今の天皇陛下が「ナルちゃん」とか「浩宮(ひろのみや)」と呼ばれていた小学生の頃、「やばい」という下品な言葉を使ったとして物議を醸したことがありました。
これは、本来の「大変だ」「まずい」と言う意味で使ったようですが、一般庶民も使わない盗賊が使うような言葉を将来の天皇である皇族が使ったということで、大変話題になりました。
これについては、「隠語と言えばナルちゃん(浩宮)のヤバい(やばい)発言を思い出す」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。
ところが、最近の若者は何でもかんでも「やばい」「やばーい」を連発しているようです。芸能人がテレビの食レポなどで、とても美味しい料理のことを「やばい」と言ったり、すごいことやモノを見て驚いた時に「やばい」と言うからかもしれません。あるいは逆に、芸能人が若者言葉をまねて言っているのかもしれません。
一昔前は、何でもかんでも「かわいい」「かわいーい」と言うのが流行しましたね。
最近の時代劇のセリフがほとんど「現代語」になってしまったのも気になります。また今年のNHK大河ドラマ「どうする家康」での秀吉の下品な言葉もいただけません。
なお面白くないと評判の「どうする家康」については、「どうする家康が面白くない・つまらない原因は?改善策は?」という記事も書いていますので、ぜひご覧ください。
また「大和言葉(やまとことば)」に関しては、「死語になった残しておきたい美しい日本語・傘傾げと折り梅」という記事も書いていますので、ぜひご覧ください。
1.若者の語彙力不足
何でも「やばい」で済ませる若者が多い昨今、若者の語彙力不足を強く感じます。
若者には、美しく上品な「大和言葉」を知ってもらい、もっと使ってほしいものです。
ただし、全ての若者が「語彙力不足」だというわけではありません。子役として国民的な人気者になり、今年からは慶応義塾大学(法学部政治学科)の学生になる芦田愛菜さんは、大変な読書家で、インタビューを聞いていても語彙が豊富なのに感心します。
芦田愛菜さんの読書量や読書法については「読書法は、一冊読書法より並行読書法がお勧め!」という記事でも触れていますので、ぜひご覧ください。
2.「大和言葉」とは
「万葉集」や、「枕草子」「源氏物語」にはふんだんに「大和言葉」が使われています。
「大和言葉」とは、日本で古くから使われてきた和の言葉で、中国から伝来した「漢語」や、中国以外の国の言語に由来する「外来語」に対して、「和語」とも呼ばれます。
「大和言葉」は、その柔らかく温かみのある音の響きに、最近あらためて魅力を感じる人が増えてきています。
若者の「語彙力不足」も反映してか、最近「大和言葉」に関する本がたくさん出版されています。
キャッチコピー風に言えば、「美しい日本語・大和言葉の再発見」です。
3.「大和言葉」の特徴・魅力と具体例
(1)「大和言葉」の特徴
①ひらがなの言葉、漢字で書くとき訓読みになる言葉
②全ての品詞で使われる
③「オノマトペ」(擬声語・擬音語・擬態語)に多い
日本語は特にオノマトペが多く用いられる言語です。日本語のオノマトペは4,000語以上存在すると言われています。
「どきどき」、「ひらひら」、「ざあざあ」などです。
④具体的な物や現象を表す言葉が多く、抽象的な言葉は少ない
⑤動詞・形容詞では多義的な言葉が多い
たとえば大和言葉の「みる」は、中国語にすると「見・観・診・看」などたくさんの漢字があり、「みる」という一つの動詞にたくさんの意味が含まれています。
(2)「大和言葉」の魅力
①柔らかく親しみを感じる
②洗練された綺麗な響きを持つ
③堅苦しさやよそよそしさがない
④心が癒されるように感じる
⑤奥行きや深みがある
⑥丁寧で物腰柔らかな印象を与える
⑦女性らしい淑(しと)やかさを感じさせる
⑧温(ぬく)もりや優しさを感じさせる
⑨上品で優雅さを感じさせる
⑩豊かな感性に満ちている
(3)「大和言葉」の具体例
「大和言葉」の美しさ・上品さを知っていただくには、具体例を挙げるのが一番なので、いくつかご紹介します。
①感情を伝える大和言葉
・相想い:互いに思慕すること。
・あたら:惜しいことに。もったいないことに。残念なことに。
・有り難い:感謝したくなる気持ちだ。
・如何(いかん)せん:どうしようもないことには。残念ながら。
・痛み入る:人から受けた好意や親切に対して、大変申し訳なく思う。
