日本語の面白い語源・由来(お-⑭)乙女・音・踊り・おっちょこちょい・大盤振る舞い

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乙女

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.乙女(おとめ)

乙女の祈り

乙女」とは、年の若い女性、未婚の女性、娘、少女、処女、生娘(きむすめ)のことです。

おとめの「おと(をと)」は、「男」の「おと(をと)」と同じく、「若返る」意味の動詞「をつ(復つ)」と同源で、「」は「女」の意味です。

上代では、成年に達した若い女性を「をとめ(乙女)」と言い、その対義語として「をとこ(男)」がありました。

万葉集』には「未通女」「処女」とあり、「未婚の娘」をさすことが多かったと思われます。

現在では単に若いだけではなく、汚れを知らない純真な少女のイメージを伴なって、「乙女」を用いることが多くなっています。

「乙女」の漢字は、「を」と「お」が混同されたことによる当て字で、中世以降見られます。

ポーランドの作曲家バダジェフスカのピアノ曲「乙女の祈り」は、魅力的でロマンチックなメロディーで広く親しまれています。

2.音(おと)

音

」とは、空気・水など物の振動による音波を聴覚器官が感じとったもの、音波のことです。

音の語源には、次のように諸説ありますが、決定的な説はなく未詳です。

「お」が「発声」、「と」が「とく(疾)物に当たる音」とする説
「あた(当)」に通じるとする説
「おとろ(驚)」からとする説
上から下へ落ちるに従い響き出ることから、「おとす(落とす)」を語源とする説
「トントン」「ドンドン」などの擬音からとする説

万葉集』や『古今集』などの歌集では、音を「水」「波」「風」などと合わせて用いた例が多く見られます。

3.踊り/躍り(おどり)

舞妓の踊り

踊り」とは、音楽・歌・拍子などに合わせて体を動かすこと、ダンス、舞踊、舞踏のことです。

おどりは、動詞「をどる(おどる)」の連用形「をどり(おどり)」が名詞化した語です。

「踊り(踊る)」の語源については、「お」が「尾」、「どる」が「とどろく」の意味とする説や、「繰り返す」という意味の「ヲツ」と関係する語とする説「をとぶある(小飛有)」の意味とする説など諸説ありますが、未詳です。

おどりの漢字には、「踊り」と「躍り」があり、意味で使い分けされています。
ダンスや舞踊など、普通は「踊り」の漢字を使い、「躍り」は「エビの躍り食い」や「躍りあがって喜ぶ」など「跳ね上がる」の意味に限定された使い方をしています。

しかし、本来「おどり」は「跳ね上がること」「飛び跳ねること」など躍動運動を表す語でした。

「舞踏」の意味として「踊り(踊る)」が用いられた例は、中世末期頃から見られます。
当時の踊りは跳ね上がるような動きであったと考えられ、日本芸能においての「踊り」も、「舞い」と区別して躍動運動を主体とした動作を指し、音楽や歌に促されて踊るのではなく、自らがリズムを作り踊るものを言いました。

4.おっちょこちょい

おっちょこちょい

おっちょこちょい」とは、落ち着きがなく、軽率な行動をするさま(また、その人)のことです。

おっちょこちょいは、「おっ」「ちょこ」「ちょい」からなる語と考えられます。
「おっ」は、驚いた時などに発する「おっと」と同じ感動詞「おっ」もしくは接頭語の「お(御)」で後に続く「ちょこちょい」に合わせたものです。
「ちょこ」は、あちこち動き回る様子を表す「ちょこちょこ」の「ちょこ」
「ちょい」は、僅かなことや簡単にできるさまを表す「ちょいと」と同じ「ちょい」

おっちょこちょいは1800年代後半より見られる語で、1910年『諺語大辞典』には「デスギ、生意気、軽佻などをいふ意。東京語。」とあり、1917年『東京語辞典』にもこの語が見られることから、主に東京で使われていた俗語が広まったと考えられます。

5.大盤振る舞い(おおばんぶるまい)

大盤振る舞い

大盤振る舞い」とは、人々に気前よく金品や食事を振る舞うこと、盛大にもてなすことです。

大盤振る舞いの「大盤」は当て字です。本来は「椀飯振る舞い」と書き、読みは「おうばんぶるまい」でした。

椀飯」とは、椀に盛った飯のことで、「わんばん」から「わうばん」。さらに「おうばん」へと変化した語で、「椀飯振る舞い」は、平安時代、公事や儀式のときに、お椀に盛った食事が振る舞われることを言った語です。

江戸時代に入ると、これが庶民にも伝わり、正月などに大勢の人を集めて開く酒宴を「椀飯振る舞い」と言うようになりました。

やがて、酒宴の豪勢な印象のせいか、「大盤」と混同されて「大盤振る舞い」となり、食事に限らず、気前よく金品や食事を振舞うことも言うようになりました。

この語は一般に「大盤振る舞い」と表記しますが、「大盤振舞」と書いて、四字熟語としても使われます。

余談ですが、「マイナンバーカード申請」と「マイナ保険証」「公金受取口座登録」で2万円がもらえる「マイナポイント」も「税金の大盤振る舞い」と揶揄されました。

河野太郎デジタル担当大臣も「マイナポイント付与は邪道」と言っていましたが、「マイナンバーカード普及」のインセンティブには十分になったようです。

近々健康保険証が「マイナ保険証」に切り替わり、結局「マイナンバーカード」が必要になるのであれば、「2万円もらわにゃ損々」と思うのは人情です。

本来「任意」のはずの「マイナンバーカード」が「国民皆保険」のわが国で「現在の保険証を廃止」して「マイナ保険証に切り替える」ということは、「マイナンバーカードを義務化」することを意味します。

私はマイナンバーカードはすでに取得済みでしたが、99歳の母親の分はもう無理だと諦めていました。

しかし、「申し込みが殺到したため、特例措置として3月1日まで延長される」とのニュースを聞いて、(家族の面会はまだできないため)介護付き有料老人ホームの職員にスマホで写真撮影を頼み、滑り込みで「スマホによるオンライン申請」をしました。