「東西南北」の語源は?「右」と「左」に関係がある!?NEWSの語源も紹介

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風見鶏

当たり前のように日常使っている方角を表す「東西南北」の語源をご存知でしょうか?

前に「右と左の語源」についての記事を書きましたが、実はこの「左右」にも大いに関係があるのです。

1.「東西南北」の語源

東西南北

現代、特に日本で普通に生活しているだけでは東西南北に優劣はありませんが、古代の日本や多くの宗教では「東」という方角が崇拝される傾向にありました。

東が崇拝されている例は様々な文化に反映されています。

・キリスト教の教会が向いている方向はほとんどが東である

・日本神話でもアマテラスの孫である天孫「ホノニニギノミコト」が「日に向かう」という意味の「日向の高千穂」に降臨する

・初代天皇である神武天皇は高千穂(九州)から地上を平定するために東へ向かった(神武東征)

聖徳太子が隋の煬帝に「日出る処の天子、書を、日没する処の天子に致す。」と日本が暗に東にある事を伝えたとも言われている

そこで、方角の語源も「東」から始まります

(1)「東(ひがし)」の語源

「東」の語源は「日に向かう」という意味の「ヒムカシ」がだんだんと変化して出来た

とされています。

(2)「西(にし)」の語源

東西南北のうち、「西」の語源だけがあまりはっきりとしていません。しかし、いくつかの説のうちよく言われているものを紹介いたします。

西は日が沈んでいく方角ですよね。
昔から太陽=神様とあがめられているため、逆に日が沈んでしまう「西」は死者の国があると言われています
仏教でも「西方浄土」というように、極楽浄土は西にあると表現されています。

また、古事記では死者の国として「根之堅州国(ねのかたすくに)」という世界があると紹介されています。この「根」が「ニ」に変化し、方角を表す「シ」と合わさって「ニシ」になったという説があります。

その他にも日が沈む=日が去る方角ということで「日去(い)にし」から「ニシ」になったという説もあります。

(3)「南(みなみ)」の語源

「南」の語源は簡単です。東から見て「右」だからなのです。

昔日本では右のことを「ミギリ」と呼んでいました。「ミギリ」と「ヒダリ」が対になる言葉だったのです。確かによく似ていますし自然ですね。
この「ミギリ」が変化して「ミナミ」になり、東の右にある方角が南、とされたのです。

(4)「北(きた)」の語源

「北」の語源も南の時と同じとされています。東から見て「左」にあるというのが語源です。

「左」は昔から「ヒダリ」と表現していました。
「ヒダリ」が変化し「ヒダ」になり、そこから「キタ」になり北を表現するようになりました。

北は「汚い」に似ているから縁起が悪い?

日本人は古来から言葉遊びや洒落、響きを大事にしてきました。口から出る言葉には「言霊(ことだま)」と言って力が湧いているとされたのです。
縁起の悪い言葉に近い言葉を良い響きの言葉に言い換えて代用する文化がありました。

この縁起の悪い言葉を忌み言葉と言います。
忌み言葉は今でもよく使われています。特に冠婚葬祭では使われていますが、それ以外にも日常的に使用されています。

「北」に関しては、「汚い」と似ていることや、太陽が当たらない方角であることにより、暗いイメージがどうしても付きまといます。
そのため「敗北」などマイナスな言葉に使われがちです。

ちなみに「敗北」の「北」は方角を表す文字ではなく、二人の人が背を向けている象形文字を表しており、「相手に背を向ける」という意味になります。
「背を向ける」の「背」の字にも「北」が入っているのでわかりやすいですね。

2.「NEWSの語源は東西南北」というのは間違い

NEWSの語源

NEWSは、North(ノース)East(イースト)West(ウェスト)South(サウス)の頭文字を取ったもの」という俗説が、かつて流布していました。

私も「なるほど」と思っていた時期がありました。

しかし、これは「言葉遊び」としてはよくできた面白い発想ですが、語源的には「真っ赤な嘘」です。

NEWSは英語圏では「ニューズ」と発音します。

ニュース番組などの「NEWS」は、新しいという意味の「NEW」の複数形です。新しい事柄や新しいことを伝えるものという理由で名付けられました。

3.方位(方角)と「十干・十二支」との関係

「東西南北」の方位(方角)は、「東奔西走」や「南船北馬」、「南行北走」「東行西走」「古今東西」などの四字熟語にも用いられていますが、「十干・十二支」とも関連があるのをご存知でしょうか?

方位と十二支

方位は北に子(ね)を当てはめ、その後、丑・寅・卯の順番に時計回りに十二支を当てはめ、12等分します。

しかし、12等分だと、北東・東南・南西・西北が表現できません。

そのため、北東は丑と寅の中間なので「丑寅(うしとら)」、東南は辰と巳の中間なので「辰巳(たつみ)」、南西は未と申の中間なので「未申(ひつじさる)」、西北は戌と亥の中間なので「戌亥(いぬい)」と呼びます。

方位と十二支

赤道に直角に交差する北極と南極を結ぶ線を「子午線(しごせん)」と言いますが、これは方位を十二支で表した時に、北が子、南が午だからです。

同様に、子午線の任意の点から見て直角に交差する線をまっすぐ東西にのばした時にできる線を「卯酉線(ぼうゆうせん)」と言いますが、これは東が卯、西が酉から来ています。

子午線と卯酉線

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