・おかんむり:機嫌が悪いこと。
・惜しむらくは:惜しいことに。残念なことに。
・恐れ入る:相手の好意や親切、自分の過ちやいたらなさなどを、大変申し訳なく思う。
・恐れ多い:身に過ぎてありがたい。もったいない。
・思いの丈(たけ):慕う心の全て。思いの限り。
・思いのほか:思っていた以上に。
・面映(おもは)ゆい:恥ずかしい。
・片恋(かたこい):片思い。
・忝(かたじけな)い:好意や親切を受けて、身に過ぎてありがたく感じる。
・恋蛍(こいぼたる):恋している、恋焦がれる気持ちを蛍の光にたとえた言葉。
・焦がれる:そうなりたいとひたすら思う。いちずに思い望む。あこがれる。
・心あくがる:魂が身から抜け出して放心状態になること。
・心入(い)る:あることに心が引きつけられる、気に入ること。
・心失(う)す:驚いて正気を失うこと。
・心起こる:思い立つこと。
・心掛かり/心懸かり:気にかかること、心配なこと。
・心消ゆ:激しく動揺して気が遠くなること。
・心下がる:品性が下劣であること。
・心進む:心がはやる、気がせくこと。
・心座る:心が安定する。気持ちが落ち着くこと。
・心立つ:発奮すること。何かに興味を持つこと。
・心問う:良心が聞きとがめること。
・心に留める:心にしっかり覚えておく。
・心働く:心が動揺する、心が静まらないこと。
・心待ちにする:待ち望んでいる。期待して待っている。
・心回る:考えつく、機転が利くこと。
・心を寄せる:好意をいだく。
・慕う:恋しく思う。心がひかれなつかしく思う。
・仕合わせ:運がよいこと。また、そのさま。めぐり合わせ。幸福。幸運。運命。
・袖の露:袖を濡らす涙のこと。
・泪(なみだ)に沈む:ひどく泣いて嘆き悲しむ。
・恥じ入る:深く恥じる。非常にはずかしいと思う。
・腹に据えかねる:怒りを押さえることのできる範囲をこえている。我慢しきれない。
・絆(ほだ)される:情にひかされて自分の考えにない行動をとる。人情にからまれる。
・待ち望む:望みが実現することを今か今かと待つ。
・身に余る:処遇が自分の身分や業績を超えて良すぎる。
・耳に当たる:聞いて不愉快になる。
・虫が好(す)く:気に入る。気がある。
・胸に沁(し)みる/心に沁みる:感動、印象に残ること、感銘を受ける、強く印象に残る。
・胸に響く/心に響く:心に強く感じる。
・胸を痛める/心を痛める:心配して悩む。
・胸を打つ/心を打つ:人の心を感動させる。
・勿体無い(もったいない): 有用なのにそのままにしておいたり、むだにしてしまったりするのが惜しい。身に過ぎておそれ多い。かたじけない。
②挨拶の大和言葉
・幾久(いくひさ)しく:いつまでも、末永く。
・承(うけたまわ)る:相手の願いや要求などを慎んで引き受ける。
・お暇(いとま)します:訪問先を辞去するときに言うあいさつ。
・お蔭様:他人の助力に感謝する言葉。(実際に助けてもらわない場合でも、もろもろに感謝する意味で使う言葉)
・お口汚し:客に飲食物を出すときにへりくだる表現。
・遅ればせながら:ちょうどよい時期には遅れてしまったが。
・お粗末様:他人に提供したものについて礼を言われたとき、謙遜の気持ちをこめていう語。
・お平らに(おたいらに):客などに対して足をくずしてどうぞ楽にお座りくださいとすすめる言葉。
・お力落とし:頼みとするものや希望がなくなって、がっかりすること。
・お力添え:目上の人からの援助や協力。
・お手すきのときに:時間に余裕のある時に。(相手に対して配慮した言葉)
・お手柔らかに:手加減してほしいと伝える言葉。
・お引き立て:お世話になっている。(長年お世話になっているお得意様・得意先に対して使う言葉)
・お膝送り(おひざおくり):空席を作るために、すわったまま膝を動かし体をずらして、順に席をつめていくこと。
・お骨折り:何かに対して精一杯対処する、尽力すること。
・お見知りおき:自分の顔や名前を覚えておいてほしいときに用いる丁寧な表現。
・お目にかかる:「会う」の謙譲語。お会いする。
・お持たせ:来客が持ってきた手土産を、その客の前でいう語。
・御機嫌よう:会ったときや別れるときに、相手の健康を祈り祝う意をこめて言う挨拶の言葉。
・心置きなく:ご遠慮なく。
・心ばかり:物品は大したものではないが、気持ちを示すためもの。(贈り物などを差し出す際の表現)
・御免(ごめん)下さい:他家を訪問したときや辞去するときの挨拶の言葉。
・御尤(ごもっと)も:相手の言い分が道理であると肯定するさま。
