コロナは今や空気感染中か?ワクチンや治療薬開発までは集団免疫が不可避か?

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抗体検査結果

新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の世界的感染拡大(パンデミック)が続く中、最近気になる話が出て来ました。

日本では現在、「感染経路確認によるクラスター感染の抑え込み」と「三密の回避」と「外出自粛」などで「感染爆発」(オーバーシュート)を防ごうとしていますが、アメリカのニューヨーク州では「抗体検査」が実施され、「PCR検査で陽性と判明した感染者数の10倍以上のコロナ感染者がいたとの報道があります。

アメリカのカリフォルニア州でサンプルによる抗体検査を実施した結果、これまで医療機関などで確認されていた感染者の28倍から最大55倍の人がすでに感染した可能性があるとの南カリフォルニア大学の分析もあります。

ただ「抗体検査」は検査が簡単で結果が出るのも早く安価というメリットがある反面、精度に問題があるとも言われています。

今やコロナは、「接触感染」や「飛沫感染」の段階を過ぎ、「空気感染」による感染拡大の段階に入っているのではないかと思われます。

また、ワクチンや治療薬開発までは「集団免疫」が不可避なのでしょうか?

コロナは、「感染して回復した後も、また陽性になることがある」とか、「ウイルスが体内で変異することもある」という話も聞きます。なかなか厄介で手強いウイルスのようです。

1.日本も今や空気感染で感染拡大しているのか?

従来、「新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)」は、空気感染しないと言われて来ました。感染症を専門とする北九州市の山口征啓医師によると、「はしかや結核と同じように空気感染するなら、もっと集団感染の規模は大きくなる」と指摘しています。

しかし、4月25日の朝日放送テレビ教えて!ニュースライブ正義のミカタ」というニュース解説番組(毎週土曜日9:30~11:00)で、元厚生労働省医系技官の木村もりよ氏は「コロナは今や空気感染しているとの見方を示していました

確かに「感染しても無症状の人もいる」という話も聞きますので、コロナの空気感染も否定できないように私は思います。

最近の東京の感染者に「感染経路不明」の割合が増えているのは、「空気感染が起きているから」と理解する方が自然ではないでしょうか?

<2020/7/8追記>ようやくWHOも「空気感染の可能性を否定できない」と発表

木村もりよ先生は、今から2カ月半前の4月25日のテレビの解説で「コロナは今や空気感染している」との見方を示していました。WHOは7月7日の定例記者会見でようやく「コロナの空気感染の可能性」を認めました。感染経路を巡っては、7月6日に欧米など239人の専門家が公開書簡を発表し、「中国のレストランで、感染者とは別のテーブルにいた客の間でも感染が広がった事例」などを挙げ、「新型ウイルスが空気感染する恐れがある」として、WHOに対策の見直しを求めたのに対応した発言だと思います。WHOの対応が後手後手に回っている感は否めません。

2.ワクチンや治療薬開発までは集団免疫が不可避なのか?

集団免疫

(1)集団免疫とは

「集団免疫」とは、「ある感染症に対して、集団の大部分が免疫を持っている際に生じる間接的な保護効果」のことで、免疫を持たない人を保護する手段になります。

多数の人が免疫を持っている集団では、感染の連鎖が断ち切られる可能性が高く、病気の拡大が収まるか緩やかなものとなります。

あるコミュニティにおいて免疫を持っている人の割合が高ければ高いほど、免疫を持たない人が感染者と接触する可能性は低くなります。

(2)集団免疫は不可避か?

コロナが空気感染しているとなると、ワクチンや治療薬開発までは、「感染経路確認によるクラスター感染の抑え込み」と「三密の回避」と「外出自粛」だけでは感染拡大は止められないようです。

そうすると、全体の60~70%が感染する「集団免疫」にまで行くしか収束する方法はないのでしょうか?

