「グレートトラバース３　日本三百名山ひと筆書き」というテレビ番組が面白い！

つい最近何気なくＮＨＫのＢＳ放送を見ていたら、「グレートトラバース３　日本３百名山ひと筆書き」という面白い番組がありましたので、ご紹介します。

これは、「アドベンチャーレーサー」の田中陽希さんが、「日本百名山全山の人力踏破」に挑戦する様子を追ったドキュメンタリーです。

現在放送されているのは「第三弾」で、これまでの「百名山」「二百名山」に百座を加えた「三百名山」全山の完全人力踏破を目指すものです。

私は今までに、深田久弥の「日本百名山」や田中澄江の「花の百名山」のような「百名山紹介ビデオ」をたくさん見ましたが、それらに勝るとも劣らない「山岳ドキュメンタリー」です。

１．「グレートトラバース」とは

「トラバース（traverse）」とは、山岳用語で「岩壁や山の斜面を横断する」という意味です。山の斜面、がれ場や岩壁などで、直登・直降を避けて横切って進むことで、微妙なバランスが必要となり、特にテラス（岩棚）のない岩壁などでは危険を伴うものです。

（１）グレートトラバース　日本百名山ひと筆書き

「公共の交通機関を一切使わず、百名山全山を210日以内に完登する」という壮大なプロジェクト「グレートトラバース　日本百名山ひと筆書き」は、2014年にスタートしました。

チャレンジするのは、プロのアドベンチャーレーサーの田中陽希さんです。2014年4月1日に屋久島の宮之浦岳をスタートし、同年10月26日に北海道の利尻山に登頂するまでの208日と11時間、約7,800ｋｍの旅でした。

（２）グレートトラバース２　日本二百名山ひと筆書き

その翌年には、「グレートトラバース２　日本二百名山ひと筆書き」をスタートさせます。これは百名山で登れなかった100の山を踏破するもので、2015年5月29日の北海道の暑寒別岳に始まり、12月31日の御岳でフィニッシュ、約8,000ｋｍの旅でした。

（３）グレートトラバース３　日本三百名山一ひと筆書き

そして、さらに2018年1月には、「グレートトラバース３　日本三百名山一ひと筆書き」をスタートしました。これは、「日本三百名山」とされる300座を2018年1月1日から2020年にかけて踏破するというプロジェクトです。

鹿児島県屋久島から北海道利尻へ北上するルートは10,000ｋｍを超える距離で、実際のグレートトラバース踏破期間は約1年6ケ月を予定しています。しかし悪天候などの理由で休む期間も必要なため、2年を超えるプロジェクトです。

陸路は徒歩とスキー、海路はシーカヤックやバックラフトを使用します。今までの挑戦とは異なり、「冬の山」を登ることになるため、今まで以上の体力と技術が必要になりそうです。

２．「アドベンチャーレーサー」の田中陽希さんとは

田中陽希さん（1983年～　）は、「Team EASTWIND」所属のプロアドベンチャーレーサーで、「日本ロングトレイル協会」のアドバイザーを務めています。

北の大地に憧れた父親の一言で、彼が6歳の時に家族は北海道富良野市に移住します。1年の大部分を雪の中で過ごすうちにクロスカントリースキーに没頭するようになり、明治大学進学後もスキー部で活動します。

大学卒業後、体育教師を目指す傍ら、アドベンチャーレースと出会い、「冒険」へと人生の方向転換を図ることになります。

2009年世界スキーオリエンテーリング選手権大会日本代表です。現在、日本で唯一のプロアドベンチャーレースチームである「Team EASTWIND」の主力メンバーとして活動中です。

３．番組の面白さ

私は膝が痛いので、登山はもとより、ハイキングやトレッキングのような低山歩きもままなりませんが、この番組を見ていると、田中陽希さんが挑戦している「グレートトラバース」に自分もその場に居合わせて挑戦しているような臨場感があります。

田中陽希さん本人もさることながら、撮影しているＮＨＫのカメラマンの方たちが撮影機材を背負って登って行くのは大変だろうなと私には感じられます。

撮影スタッフは、次のような方々だそうです。

・岡本徹也さん（NHKのディレクター。取材や撮影の指揮を担当）

・駒井研二さん（日本を代表するアドベンチャーレーサー。田中さんのスピードに付いて行き、近くからの撮影を担当）

・平出和也さん（世界的な登山家、写真家。数々の賞を受賞しており、空撮や引きの撮影担当）

・山田高志さん（日本を代表するトレイルランナー。アシスタントとして、三脚、機材、食料などを背負って登る）

しかし、そのスタッフたちの苦労のおかげで、我々は居ながらにして、３百名山のグレートトラバースを体感できるのですから、素晴らしいことだと思います。

まだご覧になっていない方は、ぜひ視聴されることをお勧めします。