ドイツ語由来の「外来語」(その4:タ行・ナ行)ダックスフント・タクト・チアノーゼ・チタン・ツベルクリン他

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ダックスフント

古来日本人は、中国から「漢語」を輸入して日本語化したのをはじめ、室町時代から江戸時代にかけてはポルトガル語やオランダ語由来の「外来語」がたくさん出来ました。

幕末から明治維新にかけては、鉄道用語はイギリス英語、医学用語はドイツ語、芸術・料理・服飾用語はフランス語由来の「外来語」がたくさん使われるようになりました。

日本語に翻訳した「和製漢語」も多く作られましたが、そのまま日本語として定着した言葉もあります。たとえば「科学」「郵便」「自由」「観念」「福祉」「革命」「意識」「右翼」「運動」「階級」「共産主義」「共和」「左翼」「失恋」「進化」「接吻」「唯物論」「人民」などです。

ドイツ語由来の外来語(ドイツ語から日本語への借用語)は、江戸時代は蘭学を通して、明治時代は欧米列強の近代的な技術を取り入れる過程で日本へ伝わり、日本語として定着しました。日本語になった単語の分野は、法学、医学、化学、物理学から、音楽、登山、スキーまで多岐にわたります。

そこで今回は、日本語として定着した(日本語になった)ドイツ語由来の「外来語」(その4:タ行・ナ行)をご紹介します。

1.ダックスフント(Dachshund)

「ダックスフント」はドイツ語で「アナグマ(穴熊)の犬」という意味があります。dachs(ダックス)はアナグマ、hund(フント)は犬のことです。

アナグマを狩るために改良されたことから命名されました。

2.タクト(Takt)

「タクト」は、ドイツ語で「拍・小節」を意味するTaktに由来します。これは「指揮棒」を意味するtaktstock(タクトシュトック)の略語です。

3.タンタル(Tantal

「タンタル」は、原子番号73の第6周期に属する第5族元素です。元素記号は Ta。タンタルの単体は比較的密度が高くて硬く、銀白色を呈し、光沢があって腐食耐性の高い遷移金属です。レアメタルの1つに数えられており合金の微量成分などとして広く用いられる他、比較的化学的に安定で融点も高く、耐火金属としても知られています。

4.チアノーゼ(Zyanose)

「チアノーゼ」 とは、 皮膚 や 粘膜 が青紫色である状態のことです。

一般に、血液中の酸素濃度が低下した際に、 爪床 や 口唇 周囲に表れやすいものです。 医学的には 毛細血管血液中の脱酸素化ヘモグロビン(デオキシヘモグロビン)が5 (g/dL)以上で出現する 状態を指します。

5.チタン(Titan

「チタン」は、原子番号22の元素。元素記号はTi。第4族元素、遷移元素の一つです。

チタンはギリシャ神話の巨人タイタン(Titan)が語源です。1795年にドイツの化学者クラプロート(Martin Heinrich Klaproth)が発見し、ギリシャ神話のタイタンに因んで「チタン」と命名したことに由来します。

6.ツィゴイネル(Zigeuner)・ツィゴイネルワイゼン(Zigeunerweisen)

「ツィゴイネルワイゼン」とは、ドイツ語で「Zigeunerweisen」と書き、「Zigeuner(ツィゴイネル)」と「weisen(ワイゼン)」の合成語です。

前半の「Zigeuner(ツィゴイネル)」は、「ジプシー」という意味です。「weisen(ワイゼン)」は、「旋律、メロディー」という意味の「Waise(ワイザ)」に複数形を意味する「n」が付いて「weisen(ワイゼン)」となります。

合わせて「Zigeunerweisen(ツィゴイネルワイゼン)」は、「ジプシーのメロディ」、「ジプシーの旋律」という意味になります。

スペイン生まれのヴァイオリニストであるサラサーテが1878年に作曲した管弦楽伴奏付きのヴァイオリン独奏曲「ツィゴイネルワイゼン」は有名ですね。

7.ツェルト(Zelt)・ツェルトザック(Zeltsack)

「ツェルト」とは、ドイツ語の「ツェルトザック」の略語です。遭難時や雨風が強い時などに身体を体温低下などから防ぐ簡易テントのことです。仮に緊急事態に陥り、雨風に打たれながら「ビバーク」したとして、この「ツェルトも持っていたかどうか」「使い方を理解していたかどうか」が生死を分ける可能性さえあります。

8.ツベルクリン(Tuberkulin

小学校の時に「ツベルクリン検査」を受けた方も多いのではないでしょうか?

「ツベルクリン」とは、結核菌感染の診断に用いられる抗原のことです。しかし、結核菌や非結核性抗酸菌に感染した場合だけでなく、BCG接種の結果としても、この抗原に対して陽性反応が起こることが多いので、BCG接種が行われている地域では、結核の感染診断手法としては用いられません。

かつて日本では、結核予防法により乳幼児・小中学生に対して「ツベルクリン反応検査」を行い、陰性者に対してBCG接種が行われていました。

しかし、その後の2005年の法改正により、これらの者に対する「ツベルクリン反応検査」は廃止されました。現在は「予防接種法」に基づき、生後1歳に至るまでの定期接種時にある乳幼児に対してのみ、「ツベルクリン反応検査」をせずに直接にBCG接種を行うこととなっています。

9.テーマ(Thema)

「テーマ」はドイツ語のThemaに由来し、語源をさかのぼるとギリシア語の「置く、置かれたもの」という言葉に由来します。

主題、対象、課題のことや、デザインテーマのような基調となる考えのことも意味します。

10.テルル(Tellur

「テルル」は、原子番号52の元素。元素記号は Te。第16族元素の一つです。

12.デマゴギー(Demagogie)・デマゴーグ(Demagog)

「デマゴギー」はドイツ語のDemagogieに由来し、語源をさかのぼるとギリシャ語で「民衆を導く(dēmos+agein)」という語に由来します。

「デマゴギー」は他者を煽動するために意図的に流す「噂、嘘情報、フェイクニュース」のことで、「デマ」は「デマゴギー」の略語です。デマを流す人物のことは「デマゴーグ」(Demagog)と言います。

13.ナトリウム(Natrium

「ナトリウム」は、原子番号11の元素、およびその単体金属のことです。ソジウム、ソーダ(曹達)とも言います。元素記号Na。原子量22.99。アルカリ金属元素、典型元素の一つです。

14.ニオブ(Niob

ニオブは、原子番号41、元素記号Nbの元素です。かつてはコロンビウムと呼ばれていたこともありました。レアメタルの一つです。

15.ネオジム(Neodym

「ネオジム」は、原子番号60の金属元素。元素記号は Nd。希土類元素の一つで、ランタノイドにも属します。

ギリシャ語で「新しい」を意味する neos とジジミウム(ジジムともいう)を合成したのが語源です。

磁石 ネオジムの用途で特に重要なのは、強い磁力を持った永久磁石を生産するために使用されることです。

16.ノイローゼ(Neurose)

「ノイローゼ」はドイツ語のNeuroseに由来し、語源をさかのぼるとギリシャ語で「神経の病気」という意味があります。ギリシャ語でneur(ノイロ)は「神経」、ose(オーゼ)は「状態、病気」を意味します。

現在では概念が曖昧で幅広いため、医療用語としては使用していないそうです。

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