日本語の面白い語源・由来(その11)急須、宜なるかな、ポン酢、すき焼きなど

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急須

1.急須(きゅうす)

「急須」とは、「葉茶を入れ湯を注いで煎じ出す、取っ手の付いた小さな器」(上記画像)のことです。

「急須」という言葉は、「急」は「差し迫った」という意味で、「須」は「須(もち)いる」という意味なので、もともとは「急な用に応じて用いるもの」という意味です。

お茶を飲むのはくつろぐ時ですし、特に急ぐ必要もありませんので、なぜ「急須」と呼ばれているのか、不思議と言えば不思議ですね。

古く中国では、酒の燗に用いた注ぎ口のある小鍋を「急須」や「急焼」と呼んでいましたが、煎茶器としても用いられるようになったものです。

「きびしょ」とも言いますが、これは「急須」や「急焼」の唐音が転じたものです。大正生まれの私の母などは「きびしょ」と言っていました。

2.宜なるかな(むべなるかな)

「宜なるかな」とは、「もっともなことだなあ。いかにもその通りだなあ」ということです。

「うべなるかな」とも言います。

この言葉は、平安時代以前からある古い言葉で、百人一首の文屋康秀の次のような和歌にもありますが、現代でも「~なのも、むべなるかな、ですね」などと使うことがあります。

吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ

「むべなるかな」は、「うべなり」という言葉の連体形に、感動の助詞「かな」が付いた形の語句です。

不老長寿の果実ムベ

なお、「むべなるかな」という言葉にまつわる面白い伝説があります。それは「不老長寿の果実」「無病長寿の霊果」とも言われる「アケビ」に似た「むべ」という果物の名前の由来の伝説です。

667年に大津宮に遷都した天智天皇(626年~672年、在位:668年~672年)が琵琶湖南部に出かけ、大嶋の里(現在の北津田町あたり)に立ち寄りました。

8人の息子を持つ元気な老夫婦に出会い、「あなた方が元気で長生きなのは何か理由があるのか?」と尋ねました。

これに対して老夫婦は、「この地には無病長寿の霊果と伝わる珍しい果実があり、毎年秋に食べております」と応じ、天皇に果実を差し上げました。

天皇は賞味し、感銘を受けて納得し、「むべなるかな」と話したということです。この故事から、その果実は「むべ」と呼ばれるようになったということです。

皇室への献上の歴史も古く、平安時代の法令集「延喜式」には、近江国からフナやマスなどの琵琶湖の魚などとともに、「むべ」が献上されたとあります。

無病息災と子宝に恵まれる果実として連綿と続けられたそうです。

ムベの実

3.ポン酢(ぽんず)

ポン酢各種

「ポン酢」とは、「柑橘類の果汁を用いた和食の調味料」です。

狭義のポン酢(ポンス)は、レモン・ライム・ダイダイ・ユズ・スダチ・カボスなど柑橘類の果汁に酢酸を加えて味をととのえ、保存性を高めたものです。

ポンスに醤油を混ぜた「ポン酢醤油」も、一般的に「ポン酢」と略して呼ばれています。ちなみにミツカンが販売している「味ぽん」の正式名称は「ぽん酢調味料」です。

この「ポン酢」の語源はオランダ語の「pons(ポンス)」です。

これは「5種類のものを混ぜ合わせた」という意味の言葉で、蒸留酒に柑橘類の果汁や砂糖、スパイスを混ぜたカクテルの一種「ポンチ・パンチ」のことです。

これが転じて日本では、柑橘系のしぼり汁のことを指す言葉になったようです。

4.すき焼き

すき焼き

「すき焼き」(鋤焼き、すきやき、Sukiyaki)とは、「食肉や他の食材を浅い鉄鍋で焼いたり煮たりして調理する日本の料理」のことです。

日本では幕末になるまで、牛肉を食べることは一般に行われていませんでしたが、「すきやき」と呼ばれる料理は存在していました。

江戸時代前期の1643年(寛永20年)に刊行された料理書「料理物語」には「杉やき」が登場しています。これは、鯛などの魚介類と野菜を杉材の箱に入れて味噌煮にする料理です。

さらに1801年(享和元年)の料理書「料理早指南」では、「鋤焼きは、鋤のうへに右の鳥類をやく也。いろかはるほどにてしょくしてよし」と記されています。

また1804年(文化元年)の「料理談合集」や1829年(文政12年)の「鯨肉調味方」にも具体的な記述があり、使い古した鋤を火にかざして鴨などの鳥肉や鯨肉・魚類などを加熱する一種の焼き料理でした。

「すき焼き」の語源については、魚介類の味噌煮の「杉やき」と、鳥類・魚類の焼肉である「鋤焼き」という2種類の料理に由来するとされていますが、「すき身の肉を使うことから」という説もあります。

ちなみに「すき焼き」と似た呼び名の料理に「くわ焼き(鍬焼き)」があります。これは昔、農作業の合間に野鳥を獲り、その肉を畑で使う鍬に載せて焼いたことからこの名が付いたと言われています。

鋤と鍬

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