日本語の面白い語源・由来(その6)

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シカト

前回に続きまして、日本語の面白い語源・由来をご紹介します。

1.シカト

よく「いじめ問題」などで「シカトされた」などという言葉を聞くので、女子高生の造語(隠語)と勘違いしていた人もおられるかもしれませんが、れっきとした日本語です。しかも元々は任侠(にんきょう)用語で、花札賭博(はなふだとばく)から来ています。

花札の「鹿の絵(十点)がそっぽを向いている」ことから、「鹿十(しかとお)」から「シカト」となったわけです。

2.阿吽(あうん)

東大寺金剛力士像

東大寺の南大門の左右にある「阿吽」の「金剛力士像(仁王像)」(阿形像と吽形像)で有名ですね。神社の狛犬(こまいぬ)や、沖縄のシーサーも「阿形(あぎょう)」と「吽形(うんぎょう)」の形をしています。

「吐く息(阿)と吸う息(吽)。ともに物事を行う時の調子」のことで、「阿吽の呼吸」「阿吽の仲」のように使います。これは「二人の人が、何も言わずともわかり合ったり、呼吸まで合わせるように行動するさま」のことです。

もともと仏教の真言の一つです。「悉曇文字(しったんもじ)」(梵字)の最初の音(開口音)と最後の音(閉口音)を指します。密教ではこの二字で、宇宙の初めと終わり(究極)とを著しました。

「あいうえお」の50音順の「あ」と「ん」にも似ていますね。

3.あわよくば

これは「うまくいけば。間がよければ」という意味です。

形容詞「あわよい」の未然形に、接続助詞の「ば」が付いたものです。「あわ(間)よくば」の「間(あわ)」は、「あわい」という読み方もある「間」「隙間」「合間」という意味の古語で、本来は「機会があれば」「都合がよければ」という意味で用いられました。

のちに、「好機があれば」「運が良ければ」という意味で用いられるようになりました。

4.板につく

これは「動作や態度が自然で、その人の地位や職業にぴったり合う様子」「積み重ねの結果として、態度や物腰などが似合ってくる様子」のことです。

「経験を積んだ役者の足は板張りの舞台に付き、安定した演技ができるようになる」ということから生まれた言葉です。

5.青二才(あおにさい)

これは、年が若く経験の乏しい男を罵(ののし)って言う言葉です。

「青臭い」「青侍」のように未熟なことを意味する「青」と、「生後二年目」ということから年が若いことを意味するようになった「二才」を組み合わせた言葉です。

西郷隆盛を描いた歴史ドラマで、「二才組(にせこ)」とか「二才(にせ)頭」などという言葉が出て来ますが、これは15歳前後から妻帯するまでの「若衆組」のことです。

6.鯖(さば)を読む

これは「自分の得になるように数をごまかすこと。特に年齢をごまかすこと」です。

魚のサバは傷みやすく、数も多かったためできるだけ早く売るために早口で数えられ、後から数え直すと実際の数と合わないことが多かったことからこの言葉が生まれました。

また「刺鯖」(背開きにして塩漬けしたもの)を数えるとき、二尾を連ねて一刺しと数えることからという説もあります。

7.お転婆(おてんば)

これは「少女や若い娘が、慎みなく活発に行動すること。またそういう女」のことです。

「お転婆」の「転婆」は当て字で、語源については諸説ありますが、「慣らすことができない」という意味のオランダ語の「ontembear」からとする説が有力です。

「御伝馬」の字を当てて、威勢の良い「御伝馬」を活発な娘に見立てたとする説もあります。

8.うだつが上がらない

これは「いつまでも出世ができない。身分がぱっとしない。生活が良くならない」ことです。

「うだつ(梲)が上がらない」の「梲」については、二つの代表的な説があります。

うだつ

一つは、日本の古い商家の間にある「屋根付きの防火壁」の「うだつ」から来ているという説です。江戸時代、屋根の部分に上げる「うだつ」には装飾的な意味もあり、金持ちの商家の象徴でした。

美濃和紙で有名な岐阜県美濃市には、「うだつの上がる町並み」と呼ばれるうだつ付きの商家が並ぶ場所があります。

ウダツ

もう一つは、家の屋根の一番高い所に使う「棟木(むなぎ)」と柱の上にある屋根を支える横木の「梁(はり)」との間に立てる短い柱を「うだつ」と呼んでいたことが由来とする説です。この短い柱「うだつ」は、屋根に押さえつけられているように見えることから、「いつまでも出世しない。生活が浮上しない」という意味になったというわけです。

9.にべもない・にべもなく

これは「愛想がない。素っ気ない。つれない」という意味です。

ニベ

「鮸膠(にべ)」とは、スズキ目ニベ科の海水魚の名前です。「鮸膠」の浮嚢(うきぶくろ)は極めて粘着力が強いことから、膠(にかわ)の原料として使用されます。

この「ニベニカワ」で竹の割ったのを貼り合わせて弓を作った時代もあったそうですから、「昔の強力接着剤」だったのでしょう。

「ニベは粘着力が強い」という意味から、親密さや愛想の意となり、それがないということから「素っ気ない」という意味が生じました。

10.ごり押し

これは「無理やり、強引に物事を推し進めること」ですが、「ごり」の語源は川魚の名前です。

ゴリ

ハゼ科の小魚「ゴリ」(カワヨシノボリ)は、別名「石伏」と呼ばれています。名前のように川底の石にへばりつくようにじっとしていることが多く、捕まえる時は藁束(わらたば)を川底につけて雑巾がけするように、前に押して進みながら網の中に追い込んでいくそうです。

これが「ゴリ押し漁」で、ここから「ごり押し」という言葉が生まれました。



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