「黄金世代」「プラチナ世代」「第三世代」の若手女子プロゴルファーが大活躍する昨今ですが、不調に喘ぎどん底で苦しんでいる中堅・ベテラン選手もいるなど、明暗が分かれています。
堀奈津佳は、プロデビュー2年目にステップアップツアーで2勝を挙げ、3年目には早くもツアーで2勝して、その可愛いルックスもあって大人気の女子プロゴルファーとなりました。
しかし、その後は低迷が長く続いて今はどん底状態です。
2022年は、年間トップ10がゼロで、賞金ランキング121位、メルセデスランキング125位と低迷し、メルセデスランキングによるシード権を獲得できませんでした。
また「予選会」(QT)にも出場しましたが、ファーストステージで敗退(トータル5オーバーの35位)し、20位までのファイナルステージへ進めませんでした。
来季はぜひ復活して、一歩一歩でもよいので上位を目指してほしいものです。
2020年の新型コロナウイルスの流行をきっかけに、ゴルフは「密にならずに楽しめるスポーツ」ということで人気になりました。ゴルフ練習場やゴルフ場で若い人たちの姿を見かける機会が明らかに増えました。その勢いは2022年もとどまることを知らず、むしろ加速しているように感じます。
かつては「オジサンのスポーツ」と言われ、若い世代には敬遠されていましたが、今はむしろ「オシャレなスポーツ」として若者たちや女性からも支持されています。最近の日本人の若手女子プロゴルファーの活躍もその一因ではないかと私は思います。
2019年8月4日、「黄金世代」と呼ばれる若手女子ゴルファーの一人の渋野日向子(当時20)が、「全英女子オープンゴルフ」に優勝しました。
これをきっかけに、日本の女子プロゴルフ界に宮里藍以来のフォローの風が再び吹き始めたようです。それまでは韓国勢に圧倒されっぱなしで、毎週のように韓国人選手に優勝をさらわれていましたが、2020年~21年からは明らかに日本人の女子プロゴルファーの活躍が目覚ましいものになってきました。
現在女子プロゴルフ界では、小祝さくら・渋野日向子・原英莉花・勝みなみ・新垣比菜・淺井咲希・河本結・大里桃子などの「黄金世代(1998年4月2日~1999年4月1日生まれ)」や古江彩佳・澁澤莉絵留・西村優菜・安田祐香・吉田優利などの「プラチナ世代(ミレニアム世代)(2000年4月2日~2001年4月1日生まれ)」と呼ばれる20代前半の選手が大活躍するようになって来ました。
さらにその下の世代の山下美夢有・笹生優花・西郷真央などの有望選手は「第三世代」あるいは「新世紀世代」と呼ばれ始めています。
これについては「女子プロゴルフが再び面白い!黄金世代・プラチナ世代・新世紀世代が大活躍」「女子ゴルフ賞金ランキング争いは熾烈!シード権争いはメルセデスランキング。」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。
そこで今回は、ツアー2勝を挙げ人気のあった堀奈津佳が今どん底にある現状についてご紹介したいと思います。
1.堀奈津佳の現状
2022年6月に行われた「ニチレイレディス」では、通算5アンダーの23位で終えました。ツアーでは約7年3か月ぶりのアンダーフィニッシュ。
2013年に2勝を飾った「元次世代ホープ」が手にした希望の光ですが、そこにたどり着くまでの歩みは、想像を絶するものでした。共に闘ってきた井上透コーチは「奈津佳はどんなに殴られても立ち上がるボクサーのタイプ」とストイックさを表現しています。
「久しぶりに大勢のギャラリーを前にプレーできて、楽しかったです。ショットの調子は日替わりで、今日はよくない日でしたが、修正してまとめられたことは収穫でした」と充実した表情で彼女は語っています。 手にした賞金は83万円。それよりも、ツアーで上位を狙える位置まで戻って来られたことが、うれしかったようです。
彼女はレギュラーツアー本格参戦2年目の2013年に2勝を飾り、20歳で「ツアーをけん引する新星」と称されました。
しかし、2015年から極度のスランプに陥り、シード権を喪失。16年は賞金0円となりました。彼女から依頼されて2017年からコーチを引き受けた井上氏は、当時を「とんでもない状態でした」と振り返ります。
「ショットの反応病でした。とにかくドライバーの症状は最も酷く、打った瞬間に大きく左に出てOBということもありました。左が嫌で右にミスをすることもあり、70台のスコアでラウンドすることにも必死でした。不調というよりも、深い谷底、闇に陥っている感じです。私自身も長い闘いになることを覚悟しました」
本人は、闇に陥ったきっかけを「いい時に『もっと綺麗なストレートボールを打ちたい』と思ったから」と言っています。ストイックな性格ゆえに完璧を求め、試行錯誤する中で迷走。指導を始めた井上氏は、堀に寄り添い、さまざまなことに取り組んだということです。
「まずは、どういうものが彼女に合うのか、それを悶々と探しました。そして、練習場でいい球が出るようになり、コースで打ちのめされる繰り返しでした。なので、彼女の手応えのあるショットのデータ(数字)を残していきました。その過程で、ドローも試しましたが、今のフェードを軸にしたショットに行き着きました」 ただ、「ショットの反応病」は、「心」に起因するところが大きい。それを克服するために、井上氏は「小さな目標を立てて、クリアし、少しずつ自信を取り戻すことが大事」と、彼女に伝えました。
