2019年8月4日、「黄金世代」と呼ばれる若手女子ゴルファーの一人の渋野日向子(20)が、全英女子オープンゴルフに優勝しました。海外メジャーの日本人制覇は、男女を通じて2人目で、樋口久子の全米女子プロ選手権優勝(1977年)以来42年ぶりの快挙です。
1.渋野日向子とは
渋野日向子は、1998年11月15日に岡山市で生まれました。岡山市立平島小学校・岡山市立上道中学校・岡山県作陽高校の出身です。岡山市職員の父悟さん(51)は筑波大学陸上部の砲丸投げと円盤投げの選手でした。地元で体操教室の講師を務める母伸子さん(51)は同大学の1年後輩でやり投げの選手でした。三人姉妹の次女です。
「黄金世代」(1998年4月~1999年3月生まれ)と呼ばれる女子プロゴルファーで、8歳からゴルフとソフトボールを始めています。
「岡山県ジュニアゴルフ選手権競技(小学生の部)」では、小学4年から3年連続で3位となっています。中学校に進学すると、軟式野球部に入りますが、同時にゴルフの練習も並行して続けました。2年の時、野球部の監督から「ゴルフ一本の方がいい」とのアドバイスを受け、ゴルフに専念するようになりました。監督のアドバイスの理由は、1年の時、「岡山県ジュニアゴルフ選手権競技(中学生・女子の部)」で優勝していたからです。その後彼女は2年・3年でも優勝しました。
その記録を持って、地元の強豪校である岡山作陽高校に入学しますが、早速1年の時に「中国女子アマ」で優勝しました。また「全国高校選手権」の団体優勝にも貢献しています。
ところで彼女の性格ですが、負けず嫌いで、高校時代までは、ゴルフ場で喜怒哀楽を所構わず見せていました。パットを外した時などは、ふてくされた態度を取ったりしていました。しかし、その時のお父さんからの「あんまり見ていて気持ちよくないよ」という一言が転機となりました。
お父さんの言葉が彼女の胸に刺さり、それからはいつでも明るい笑顔でプレーするように努力した結果、今ではそれが自然に定着するようになったそうです。
ゴルフ場のフロントに就職することも考えていたそうですが、ゴルフ部の監督から「お前がプロテストを受けないで誰が受けるんだ?」と諭され、2017年の高校3年の時プロテストを受験しました。しかし1回目のプロテストは不合格でした。この挫折を味わった後、2018年の二回目のプロテストで合格しました。
実質プロ1年目の2019年の国内メジャー「ワールドレディースサロンパスカップ」で初優勝し、「資生堂アネッサレディース」で2勝目を挙げました。今回は3回目の優勝ですが、海外メジャーということで、賞金も約7200万円と高額で、LPGA会員になる権利も獲得しています。「RSK山陽放送」所属で、キャップに同社のロゴマークをつけています。
2.渋野日向子の良い所
(1)笑顔を絶やさないこと
笑顔が印象的な渋野日向子ですが、彼女の「日向子」という名前は、「太陽に向かうヒマワリのように明るく育ってほしい」という願いを込めて祖父が名付けたそうです。
笑顔は、脳科学上も「ドーパミンの放出」でやる気や幸福感がアップするそうです。
海外メディアから付いたニックネームが「スマイルシンデレラ」だそうですが、言い得て妙です。よくプロゴルファーの中には、ショットがうまく行かなかったりすると、ふてくされたり、道具に当たったりする人がいますが、これは見ていて感じの良いものではありません。
飄々とプレーしたり、淡々とポーカーフェイスでプレーする人も悪くありませんが、笑顔が絶えないのは見ていて気持ちがいいものです。
ところで、コースで食べていたのが「タラタラしてんじゃねーよ」という面白い名前のお菓子だそうです。カーリング女子の「もぐもぐタイム」も話題になりましたが、このお菓子も、彼女の優勝でまた人気が出るかもしれませんね。
(2)怖いもの知らずなこと
かつて、石川遼が破竹の勢いで勝ちまくっていた頃、尾崎将司が彼のことを「恐れを知らない子供」と表現したことがあります。
まだ、プロゴルフ界に入って2年目なので、まだいろいろな「怖さ」を知らないことが、今回の海外メジャー優勝にも幸いしたのでしょう。
(3)負けず嫌いなこと
彼女は負けず嫌いだそうですが、これは、スポーツ選手にとっては特に大事なことだと思います。しかし変に気負ったり、ナーバスになったりせず、冷静にスコアボードを見て自分の位置を確認しているとことが頼もしいです。
3.今後の日本の女子プロゴルフ界の救世主となるか?
近年の女子プロゴルフ界は、韓国勢に席巻されていましたが、今年は少し風向きが変わってきたようで、「黄金世代」と呼ばれる20歳の選手の活躍が目立ちます。またベテランの日本人選手もようやく元気を取り戻してきたようです。
やはり、日本のゴルフツアーですから、日本人選手の活躍が見たいのは当然です。
全米女子ツアーが韓国勢に席巻されて、テレビの視聴率も落ち、スポンサー・観客離れもあって試合数も少なくなり、日本ツアーに大挙して韓国選手が参入し、週替わりで韓国選手が優勝することが多くなりました。
私もつい最近までテレビのゴルフ中継を見ませんでしたが、最近ようやく日本人選手が優勝することが多くなり、また見るようになりました。
渋野日向子が全英女子オープンゴルフ優勝の勢いをそのまま日本ツアーでも見せてほしいと願うばかりです。この調子で行けば、「黄金世代」の中心選手として、日本の女子プロゴルフ界の救世主になることも夢ではないと思います。
ただ、男子シニアゴルフの井戸木鴻樹(国内2勝)が、海外初挑戦の全米シニアプロゴルフで優勝した例もあるので、単なる「フロック」で終わらないでほしいものです。
「全英女子オープンゴルフ優勝」という勲章をあまり意識せずに、「スマイルシンデレラ」というニックネームをあまり重荷に感じず、引き続き伸び伸びとしたゴルフをされるよう期待したいものです。
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