「独身の日」の「アリババ」

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独身の日アリババ

<2020/9/18追記>コロナ禍の「巣ごもり需要」でアリババの売り上げが絶好調

コロナ禍で「リアル店舗(実店舗)」は売り上げ減少に苦しんでいますが、アリババなどの「eコマース(電子商取引)」には「巣ごもり需要」が追い風になって絶好調です。

アリババの2020/1~3月期の売り上げは、前年同期比22%増、2020/4~6月期の売り上げは、前年同期比34%増となっています。

1.独身の日のアリババ売上高は楽天市場の年間売上を上回った

中国で「独身の日」(11月11日)に、中国の「ネット通販最大手」の「アリババ集団」が運営するショッピングモール「天猫」が、売上高3兆5,110億円を記録し、楽天EC市場の年間売上高3兆3,912億円(2017年実績)を上回ったとのニュースが入ってきました。

2.「独身の日」とは

そもそも「独身の日」とは何でしょうか?中国語では「光棍節(こうこんせつ)」(「光棍」は中国語で独身者のこと)または「双十一」と言いますが、11月11日は、「1」(シングル)が4つ連続することから、「独身者の日」となったのです。1993年に南京大学の学生が始めた「独身者のための記念日」の活動と言われています。

独身者同士が集まってパーティーを開いたり、独身者が結婚相手を探したりといった様々な活動が行われているそうです。

それに目を付けてビジネスに結びつけたのが、「アリババ集団」という訳です。日本の「バレンタインデー商戦」と同じような発想でしょう。

この「アリババ集団」による「独身の日」セールは、2009年から始まりました。「独身の皆さん!買い物をして楽しみましょう!」ということだったのです。やがて、独身者だけでなく、広く一般に開放された「セールの日」と認識されるようになりました。このセール1週間ほど続きます。

売上高は、毎年どんどん増加し、昨年は1日で楽天EC市場の年間売上高に「迫る」数字でしたが、、今年はそれを「超える」までになったのです。

3.中国のネット通販市場の急成長

中国のネット通販市場は、2015年度で約30兆円、成長率33.9%、EC化率12.74%と言われています。日本のネット通販市場は、2015年度で約13.8兆円、成長率7.6%、EC化率4.75%です。いかに中国が急成長しているかが、よくわかりますね。

中国製品以外では、どんな国の製品が輸入されて買われているのか気になりますよね。結果は、1位が日本、2位がアメリカ、3位がオーストラリア、4位がドイツ、5位が韓国となっています。ということは、「アリババ集団」による「独身の日」セールは、日本企業にも大きな商機となっているということですね。

ユニ・チャームのおむつ「ムーニー」が輸入ブランド2位になったほか、ユニクロがアパレル部門で1位になるなど好調でした。

関西の企業も、越境EC市場に力を入れており、近鉄百貨店が取扱品目を2倍にしたほか、小林製薬はネット上で影響力がある「インフルエンサー」を増やしてSNSでの情報発信を強化しているそうです。

また、どんな製品がよく売れているのかも気になるところです。結果は、「スマホ」「紙おむつ」「洗剤」が上位の売れ筋商品です。日本の製品もよく売れているのですが、最近は「家電製品」や「ベビー用品」でも中国製品の人気が回復してきており、日本企業としては今後楽観はできないようです。

なお、「独身の日」セールは、「アリババ集団」だけでなく、二番手の「京東集団」も同様に行っており、昨年を大幅に上回る売上高を記録したそうです。ただ「アリババ集団」の売上高伸び率は、2017年が前年比36%増だったのに対し、2018年は27%増で、前年比売上伸び率としては最低となりました。いつか頭打ちになることを暗示しているようです。

今後、「アリババ集団」は、「実店舗」での販売や、「中国以外」での販売にも力を入れて行く方針だそうです。

それにしても、「アリババ集団」というのは、「Amazon」に匹敵するような大変奇抜なネーミングですが、1999年創業の若い会社です。業歴19年ながら「中国ネット通販市場」で最大手となる「急成長企業」となりました。今後どういう展開を見せるのか、日本人ならびに日本企業としても目が離せませんね。