皆さんは普段何気なく使っている言葉で、「漢字でどう書くのか?」と疑問に思ったことはありませんか?
今回はそのような言葉を集めてご紹介したいと思います。
現代ではひらがなで書くことが多いですが、明治・大正時代や昭和初期(戦前)の小説などを読んでいると「当て字」もあるかもしれませんが、よく漢字表記されています。
1.ほとぼり
意味は①「冷(さ)めきらずに残っている熱、余熱」、②「高ぶった感情や興奮などの名残(なご)り」、③「事件などが収まった後、しばらく残っている世間の関心」のことです。
漢字で「熱り」または「余熱」と書きます。
2.ひやかし
意味は①「冗談などを言ってからかうこと」、②「買う気がないのに商品を見て回ること、またその人」、③「登楼しないのに遊女を見て回ること、またその人」のことです。
漢字で「冷やかし」と書きますが、②と③の場合は「素見」とも書きます。
3.ほだされる
意味は①「情に引きつけられて、心や行動の自由が縛られること」、②「身体の自由を束縛されること」です。
漢字で「絆される」と書きます。
4.ぽつねんと
意味は「一人だけで何もせず寂しそうにしている様子」のことです。
漢字で「孑然」または「徒然」と書きます。なお「孑然」の「孑」は「ひとり」と訓読する漢字で、「子供」の「子」ではありません。
余談ですが、「孑孑」と書いて「ぼうふら」または「けつけつ」と読みます。
5.ぼんやり
意味は①「気持ちが集中せず間が抜けていること、またその人」、②「物の形や色などがはっきりせず、ぼやけて見えるさま」のことです。
漢字で「茫然」または「呆然」と書きます。
6.いたいけな
意味は①「子供などの痛々しく、いじらしいさま」、②「幼くてかわいいさま」、③「小さくてかわいらしいさま」のことです。
漢字で「幼気な」と書きます。
7.いとけない
意味は「幼くて小さいさま」のことです。
漢字で「幼い」または「稚い」と書きます。
なお、この「いとけない」と「いたいけな」を混同してできた「いたいけない」という言葉がありますが、これは「幼気(いたいけ)である」という意味です。
8.ぼや
意味は「大きくならないうちに消し止めた火事」のことです。
漢字で「小火」と書きます。
9.つましい
意味は「生活ぶりなどが贅沢でない、地味で質素であること」です。
漢字で「倹しい」または「約しい」と書きます。まさに「倹約」ですね。
10.つつましい
意味は①「遠慮深い態度である、控えめでしとやか」、②「贅沢でない、質素なさま」、③「人に対して気おくれがする、気恥ずかしい」ことです。
漢字で「慎ましい」と書きます。
11.つらつら
意味は「念を入れて物事を考えたり、見たりするさま」のことです。
漢字で「熟」「熟々(熟熟)」または「倩」と書きます。
12.ゆめゆめ
意味は①「(あとに禁止を表す語を伴って)決して、断じて」、②「(あとに打消しの語を伴って)少しも、全く」です。
漢字で「努努」「努力努力」「夢夢」と書きます。。
13.味をしめる
意味は「一度うまく行ったことからその妙味を知り、暗に次にも同様のことを期待する」ことです。
漢字で「味を占める」と書きます。
14.ままごと
意味は「身の回りの人間によって営まれる家庭をまねた幼児の遊び」のことです。
漢字で「飯事」と書きます。
英語の「mama(母)」ではなく、食事を意味する「飯(まま)」から来ています。今はあまり使いませんが、昔は「おまんまの食い上げ」(収入がなくなって、飯が食えなくなること)とか言いましたね。
食事だけに限らず、食卓を中心とした家庭生活一般の模倣です。子供は親の「口真似」もよくするので、夫婦間の内輪の会話が「飯事」をする子供の口から出て赤面するような場面もありました。
15.うら
「うら悲しい」「うら寂しい」とか「うらさびれた」という言葉がありますが、この「うら」は漢字で「心」と書きます。
「裏」と同じ語源で、「表に見えないもの」の意です。名詞としては「こころ、思い、内心」の意味となりますが、形容詞・動詞に付いて、「心の中で、心の底から」の意を表し、さらにその意が弱まって、「何ということなく、何とはわからず、おのずからそのように感じられる」の意を表すようになりました。
「心悲しい」「心寂しい」「心荒(さ)びれた」(心寂れた)のように使います。
「うらぶれる」も「心触れる」が語源で、「心が事物に触れて思い入る、感じ入る」意です。
なお、「うら若い」の「うら」は「末の意で、こずえが若くみずみずしいところから」とも、「心の意で、心の中にそのように感じられるというところから」とも言われます。
16.ひととなり
意味は「生まれつきの人柄」のことです。
漢字で「為人」と書きます。「人となり」と書くこともあります。