「美」という漢字は「羊」が由来になっている!?

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美という漢字の成り立ち

1.日本と中国の肉食文化

(1)日本の肉食文化

日本では「明治維新」以後の「文明開化」によって一般に肉食が普及し、その傾向は戦後更に急激に進みました。

日本では古来、食用の家畜を育てる習慣が少なく、主に狩猟で得たシカやイノシシの肉を食していました。日本人の間で肉が全く食べられなくなったという時期は見られませんが、仏教伝来以降は、獣肉全般が敬遠されるようになっていきました。

しかし江戸時代でも、彦根藩は幕府に太鼓を献上していた関係で、太鼓に使う牛革を確保するために牛の畜産を営み、牛肉を食べる文化が発達しました。

幕末に適塾に学んだ福沢諭吉も「牛鍋屋」で牛肉を食べていたことを「福翁自伝」で述べています。

日本人の肉食は、牛肉か豚肉が主で、「羊肉」(「マトン」や「ラム」)はそれほどなじみがありません。

(2)中国の肉食文化

しかし、世界的に見ると、羊は「食用にされる動物の代表」と言っていいほどだそうです。

中国でも非常に古い時代から羊の放牧が行われていました。また羊の肉が「祭りの犠牲」としても盛んに用いられました。

王や貴族の家で先祖に対する祭りが行われる時には、何かの動物が「生贄(いけにえ)」として供えられました。

「生贄」には、最も重要な祭りでは「牛肉」が用いられましたが、牛は農耕に使う貴重な役畜でしたので、通常は「羊肉」を用いました。

2.「美」という漢字の成り立ち

神に捧げる生贄が大きければ大きいほど神様は喜ばれたし、祭りに参加した者たちが後で食べる「おさがり」もそれだけ多くなります。

そこで祭りを行う者たちは、なるべく大きな羊を選んでお供えしました。それが「美」という字の由来です。

「美」は「会意文字」(羊+人)です。

「羊の首」の象形と「両手両足を伸びやかにした人」の象形から大きくて立派な羊の意味を表し、そこから「うまい」、「うつくしい」を意味する「美」という漢字が成り立ちました。

お供えの羊から食肉を切り取るには、ノコギリが使われましたが、この時代にはノコギリのことを「我」という漢字で表しました。

羊の肉をノコギリで切り取るのは神聖なお供えを作るためであり、その時に当然敬虔な気持ちで行われなければなりません。

その時の恭(うやうや)しく敬虔な心情を「義」という漢字で表しました。「義」が「羊」と「我」とで構成されているのはそのためです。

3.「美」を含む言葉

(1)美育(びいく)

音楽や美術、文学などの芸術の鑑賞や創造を通じて、情操を養い人格を高めることを目的とした教育。

(2)美意識(びいしき)

美に関する意識。芸術や美術を鑑賞し理解するときに働く意識。

(3)美し国(うましくに)

すばらしい国。よい国。《「うまし」はシク活用形容詞の語幹でもある終止形》

(4)美人局(つつもたせ)

夫婦または内縁の男女が共謀して、女が他の男と密通し、それを言いがかりとしてその男から金銭などをゆすり取ること。なれあい間男。

4.「美」を含む四字熟語

(1)傾国美女(けいこくびじょ/けいこくのびじょ)

「傾国」は国を傾け滅ぼすという意味で、国政をないがしろにするほど君主が心を引かれるほどの絶世の美女のこと。「傾国美人」とも言います。

(2)香美脆味(こうびぜいみ)

極めて贅沢な食事のこと。
「香美」は香辛料のきいた、よい香りのする料理。「脆味」は柔らかい菓子。

(3)侈衣美食(しいびしょく)

ぜいたくな衣服においしい食事などのぜいたくなことのたとえ。
「侈」はぜいたくという意味で、「侈衣」はぜいたくな衣服のこと。

(4)十全十美(じゅうぜんじゅうび)

不十分な部分がなく、完全であること。
「十全」と「十美」はどちらも全てのものに欠点などなく、完璧であるということ。

(5)醇風美俗(じゅんぷうびぞく)

他人への思いやりのある、美しく望ましい風俗や習慣。
「醇風」は人への思いやりのある習慣。「美俗」は美しい習慣。
「淳風美俗」とも書きます。

(6)尽善尽美(じんぜんじんび)

完璧なこと。
善と美のどちらもきわめているということから。
「善を尽くし美を尽くす」とも読みます。

(7)鮮美透涼(せんびとうりょう)

美しく透き通っている様子。
「鮮美」は美しく色鮮やかなこと。「透涼」は涼やかで、清く透き通っている様子。
人の性質についてもいう言葉。

(8)大樹美草(たいじゅびそう)

素晴らしい人物が上にいると、下のものは上に行くことができずに、立派な人物に育たないということ。
大きな木の下は、日の光が遮られて影になるために、美しい植物は生えないという意味から。
「大樹の下に美草無し」を略した言葉。

(9)耽美主義(たんびしゅぎ)

芸術的思想の一つで、理性や善悪の道理などよりも、美を最も価値のあるものとする思想。
「耽美」は美の世界に陶酔すること。
十九世紀末にイギリスやフランスで生まれたもので、込められている思想などではなく、形式や感覚、虚構を最も重んじるもの。

(10)天之美禄(てんのびろく)

酒の別名。
「美禄」はよい俸禄ということ。天から授かった素晴らしいものという意味から。

(11)美意延年(びいえんねん)

心配事もなく楽しい心のまま生きれば、自然と長生きできるという意味。
「美」は楽しむ、「意」は心のことで、「延年」は長生きすること。

(12)美須豪眉(びしゅごうび)

立派でたくましい男性の容姿を言い表す言葉。
「美須」は美しいひげ。「豪眉」は太くて強そうな眉

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