人の人生に悩みは尽きません。子供の頃は勉強や運動能力などで、青春時代は自分の体型や恋愛・就職・結婚などで、子供が生まれてからは子供のことで、孫が生まれる頃には孫のことや自分自身の体力の衰えや病気などで・・・
四字熟語にもこのような「悩む気持ち」や「悩み」を表す言葉がいくつかあります。
1.雨露霜雪(うろそうせつ)
さまざまな気象の変化のこと、また人生のさまざまな困難のたとえです。
2.懊悩呻吟(おうのうしんぎん)
思い悩み、苦しみ呻(うめ)くことです。
「懊悩」は悩み悶(もだ)えること、「呻吟」は苦しみ呻くことです。
3.懊悩煩悶(おうのうはんもん)
思い悩み、苦しみ悶えることです。「煩悶懊悩(はんもんおうのう)」とも言います。
「懊悩」は悩み悶(もだ)えること、「煩悶」は思い悩むことです。
類義の語を重ねて意味を強調しています。
4.艱難辛苦(かんなんしんく)
非常な困難に遭って苦しみ悩むことです。
「艱」「難」はともに、つらい・苦しい・悩むの意です。「辛苦」はつらく苦しいこと、つらい目にあって悩むことです。
「艱苦辛苦(かんくしんく)」「辛苦艱難(しんくかんなん)」「艱難辛困(かんなんしんこん)」「艱難苦労(かんなんくろう)」とも言います。
5.疾痛惨憺(しっつうさんたん)
ひどく心を痛めること、甚だしく悩み心を砕いて痛めることです。
「疾痛」は悩み痛む意で、「惨憺」は心を痛める意です。
「疾痛惨怛(しっつうさんだつ)」とも言います。
6.焦心苦慮(しょうしんくりょ)
心を痛めて、あれこれ思いをめぐらし悩むことです。
「焦心」は心を苛立たせることで、「苦慮」は心を悩まし考えることです。
7.千辛万苦(せんしんばんく)
さまざまな苦労や困難に遭うこと、またそうした苦しみのことです。
「千」「万」は数の多いことを表しています。辛苦が千も万もあるという意。
8.粒粒辛苦(りゅうりゅうしんく)
細かな努力を積み重ねて、大変な苦労をすることです。
穀物の一粒一粒は、農民の苦労と努力の結果実ったものである意から。
「苦心惨憺(くしんさんたん)」とよく似た意味です。
9.七難八苦(しちなんはっく)
さまざまな災難や苦難のこと、またそれに遭うことです。もとは仏教語です。
「七難」は法華経(ほけきょう)では、火難・水難・羅刹(らせつ)難・刀杖(とうじょう)難・鬼難・枷鎖(かさ)難・怨賊(おんぞく)難を指します。経典によって諸説があり、一定しません。
「八苦」はあらゆる苦しみの意です。「四苦八苦」という言葉もありますね。
私は子供の頃、明治20年代に建てられた古い京町家の実家にあった明治時代か大正時代の子供向けの絵本で、山中鹿之助(1545年~1578年)が「願わくば、我に七難八苦を与え給え」と三日月に祈ったという話を読んだ記憶があります。これは戦前の国語の教科書にも載っていたそうです。
ちなみに山中鹿之助とは、戦国時代の尼子氏の家臣で、尼子家再興に尽力した忠臣です。
蛇足ですが、「色の白いは七難隠す」ということわざがあります。これは肌の色の白い女性は、ほかに少しぐらい醜い点があってもその白さが欠点を覆い隠すという意味です。
しかし現代では、「女性蔑視」「人種差別」などと批判されかねませんね。