落とし、首を斬ろうと兜を上げると、我が子・直家と同じ年頃の美しい若者であったため躊躇し、直実は敦盛を助けようと名を尋ねます。

しかし敦盛は「お前のためには良い敵だ、名乗らずとも首を取って人に尋ねよ。速やかに首を取れ」と答えたので、直実は涙ながらに敦盛の首を斬りました。

このことがあって、直実の出家の志が一段と強くなったということです。

(2)トラノオ

トラノオ虎の尾

虎張子の虎

トラノオは漢字で「虎の尾」と書きます。確かにこの花は虎の尾のように、房状の花が優美な曲線を描いて咲きます。

(3)オオイヌノフグリ

オオイヌノフグリオオイヌノフグリの実と花

オオイヌノフグリは畑のあぜ道や道端でよく見かける小さな可愛い花ですが、漢字では「大犬の陰嚢」と書きます。今大人気のネモフィラを小さくしたような花です。

名前の由来は、果実の形が雄犬のふぐり(陰嚢)に似ているためです。

オオイヌノフグリは「イヌノフグリ(犬の陰嚢)」(下の画像)よりも大型のため、このように名付けられました。

イヌノフグリ

(4)シロツメクサ

シロツメクサ

シロツメクサは、漢字では「白詰草」と書きます。この名前は1846年にオランダから献上されたガラス製品の包装に緩衝材(詰草)として詰められていたことに由来します。

日本では明治時代以降、家畜の飼料用として導入されたものが野生化した帰化植物です。

余談ですが、シロツメクサは、ホタルブクロやヒルガオ、ウツボグサなどとともに、「雨降り花(あめふりばな)」の異名があります。「雨降り花」とは「摘み取ると雨が降ってくると伝えられる草花」です。これらの草花の咲く頃は、ちょうど梅雨時にあたるから「雨の中で美しく咲く花」という意味で名付けられたのでしょう。

(5)ホタルブクロ

蛍袋

ホタルブクロはキキョウ(桔梗)科の多年草で、梅雨入り頃に大きな釣鐘状の花を咲かせます。

ホタルブクロは漢字で「蛍袋」と書きます。これはダイレクトでわかりやすいのですが、こう呼ばれるようになった由来は、昔この花の中に蛍を入れて遊んだことからとされています。

ほかに「火垂る(ほたる)」が語源とする説もあります。これはホタルブクロの花が手に持つ提灯に似ていることから「火垂る袋」と呼ばれるようになったということです。

ちなみに、蛍という虫の名前も、「火垂る」が語源ではないかと言われています。

(6)オオバコ

オオバコ

オオバコは、漢字では「大葉子」や「車前草」と書きます。道端などでよく見かける丈の低い草で、人や車(牛車・馬車)が多く通る轍(わだち)によく生え、踏みつけに強いことから、この名前(車前草)が付けられました。

(7)ドウダンツツジ

ドウダンツツジ

ドウダンツツジはツツジ科の落葉低木で、4月上旬~5月中旬頃に白色の小さな釣鐘状の花をたくさん咲かせます。秋の紅葉も大変美しいものです。

ドウダンツツジ紅葉

漢字では「灯台躑躅」または「満天星」と書きます。

「ドウダン」は、枝分かれしている様子が、昔夜間の明かりに用いた灯台(結び灯台)の脚部と似通っており、その「トウダイ」から転じたものです。

「満天星」の表記は、中国語名の表記をそのまま引用し、和名のドウダンツツジの読みに当てたものです。

(8)セイタカアワダチソウ

セイタカアワダチソウ

セイタカアワダチソウは、キク科アキノキリンソウ(秋の麒麟草)属の多年草で、河原や空き地などに群生し、高さは1~2.5mくらいになります。

漢字では「背高泡立草」と書きます。

「セイタカ」は草丈が高いことに由来しますが、「アワダチ」は実(下の画像)になった時に綿毛がふわふわとした様子を泡に見立てたものだそうです。

セイタカアワダチソウの実

なお、花の付き方から泡を連想したとの説もあります。



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする