神戸市の東須磨小学校で昨年起きた「教師間いじめ問題」についての神戸市教育委員会および学校側の対応に疑問を感じています。
1.「教師間いじめ問題」の実態
これは明らかに「刑事事件」になる「犯罪」であり、「いじめ」で済まされる問題ではありません。「子供によるいじめ」でないのですからなおさらです。しかも「子供を教育する立場にある教師による犯罪」であり、悪質です。
(1)強要罪:被害者が嫌がる激辛カレーを無理やり食べさせたこと
(2)器物損壊罪:被害者の乗用車を故意に傷を付けたこと
(3)名誉棄損罪:被害者にとって不名誉な映像を出したこと
(4)侮辱罪:校内で被害者を公然と罵倒したこと
(5)威力業務妨害罪:児童たちに被害者教員のクラスの学級崩壊を唆したこと
(6)暴行罪または傷害罪:身体への暴行のほか、うつ病を発症するほど被害者の心身を大きく傷付けたこと
2.神戸市教育委員会の対応に疑問
このような「集団リンチ教員」は即刻「懲戒免職」にした上で、「刑事告発」するのが当然だと思うのですが、神戸市教育委員会も学校側も今一つ対応が煮え切りません。「一罰百戒」とすべき事案だと私は思います。
これは、昔から役所や学校にある「保身体質」「隠蔽体質」の表れだと思いますが、被害教員はもとより保護者や神戸市民、広くは国民全体も納得しないのではないでしょうか?
また、その後に取られた神戸市教育委員会の措置も、首をかしげたくなるような「場当たり的対応」「的外れの対応」です。
(1)給食メニューからカレーを外す措置
この「激辛カレー強要事件」が「子供に与えた心理的影響を考慮した」としてカレーを給食メニューから外しました。
しかも、その後父兄からの抗議でカレーを再開しています。一体何を考えているのか首をかしげたくなるような「場当たり的かつ的外れで無責任な対応」です。
(2)教師に「民間企業研修」を導入する措置
神戸市教育委員会は、2020年度から「民間企業研修プログラム」を導入することを決めました。「企業活動のノウハウを学校の授業や運営に生かすのが目的」だそうです。
川崎重工業やJR西日本など約100社を対象に、夏休みの3日間、小中高の教師が民間企業に出向き研修を受けるそうです。来年度からは新任教師を対象にこの研修を導入するそうです。
「教師間いじめは閉鎖的な環境が要因の一つ」という理由で、「民間企業で社会勉強をさせる」ということのようです。しかし夏休み期間中は民間企業も夏休みを取る人がいて忙しい時期で、民間企業にとっては迷惑千万な話だと思います。
民間企業に教師の教育を「丸投げ」して事終われりとする「他人任せ」の安直な無責任体質としか思えません。
神戸市教育委員会が中心となって、自ら考えて「教師の再教育」についての「内容の濃い骨太の方針」を打ち出すのが当然ではないでしょうか?そして、いじめっ子が大人になって「いじめっ子の性根」がそのまま矯正されずに教師になったような今回の事件の加害者以外の教師全員に、「徹底的に性根を叩き直す」研修を、教育委員会が責任を持って自ら実施すべきです。加害者の教員には、厳正で公正な法の裁きを受けさせるべきです。
また教育委員会の加害教員に対する対応が生ぬるいのは、仲間意識が強すぎるのか、自分たちの管理責任が追及されないよう、保身に汲々としているようにしか見えません。このような事件が起こったことは教師の質が低下している証拠で嘆かわしいことであるとともに、神戸市教育委員会の教育・監督・管理責任が厳しく問われなければなりません。
3.記者会見した現在の東須磨小学校の仁王校長の対応も疑問
被害教員が昨年7月に教頭に被害を訴え、仁王校長もその報告を聞いたにもかかわらず、4人に「口頭注意」をしただけで、教育委員会にも「問題行為」として報告せず、現場で握りつぶしています。仁王校長の前職は同校の教頭ですから事件の経緯も把握していたはず、というより把握していてしかるべき地位の人です。
「この事件は自分には全く関係がない」とでも言いたげな「他人事のような表情」で記者会見をしていましたが、責任感が全く感じられず、教頭・校長としての管理能力を疑いたくなります。
4.集団リンチ事件の首謀者の教員を「神戸方式」で引き抜いた前校長の品格も疑問
どういう理由でこの加害教員を引き抜いたのか、公の場で説明する責任があるのではないかと私は思います。
「神戸方式」による教員異動が妥当か否かを神戸市教育委員会がチェックするためには、少なくとも加害教員を「優秀な教員として引き抜く理由」を書いた「選抜理由書」のようなものがあるはずです。教育委員会はそれを公開すべきではないかと思います。
もしそういうものが全く存在しないのであれば、「自分好みの教員」を現場の校長同士が指名して勝手に自分の学校に引き抜く「トレード」のような公私混同の制度なのかと疑いたくなります。
神戸市教育委員会は、2021年度から「神戸方式」を廃止すると決定しました。しかし「縁故」などの個人的関係やその他特別な事情がなければ、そもそも他校の教員が優秀かどうかが、現場の校長にどうしてわかるのか不思議です。