ちなみに「スペイン風邪」の時、日本(当時の人口は約5500万人)では、感染率42%で、約45万人が亡くなっています。

3.「飛沫感染」と「空気感染」の違い

(1)飛沫感染

病原体を含んだ鼻水や唾液、痰などの飛沫が、感染者の咳やくしゃみなどで飛び、粘膜に付着することで感染します。飛沫感染は、飛沫が飛ぶ範囲で起こることで、距離・時間・障害物の有無によって感染リスクが変わります。距離を長く、接触時間を短く、障害物を作れば、感染リスクを下げることが出来ます。

要するに飛沫感染とは、「感染症患者の咳やくしゃみの『しぶき(飛沫)』を直接吸い込むことによって生じる感染経路」のことです。

飛沫が飛ぶ範囲は気象や風向きなどの条件によりますが、一般的に「2m以内に30分程度、同じ場所にいれば」感染する可能性があります。

飛沫感染する感染症は、インフルエンザ・風疹・おたふくかぜ・百日咳・マイコプラズマ・風邪(ライノウイルス・アデノウイルスなど)・RSウイルスなどです。

(2)空気感染(飛沫核感染)

空気感染は、飛沫感染とは異なります。空気感染の場合は、咳やくしゃみで飛んだ飛沫の水分が蒸発した後、5μm以下の非常に小さな病原体のみが「飛沫核」となって長時間空気中を漂い、その空気を吸い込んだ人が感染します。2m以上離れていたり、衝立を立てたり、感染者がその場を離れたりした後も、同じ部屋に入ることで感染する可能性があります。

要するに空気感染とは、「空気中を漂う病原体を吸い込むことによって生じる感染経路」のことです。

従来空気感染する感染症は、結核・麻疹(はしか)・水疱瘡とされていましたが、「新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)」も空気感染によって感染拡大しているようです。

(3)まとめ

空気感染と飛沫感染は、もともと同じく「しぶき(飛沫)」に含まれる病原体によって引き起こされます。空気感染は、しぶきの水分が蒸発して空気中にプカプカ浮いた病原体を吸い込むことによるもの。一方、飛沫感染はしぶきそのものが口や鼻の中に入り込んでしまうことによるものです。

どちらも同じような感染の仕方に思えるかもしれません。しかし、空気感染を引き起こす病原体は、わずか5μm以下の非常に小さな「病原体そのもの」として空気中を漂います。このため、近くにいない人、たまたま通りかかった人にも感染してしまうこともあるため、恐ろしい感染経路です。

これに対して飛沫感染は、咳やくしゃみなどをしたときに少なくとも半径2m以内にいる人にのみ感染を拡げる可能性を持ちます。不特定多数の人に感染させてしまうリスクは空気感染の方がはるかに高いと言えます。

(4)エアロゾル感染(限定空間感染)

最近「エアロゾル感染」という言葉もよく聞聞きますが、これは専門用語ではありません。

エアロゾルとは、「飛沫よりも小さな粒子」のことです。「飛沫感染」と「空気感染」の中間のような位置づけで、医療機関の診察室やタクシーの車内のような「密閉された限定空間」で感染する場合に使われます。

4.「PCR検査」と「抗体検査」の違い

(1)PCR検査<ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase chain reaction)検査>

①目的・特徴:現在ウイルスが体内に存在しているのかを調べる

②採取方法:鼻の奥から、鼻腔ぬぐい液を採取

③検体採取者:正確な位置から検体を採取する必要があるため、専門家(医療従事者)が実施

④結果が出るまでの時間:数時間

⑤精度:良い

(2)抗体検査

①目的・特徴:過去に感染したことがあるのかを調べることができる

②採取方法:採血

③検体採取者:多くの検査キット同様、自己採取も可能

④結果が出るまでの時間:10~20分程度

⑤精度:PCR法を用いた検査よりも低い

(3)まとめ

PCR検査は、「現在ウイルスが体内に存在しているのか(感染しているのか)」を調べることが出来ます。

これに対して、抗体検査は、「過去に感染したことがあるのか」や、「現在の感染の状態(感染初期なのか、感染してから時間が経過しているのか)」、「ウイルスに抵抗する能力(抗体)をすでに獲得しているのか(他人にうつしにくいのか)」