スマートシティとスーパーシティとは何か?その違いもわかりやすく紹介!

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スマートシティー

最近「スマートシティ」とか「スーパーシティ」という言葉をよく聞くようになりました。それぞれどういう意味で、どう違うのでしょうか?

今回はこれについてわかりやすく紹介したいと思います。

1.スマートシティ

スマートシティ

(1)スマートシティとは

最初に勘違いしている人が多いので説明しておきますが、「スマート(smart )」という英語に「細身(スリム)」という意味はなく、「賢い、頭が良い」というのが正しい意味です。

「スマートシティ」(スマートコミュニティ)とは、「IoT(Internet of Things:すべてのもののインターネット化)の先端技術を用いて、基礎インフラと生活インフラ・サービスを効率的に管理・運営し、環境に配慮しながら人々の生活の質を高め、継続的な経済発展を目的とした新しい都市」のことです。

イメージとしては、「街全体がインターネットでつながって省電力で動いていたり、自動運転カーが走っていたりという近未来的な都市」です。

IoTの進化で、これまで別々に機能していた基礎インフラや生活インフラ・サービスが、「センシング技術」「通信技術」「情報技術」「アプリケーション技術」の連携によって、スマートシティとして動き出したのです。

なお、「センシング技術」とは温度センサー、加速度センサーなどのことです。「通信技術」とはWifiやモバイルインターネットなどのことで、「情報技術」とはデータの蓄積、ビッグデータの分析などのことです。「アプリケーション技術」とは人とのやりとりのことです。

「スマートシティ」は次の「6つのスマート」の集合体と言えます。

①Smart Living(スマートリビング・生活)

②Smart Energy(スマートエネルギー・環境)

③Smart Economy(スマートエコノミー・経済活動)

④Smart Learning(スマートラーニング・教育)

⑤Smart Mobility(スマートモビリティ・交通)

⑥Smart Governance(スマートガバナンス・行政)

(2)スマートシティを推進する理由

この「スマートシティ」は世界中でプロジェクトが進行中ですが、その理由は現在73億人の世界人口が2050年には95億人になると予想され「エネルギー消費が爆発的に増えることが懸念されること」、および今まではSF映画のような「空想世界のような都市を創ることができる技術が発達したこと」です。

(3)「次世代都市プロジェクト」と「再開発都市プロジェクト」

経済成長が著しい中国などの新興国では、急激な都市の拡大に対応して新しく都市を形成するという「次世代都市プロジェクト」がメインです。

一方、日本や欧米のような先進国では、基礎インフラは整っているものの老朽化が課題となっており、建物や設備の管理・更新をメインとした「再開発都市プロジェクト」が進められています。

(4)日本でのスマートシティ事例

①静岡県裾野市「トヨタウーブン・シティ」

②東京都港区「ソフトバンクによるスマートシティ実証実験」

③千葉県柏市「柏の葉スマートシティ」

④北海道札幌市「DATA-SMART CITY SAPPORO」

⑤兵庫県加古川市「加古川スマートシティプロジェクト」

⑥香川県高松市「スマートシティたかまつ」

⑦福島県会津若松市「スマートシティ会津若松」

⑧神奈川県横浜市「横浜スマートシティプロジェクト」

⑨福岡県北九州市「北九州スマートコミュニティ創造事業」

⑩埼玉県さいたま市「スマートシティさいたま新都心構想」

2.スーパーシティ

スーパーシティ

(1)スーパーシティとは

「スーパーシティ」とは、「AIやビックデータを活用し、社会のあり方を根本から変える未来都市設計の動きが国際的に進展していることを鑑み、第四次産業革命を体現する世界最先端都市の創生を目指して内閣府が基本コンセプトを取りまとめている構想」です。

先端テクノロジーを実証・実装するだけではなく、数多くの成長戦略プロジェクトを包括的に連動させ、国民にとって「より良い社会生活」を実現する、未来都市の「ショーケース」作りを目指しています。もっと簡単に説明すると、国民の都市生活に必要な数多くのインフラやサービスを効率的かつ合理的に運用できる「共通プラットフォームを作ろう!」という考え方であり、内閣府はすでに以下の4つを基本コンセプトとして掲げ、議論を進めています。

しかし、所管が異なる様々な規制を一気に緩和し、住民生活全般に最先端技術を導入することで、一から丸ごと未来都市を作ろうというこの構想には、数多くの課題と達成条件が山積しているようです。

スーパーシティマーク

(2)スーパーシティの基本コンセプト

①複数領域にまたがる社会「未来像」の先行実現

②欧州モデルをもとにした住民参画型都市の創生

③地方自治体首長のコミット力強化

④最先端テクノロジーを実装可能な企業との協力体制構築

3.スマートシティとスーパーシティとの違い

2019年2月、有識者懇談会がまとめた最終報告によれば、「スマートシティや近未来技術実証特区は、エネルギー・交通などの個別分野での取組、個別の最先端技術の実証などにとどまっていた。」とされています。そして、エネルギーインフラや道路・公共交通網が発展している日本では、現状の都市機能で十分豊かで便利な生活がある程度確保されているため、都市部への人口集中に歯止めがかからず、高齢化や人口流出など地方が抱える問題解決にも直結しません。その結果、住民目線では「それほど高度な技術が生活に必要なのかな?」と、存在価値と有益性に疑問符をつけざるを得ない取り組みになっているのです。

一方、スーパーシティ構想は「技術の先進性」を競い合うのではなく、「住民の参画」で浮き彫りとなった「根深い問題」を、早期解決に導くITテクノロジーを「実装」し、地方の生活水準を上げ「脱都市化」を図り、継続的な経済発展を目指していく取り組みです。IT技術の進化という、未来都市創生の手段が「目的化」しつつあるスマートシティ構想と異なり、基本コンセプトが網羅されたスーパーシティが誕生すれば、我々の生活は劇的に変化するでしょう。

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