「70台を出せない時は、『ハーフ39を出そう』と言いました。OBが当たり前のように出ても、アプローチ、パターで頑張ってそれをクリアしていく。『次は70台』という感じでした。そういう中でも、奈津佳は試合に出て懸命にプレーを続けました。辛くて何度も涙したと思いますが、殴られても、殴られても立ち上がるボクサーのようにあきらないですし、『練習が嫌だ』とは一度も言ったことがない。これは、なかなかできることではないです」
そして、昨年3月の「明治安田生命レディス」で3年ぶりの予選通過を果たしました。その後は10戦連続で予選落ち(2022年を含む)でしたが、今年3月の「明治安田生命レディス」第2日では、ツアーで約7年ぶりの60台の「69」をマークしました。それを境に流れが変わり、5月の「ブリヂストンレディス」は、今季初のツアー予選通過で55位。「ニチレイレディス」初日では、7年ぶりとなるトップ10発進を果たしました。
「昨年の試合が始まる前には、プライベートのラウンドでも60台を出せるようなっていました。一時は200ヤードを切っていたドライバーのキャリーも230ヤードまで戻っていたので、『またツアーで戦えるところまで来た』という感覚はありました。現実に平均ストロークも上がってきたので、今の成績は納得できるものがあります」
一方で井上氏は、「奈津佳は、まだまだリハビリの途中です」と言っています。積み重ねによって深刻な状態からは脱していますが、今後も焦らず、「小さな目標」を立てていくということです。
「予選通過を重ねて、次はトップ20、その次はトップ10という感じです。同じように苦しい時期を乗り越え、復活して優勝した(妹の)琴音プロの姿を見ているとはいえ、奈津佳の方が闇の期間が長いので、ここで焦って、何歩先の目標を立ててはダメ。まずは、次の試合で3日連続アンダーパーを一緒に目指したいです」
2.堀奈津佳の超可愛い画像
3.堀奈津佳とは
堀奈津佳(ほり なつか)(1992年7月6日~ )は、徳島県徳島市出身。寒川高等学校卒。身長159cm、体重53kg。血液型A型。サニクリーン中国所属。
趣味は「音楽鑑賞 読書」で、好きな色は黒・白です。実妹は女子プロゴルファーの堀琴音。
(1)アマチュア時代
10歳でゴルフを始めました。徳島市立城西中学校時代の2006年に「四国小中学生ゴルフ大会」(中学生女子の部)で優勝を飾っています。14歳で江連忠ゴルフアカデミーに入門しました。
2008年に寒川高等学校に入学、同年「四国ジュニアゴルフ選手権」で優勝、第63回国民体育大会(大分県)ゴルフ競技で個人戦3位タイに入っています。
2009年にJGAナショナルチーム入り。藤本麻子とのコンビで日本代表のメンバーとして台湾アマチュアゴルフ選手権(台湾)に出場し、団体戦で準優勝すると共に個人戦で12位に入りました。
2010年は全日本サンスポ女子アマゴルフ選手権で酒井美紀(当時東日本国際大学附属昌平高等学校)とプレーオフで戦い、2位に敗れています。同年は前年に引き続きJGAナショナルチーム入り。個人としてデュークオブヨークヤングチャンピオンズトロフィー(イギリス)に出場しました。
また堀と比嘉真美子(当時沖縄県立本部高等学校)、福田真未(当時沖学園高等学校)の3人で代表チームを結成してエスピリトサントトロフィー世界女子アマチュアゴルフチーム選手権(アルゼンチン)、2010年アジア競技大会(中国・広州市)にそれぞれ出場、アジア競技大会では団体戦4位、個人戦10位と健闘しました。
高校卒業後の2011年、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)最終プロテストに進出、2位で合格し、JLPGA83期生となりました。
(2)プロ入り後
アマチュア時代から「日本女子オープンゴルフ選手権競技」などのJLPGAツアーに出場していましたが、プロとしては2011年8月の「ニトリレディスゴルフトーナメント」がデビュー戦でした(+2, 32位タイ)。
2012年はステップアップツアーで2勝(エディオンカップ、ルートインカップ 阿蘇グランヴィリオレディース)しましたが、JLPGAツアーでは20戦して「リゾートトラストレディス」の15位タイが最高成績でした。
2013年はJLPGAツアー第4戦の「アクサレディスゴルフトーナメント」にて同ツアー初優勝(-14)を果たしました。しかしながらこの大会の初日に於いて、大雨によるコースコンディション不良によって設けられていた『泥がついたボールをフェアウェイ及びラフで、無罰で拭き取っても良い。ただし拭き取ったボールは当初の位置に戻してプレーをする』とするトーナメントローカルルールを誤解し、プリファードライ(所謂6インチプレースルール)と思い込んでボールを移動させてプレーを続行していた違反行為が発覚。このため堀は大会2日目の競技終了後に競技委員に違反に関する申告を行いました。その際にはJLPGAから「ルール説明の通達文に誤解を招く箇所があった」というプレスリリースが行われ、協会側の不手際によるものとして堀の違反行為を咎めず、失格などの措置を取らずに最終日に出場することを認めた一幕がありました。
JLPGAツアー初勝利から3か月後の「アース・モンダミンカップ」では初日から4日間を60台のスコアで回り、通算-21(267)をマークして優勝し、プロ2勝目を挙げました。なお、この時のスコアはJLPGAツアーの4日間競技最少スコアを更新するものでした。
2019年シーズンよりサニクリーン中国所属となりました。
2021年7月の「ニッポンハムレディスクラシック」で妹・琴音が優勝し、福嶋晃子・浩子に次ぐ史上2組目の姉妹優勝を達成しました。