GSOMIA破棄は中国・ロシア・北朝鮮を利するだけで韓国の損失大!日本は静観しかない

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GSOMIA破棄

韓国が破棄を通告したGSOMIAの有効期限が11月23日午前0時に迫っています。韓国は相変わらず、筋の通らない訳の分からない理不尽な駆け引きを続けて、日本の韓国に対する「ホワイト国外し」を撤回させようとしています。しかし韓国による北朝鮮への戦略物資横流し疑惑が払拭されない限り、「ホワイト国復帰」はありえないので、信頼回復に努力すべきは韓国側です。日本はこの問題について、決して妥協することなく毅然とした対応で筋を通すべきだと思います。

今回はこれについて考えてみたいと思います。

1.GSOMIAとは

「GSOMIA(ジーソミア)」(軍事情報包括保護協定)とは、「同盟など親しい関係にある2国あるいは複数国間で秘密軍事情報を提供し合う際、第三国への漏洩を防ぐために結ぶ協定」のことです。

2019年8月現在、日本はアメリカやNATOなど7カ国と、アメリカは60カ国以上と、韓国は21カ国とこの協定を締結しています。

今回問題になっているGSOMIAは、2016年11月23日に署名した「日韓秘密軍事情報保護協定」で、1年毎に自動更新されることになっており、協定破棄には更新3カ月前の通告が必要となっています。

2.GSOMIA破棄による影響

10月15日の文在寅大統領とアメリカのエスパー国防長官との会談でも、エスパー長官が「GSOMIA破棄は、中国・ロシア・北朝鮮を利するだけ」と説得したにも関わらず、文大統領が拒否したため、GSOMIA破棄は避けられないと思います。

韓国の世論調査で「GSOMIA破棄に賛成」が55.4%もあったのも追い風です。

では、GSOMIA破棄による影響はどのようなものなのでしょうか?

(1)北東アジア共同防御システムを構築しようとするアメリカの戦略の頓挫

GSOMIAには、北朝鮮に関する軍事・安全保障情報を交換することで、北朝鮮の軍事的脅威への日韓両国の対処能力を向上させる狙いがありました。これはアメリカが「日米韓北東アジア共同防御システム」を構築する上での重要な一歩になるはずのものでした。

(2)日本の対北朝鮮軍事情報収集能力の低下

日本の北朝鮮に関する情報収集能力は、アメリカには及びません。また休戦ライン沿いでの監視(地上設置レーダー・電波傍受施設・航空機や艦艇による偵察、監視)については地理的に近い韓国に及びません。そのような部分については、今後はアメリカ経由で情報を入手することになります。

(3)韓国は日本の自衛隊によるミサイル航跡分析情報を入手できなくなる

韓国にとって、日本の自衛隊によるミサイル航跡分析情報は精度が高く最も欲しい情報ですが、破棄によりこれを入手できなくなります。

元駐韓大使の武藤正敏氏によれば、総合的に見るとGSOMIAから得られるメリットは韓国側の方が大きいとのことです。武藤氏は「GSOMIA破棄は、韓国の『安保不感症』を実証するものだ」としています。

(4)日米韓の軍事的協力関係の綻びの露呈と日米韓の共同軍事行動への支障

これは、中国やロシア、北朝鮮にとって軍事的に大変有利な形勢となります。アメリカも米韓同盟を結んでいるとはいえ、現在の状況では朝鮮半島有事の際の韓国軍の協力体制に疑心暗鬼になるのも無理はありません。また日米韓の共同軍事行動に支障が出るのは明らかです。

在韓米軍の撤退か縮小が本格的に検討・実施されれば、北朝鮮が韓国のソウルに軍事侵攻して事実上の赤化統一をする恐れもあり得ます。そうなると、朝鮮半島全体が日本の仮想敵国となり、対馬が最前線基地となります。

韓国国民全てが朝鮮半島の赤化統一を本当に望んでおり、その負の部分を甘受する覚悟であれば、共産主義国の朝鮮になればよいと思います。しかし、多分国民の大多数は赤化統一などを望んでいないのではないかと私は思います。そもそも「統一など無理だ」とか「統一など望んでいない」と考えている韓国人も多いのではないでしょうか?

(5)2016年以前の状態に戻るだけ

ただ、このGSOMIAは2016年11月締結のかなり新しい協定であり、今回の破棄により、それ以前の状態に戻るだけとも言えます。

今後の日韓の軍事情報交換は、従来からある「日米韓情報共有に関する取り決め」により、それぞれの国がアメリカ経由で情報を受け取る形となり、非効率で手間のかかるものにはなりますがやむを得ないと思います。

3.韓国の反日反米親北姿勢

文在寅大統領の任期は2022年5月までですが、文政権が続く限り、韓国の反日反米親北姿勢は変わらないと私は思います。

大韓民国憲法第70条では「大統領の任期は5年とし、重任することはできない」とあります。しかし、文在寅大統領は大統領選挙時の公約で「4年重任大統領制」を掲げています。これは、憲法を改正して大統領の任期を4年とし、再任を可能にしようとするものです。

2018年には、統一地方選挙と同時に憲法改正の国民投票を実施しようとしましたが、時間切れで失敗に終わっています。

文在寅大統領は、後継候補のいわゆる「タマネギ男」曺国氏が2019年9月に法務大臣に就任し、1カ月あまりで辞任し失脚したので、憲法を改正して自身の再任を目指すのかもしれません。


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