日本語の面白い語源・由来(し-22)四六時中・戯れる・冗談・洒落臭い・出世・洒落・したり顔・しめしめ

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四六時中

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.四六時中(しろくじちゅう)

四六時中」とは、一日中、いつもという意味です。

四六時中は、元々「二六時中」と言われていました。
二六時中は、一日の時間を「子の刻」「丑の刻」など、干支の十二刻で表していた江戸時代の使われ方です。2×6で12となるため、一日中を意味していました。

四六時中は、その「二六時中」を現代の一日の時間(24時間)に合わせ、4×6の24時間としたものです。

2.戯れる(じゃれる)

じゃれる

じゃれる」とは、ふざけたり、たわむれたりすることです。

じゃれるは古語「戯る(さる)」から転じた言葉で、この「さる」は「ざる」ともいいました。

平安時代から見られ、機転が利く、気が利いているなどの意味で用いられていました。

現在のような使われ方になったのは、機転を利かせて戯れたり、洒落を言ったりすることから転じたものです。
また、「おしゃれ」の「しゃれ」も、「さる」の連用形に基づくものと考えられています。

3.冗談(じょうだん)

冗談

冗談」とは、ふざけて言う話、たわむれに言う話のことです。

冗談の語源は、二通りの説があります。

ひとつは、ありふれた話を意味する「常談(じょうだん)」が転じて無駄話の意味となり、無駄であるという意味の漢字「冗」が当てられ「冗談」になったとする説。
もうひとつは、笑いながら楽しそうに話す意味の「笑談(しょうだん)」が転じたとする説です。

江戸中期の浮世草子『世間手代気質』では、「冗談」を「串戯(じゃうだん)」と書き、無駄話をしてサボる意味として使われた例があり、昔はやや広い意味や用法で使われていたと考えられます。

4.洒落臭い(しゃらくさい)

しゃらくさい

しゃらくさい」とは、分に似合わず生意気であることです。

しゃらくさいの語源は、以下の通り諸説ある。

①「お洒落(おしゃれ)」が転じて「しゃら」になったとする説。
江戸時代、身分不相応なお洒落をすることを「しゃらくさい」と言い、形や容姿だけ真似た成金は、どこか俗っぽいという意味からで、現在の意味にも近いものです。

ただし、漢語の「洒落」を「しゃらく」や「しゃら」とは言いましたが、「しゃれくさい」といった語形は確認されていません。

②江戸時代の浮世絵師 東州斎写楽(とうしゅうさいしゃらく)からとったとする説。
この説には、写楽が「しゃらくさい」からとったとする逆の説もあります。

③越前の三国界隈で、遊女のことを「しゃら」と呼び、素人女性が遊女のようにめかしこむことを「しゃらくさい」と言っていたとする説。

この場合の「くさい」は、「~めいている」という意味で使われる「くさい」と考えられます。

⑤「きゃら臭い」が訛って、「しゃらくさい」になったとする説。
遊女を買いに来たおじさんが安物のお香を臭わせ、その臭いが「伽羅(きゃら)」のお香の臭いと混じり合ったことを馬鹿にして、「きゃら臭い」と言い始めたというもの。

漢字の「洒落臭い」が当て字でないとすれば、①か③の説が有力となります。

5.出世(しゅっせ)

出世

出世」とは、世に出て高い地位につき、世間に名が知られる身分になったり、成功することです。

出世は、仏教用語「俗世間の煩悩(ぼんのう)を解脱(げだつ)し悟りを得ること」を意味する「出世間(しゅっせけん)」が略された言葉です。

仏教の世界に入ることも言い、僧侶のことを「出世者(しゅっせしゃ)」と呼んでいます。

日本では、公卿の子息が剃髪して出家し、僧になったことを「出世者」と言いました。
とくに彼らは昇進が早かったため、僧の高い位になることを意味するようになりました。

そこから、高い地位についたり、成功することを「出世」と言うようになりました。

6.洒落(しゃれ)

洒落

洒落」とは、語呂合わせなどで、人を笑わせる気の利いた言葉。戯れにすること。冗談事。垢抜けていること。おしゃれの意味です。

洒落は、「たわむれ」を意味する「戯れ(され)」、長い間、風雨や日光に当たり、白っぽくなる「晒れ(され)」が転じた語といわれます。

このうち、「戯れ(され)」が転じて「しゃれ」になったとするのが有力です。

実直に対して、風流で遊び心のある態度や行動を「しゃれ」と言うようになり、洗練されていることや、おしゃれなども意味するようになったと考えられます。

「洒落が通じない」や「洒落にならない」など、「笑い」よりも「気の利いた」の意味に重点を置いた使われ方をするのも、この由来に通じるものがあります。

「され」が「しゃれ」となったのは、室町時代以降です。

漢字で「洒落」と書くのは、心がさっぱりして物事にこだわらないさまを意味する漢語「洒落(しゃらく)」に由来し、意味の上でも音の上でも似ているため、江戸時代の前期頃から、当て字として使われるようになりました。

落」と誤表記されることが多いが、「洒落」は「酒」ではありません。

「洒」の旁は「酉」ではなく、一本少ない「西」です。

7.したり顔(したりがお)

したり顔

したり顔」とは、思い通りになって得意そうな顔つき。自慢げなさま。ドヤ顔のことです。

したり顔の「したり」の語源は、「◯◯をする」と使われている動作・行動を行う意味の動詞「為(す)」です。

この「為(す)」の連用形に、助動詞「たり」をつけたのが「したり」で、うまく事が運んだ時に発する語であった。

その「したり」に表情の意味として「顔」をつけたのが、「したり顔」です。

「したり」は失敗の時にも用いられ、「これはしたり」などとも使われていました。

8.しめしめ

しめしめ

しめしめ」とは、事態が思いどおりに運んで喜ぶときに発する語です。

しめしめの語源は、動詞「占める(しめる)」で「占有する」の意味です。

「占有する」「自分のものにした」というところから、「占める」の連用形を重ね「しめしめ」になったといわれます。

また、感動詞の「しめた」は「占める」の連用形に助動詞「た」をつけた言葉で、「しめた」を略した「しめ」を重ねて「しめしめ」になったとも考えられます。