「自動販売機からペットボトルを排除」の動きは誤り!プラスチックごみ削減とは無関係

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自販機のペットボトル

世界規模で「プラスチックごみ」が問題になる流れの中で、「レジ袋の有料化」や「プラスチック製ストローを使わない運動」も広がってきました。

それに今度は、国内の自治体や企業で「庁舎や事業所内の飲料自動販売機からペットボトル商品を排除する動き」まで出てきたようです。

今回はこれについて考えてみたいと思います。

1.「自動販売機からペットボトルを排除」の動き

大阪府豊中市は2019年4月に、長内繁樹市長が、使い捨てプラスチックの削減を盛り込んだ「クールチョイス宣言」を表明し、11月には市役所1階に「ペットボトルを排除した自販機」を設置しました。

神奈川県鎌倉市では、2018年10月の「かまくらプラごみゼロ宣言」で、「ペットボトル飲料の販売を極力廃止する」と明文化しました。そして2019年4月に市役所の4台の自販機からペットボトル飲料を外しました。

富士通は2019年6月から、事業所内に設置された自販機でペットボトル飲料の提供を取りやめる取り組みを始めました。

積水ハウスも2018年11月以降、グループ会社とともに事業所内の自販機から順次ペットボトル商品をなくしています。

2.「自動販売機からペットボトルを排除」の動きは誤り

前に「プラスチックごみ問題の解決策」の記事を書きましたが、この問題の根本的解決には中国などアジア諸国のゴミ処理方法改善が不可欠なのです。

「陸上から海洋に流出したプラスチックごみ発生量」(2010年推計)ランキングは次のようになっています。

1位:中国353万トン、2位:インドネシア129万トン、3位:フィリピン75万トン、4位:ベトナム73万トン、5位:スリランカ64万トン、・・・20位:アメリカ11万トン、・・・30位:日本6万トン

我が国の排出量が少ないのは、プラスチックのリサイクル率が80%を超えている上、プラスチックごみの焼却処理がきちんと行われているためです。

それにもかかわらず、プラスチック製品を「目の敵」のようにして削減に取り組む動きは、国際社会や時流に過剰反応して迎合するパフォーマンスかもしれませんが、「温暖化対策」運動と同じように、誤ったドグマに囚われた「カルト宗教めいた状況」だと私は思います。

3.飲料メーカーは正論を主張して誤った動きを食い止め正すべき

消費者にとって持ち運びに便利なペットボトル飲料の生産量は右肩上がりで、清涼飲料のうちペットボトル商品は70%を超えており、リサイクル率も80%以上と高くなっています。このため自動販売機からペットボトルを排除する動きについて、業界団体からは戸惑いの声も上がっています。

飲料メーカーでつくる全国清涼飲料連合会によると、ペットボトルの生産量は平成30年には清涼飲料のうち74・6%を占め、ほとんどの自販機にあります。同年までの10年間で、生産量は約1・5倍に増加しています。同連合会の広報担当者は自販機からペットボトルが外されることについて「顧客の選択肢を狭めることになり、残念」と肩を落としているそうです。

また、PETボトルリサイクル推進協議会によると、ペットボトルのリサクル率は20年度以降、85%前後で推移。米国は20%台欧州は30~40%台で、日本は世界最高水準ということです。さらに同協議会は今年、2030(令和12)年度までに、リサイクルのほか焼却熱の利用で100%有効利用する目標を定めています。幹部は「プラスチック製品の中で、ペットボトルはリサイクルのトップランナーで、自販機で販売をやめる動きには違和感を覚える」と疑問を投げかけているそうです。

この動きが、一部の環境保護団体だけの運動であればさほど問題ではないと思いますが、各自治体や企業にまで広がっているとすれば、「プラスチックごみ問題に対する誤った過剰反応」であり、飲料メーカーは正々堂々と正論を主張して誤った動きを食い止めるべきだと思います。

4.政府の対応

 国はプラスチックの3R(リデュース=発生抑制、リユース=再使用、リサイクル=再生利用)を推進しており、環境省リサイクル推進室では「ペットボトルのリサイクルは進んでいるが、リデュースはまだまだで、消費者がなるべく使わないようにして生産を抑えていく必要がある」と指摘しています。

しかし、国としては飲料メーカーの主張も公平に考慮して、自治体や企業における行き過ぎた「誤った過剰反応」に歯止めを掛けるべきだと私は思います。

むしろ、日本の優れた「プラスチックごみの焼却処理」と「リユース=再使用」「リサイクル=再生利用」を、中国・インドネシア・フィリピン・ベトナムなど「プラスチックごみを大量に排出している国々」に見習ってもらうように、日本政府としては働きかけていくべきなのではないかと私は思います。