フランス語由来の「外来語」(その6:マ行・ヤ行)モンタージュ・マヌカン・マロン・ムニエル・メニュー・メゾン他

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三億円犯人のモンタージュ写真

古来日本人は、中国から「漢語」を輸入して日本語化したのをはじめ、室町時代から江戸時代にかけてはポルトガル語やオランダ語由来の「外来語」がたくさん出来ました。

幕末から明治維新にかけては、鉄道用語はイギリス英語、医学用語はドイツ語、芸術・料理・服飾用語はフランス語由来の「外来語」がたくさん使われるようになりました。

日本語に翻訳した「和製漢語」も多く作られましたが、そのまま日本語として定着した言葉もあります。たとえば「科学」「郵便」「自由」「観念」「福祉」「革命」「意識」「右翼」「運動」「階級」「共産主義」「共和」「左翼」「失恋」「進化」「接吻」「唯物論」「人民」などです。

フランス語由来の外来語(フランス語から日本語への借用語)は、日本が幕末に開国して以来、欧米列強の学問や技術を取り入れる過程で日本語になりました。日本語になった外来語には、学術的な用語から料理・美術・ファッションなどの日常的な単語まで多岐にわたります。

そこで今回は、日本語として定着した(日本語になった)フランス語由来の「外来語」(その6:マ行・ヤ行)をご紹介します。

1.モンタージュ(montage

モンタージュと言えば、「三億円事件の犯人のモンタージュ写真」(冒頭の画像)が有名ですね。

「モンタージュ」とは、映画用語で、撮影したフィルムの各断片を配列し、統一ある作品とする映画の編集・構成のことです。視点の異なる複数のカットを組み合わせて用いる技法です。

元々はフランス語で「(機械の)組み立て」という意味です。映像編集の基礎であるため、編集と同義で使われることも多いようです。

余談ですが「三億円事件」については、「三億円事件の真犯人が書いた小説とは?」「第二の三億円事件を解決した指紋の神様・塚本宇兵と捜査一課の赤鬼・緒方保範」という記事も書いていますので、ぜひご覧ください。

2.マヌカン(mannequin)・ハウスマヌカン(house mannequin )

「マヌカン」(マネキン)は、店頭において各種商品の宣伝・販売促進にあたる販売員(宣伝販売促進員)や、その職種を指す言葉です。服飾品の販売から使われるようになった用語ですが、食品の試食・実演販売などにも用いられています。

単に「マネキン」と言った場合は、通常衣服の展示に使われる等身大の人形(マネキン人形)を指す場合が多いようです。職種は「マネキン職」、従事者は「マネキンさん」などとも呼ばれます。服飾業界ではフランス語での発音に従った「マヌカン」も用いられます。

「ハウスマヌカン」とは、お客に対し、スタイリングのアドバイスや商品の説明をするようなサービスを行う女性販売員のことです。

この言葉がブームとなったのは1980年代であり、テレサ・テンの「夜霧のハウスマヌカン」(1985年)という歌も大ヒットしました。しかし現在、この言葉を日常的に耳にすることはありません。この言葉は英語とフランス語を混ぜた造語で、日本のみで囁かれた言葉なのです。

3.マロン(marron)・マロングラッセ(Marron glacé )

「マロン」は、フランス語で、ブナ科クリ属の木であるシャテニエ( châtaignier、ヨーロッパ栗)の実、または、トチノキ科トチノキ属の木であるマロニエ(marronnier、セイヨウトチノキ)の実のことです。

通常マロンと呼ばれるのは、シャテニエの実、つまり栗です。ただし、シャテニエの実はシャテーニュ (châtaigne) とも呼び、使い分けられます。

概して日本の栗のようにイガの中に2個から3個の小さな種子が入っているのがシャテーニュ、1つの大きな種子が入っているのがマロンと呼ばれます。「マロングラッセ」に使われるのはマロンです。

ちなみに「マロングラッセ」は、栗を砂糖漬けにした菓子です。

4.ムニエル(meunière

「ムニエル」は、魚の調理法の一つです。

魚の切り身に塩・コショウで下味をつけ、小麦粉などの粉をまぶし、バターで両面を焼いた後、レモン汁を振りかけます。外側のカリッとさせた食感と、中の柔らかい身の違いが好まれます。ウシノシタ(舌平目)やスズキなどの白身魚や、マス・サケ類がよく用いられます。

レモンソースの他にバルサミコソースやタルタルソースをかける場合もあります。ホワイトソース(ベシャメルソース)や、オーロラソース、醤油風味のソースが用いられることもあります。

5.メニュー(menu)

「メニュー」は、西洋料理の献立、または献立表のことです。

献立表は、食事の内容を知らせるものとして食事中食卓の上に置かれるので、デザインなどを 工夫して、料理がより感じの良いものになるようにします。

6.メゾン(maison)

「メゾン」は、家・住宅のことで、「メゾン〇〇」や「(積水ハウスの)シャーメゾン」のように集合住宅の名称などによく用いられます。

7.メトロ(métro

「メトロ」とは、首都もしくは中心的な大都市( metropolis)を指す短縮した名称です。また、そのような都市の高速大量輸送旅客鉄道を指す言葉でもあります。

8.モアレ(moiré

モアレモワレ

「モアレ」(またはモワレ)は、「干渉縞」とも言い、規則正しい繰り返し模様を複数重ね合わせた時に、それらの周期のずれにより視覚的に発生する縞模様のことです。

また、規則正しい模様を、デジタル写真などのビットマップ画像にした場合も、画像の画素解像度と模様の周波数のずれが原因で同様の縞模様が発生しますが、これもモアレと呼びます。

また印刷でも網点という点の集まりに画像を変換するので同様の現象が発生します。

9.ミルフィーユ(mille-feuille

ミルフィーユ

「ミルフィーユ」は、フランス発祥の菓子の一種です。

歴史ある菓子で、形状や製法も様々なものがありますが、現代では3枚のフィユタージュ(feuilletage)またはパート・フィユテ(pâte feuilletée)と呼ばれるパイ生地にクリームを挟み、表面に粉砂糖がまぶされたもの、あるいは糖衣がけされているものが基本とされています。

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