・ごゆるり(と):あくせくせずにゆったりとした心境。
・左様なら:別れるときの挨拶の言葉。
・しばしお待ちを:少しお待ち下さい。
・ほんのしるし:ほんのわずか、形だけ。(贈り物などを差し出す際の表現)
・よしなに:よい具合になるように、よろしく。
③容姿や態度・様子を表す大和言葉
・艶(あで)やか:女性が華やかに美しく、艶(なま)めかしいさま。
・粋(いき):人情に通じてものわかりがよい。
・いじらしい:子供や力の弱い者などの心根やありさまに心打たれる感じである。可憐で痛々しい。
・いなせ:粋で、勇み肌で、さっぱりしている様子。
・浮舟(うきふね):水面に浮かんでいる小舟。頼りないことのたとえ。
・倦(う)まず弛(たゆ)まず:一生懸命。
・うらぶれる:落ちぶれて惨めなありさまになる。心がしおれて、わびしく思う。
・うららか:晴れ晴れとして明るい様子。
・えも言われぬ:言葉で言いようもない。
・おおらか:ゆったりしていて、細かいことにとらわれないさま。
・奥床(おくゆか)しい:慎み深く、魅力的。
・乙(おつ):ちょっと気がきいていて趣のあるさま。
・思い初める(おもいそめる):恋し始める。
・面影/俤(おもかげ):記憶に残っていて、心の中に浮かぶ姿・様子。
・おもてなす:ご馳走する。歓待する。
・趣(おもむき):味わい。風情。
・折り合う:妥協する。
・甲斐甲斐(かいがい)しい:手際がいい。けなげ。
・幽(かそ)けき:今にも消えてしまいそうなほど、薄い、淡い、あるいは仄(ほの)かな様子を表す語
・清らか:けがれのないさま。
・首っ丈(くびったけ):人や物事に夢中になってしまうさま。
・小気味好(こきみよ)い/小気味がいい:(手際のよさや鮮やかさに)快い感じを受ける。痛快である。
・心配(こころくば)り:気遣いや配慮など、心配すること。
・心遣(こころづか)い:相手のためを思って、いろいろと気を使うこと。
・心づくし:できる限りのことを行動、精魂をこめたもの。
・心映え(こころばえ):心のありよう。心構え。
・心を同じくする:とても気があう。
・心を砕く:細心の注意を払う。
・差し控える:なんらかの支障があって、行動を慎む。
・しみじみ:身に染みて深く感じる様子。
・鈴を転がすよう:女性の、高く澄んだ美しい声を形容する言葉。
・たおやか:容姿・動作がしなやかでやさしい。
・つくづく:心に強く感じられる様子。念入りに見たり感じたりする様子。
・恙(つつが)なく:問題なく。順調に。
・常若(とこわか):いつまでも若々しいこと。また、そのさま。
・なよやか:しなやかでやわらかなさま。
・はしたない:礼儀に外れていて品がない。上品ではない。下品だ。
・花笑(え)み:人がほほえんでいるのを咲いた花にたとえた言葉。
・憚(はばか)る:他の人に気を使って、自分の行動を慎む。
・不躾(ぶしつけ):礼儀作法をわきまえていないこと(さま)。無作法。
・風情(ふぜい):趣(おもむき)。
・懐が深い:包容力がある。
・ほとほと:本当に、すっかり。
・眩(まばゆ)い:目をあけていられないほどに美しい。
・見目麗(みめうるわ)しい:容貌が美しい。
・目配り:あちこちに目を向けて注意を払うこと。
・目もあや:まぶしいほどりっぱなさま。
・雪を欺く:きわめて白いさま。雪と見まがう。
④程度を表す大和言葉
・余すことなく:残らないように。
・いささか:ほんの少し。
・おおむね/あらまし:およそ。大体。
・このうえなく:この上がないほど最高に。
・荷が勝つ:負担が重過ぎる。
・一方(ひとかた)ならぬ:一通りではない。
⑤評価を表す大和言葉
・いとをかし:美しい、きれいな、愛らしい。すばらしい、優れた、見事な。趣がある、風情がある。こっけいな、おかしい。興味深い、おもしろい。
・折り紙付き:絶対に間違いないと保証できること。また、そうしたもの。
・買い被(かぶ)る:物を実際の価値より高い値段で買う。
・流石(さすが):評判や期待のとおりの事実を確認し、改めて感心するさま。
・筋がいい:センスがある、 有望な、上手な、腕の立つ。
・名に負う:名高い。評判である。
・二無(にな)し:二つとない。この上ない。最上である。
・汀優る(みぎわまさる):きわだって優れる。涙がとめどなく流れる。
・水際立つ(みずぎわだつ):他と比べてひときわ鮮やかである。
⑥時を表す大和言葉
・暁(あかつき):夜の明ける頃。
・曙(あけぼの):夜がほのぼのと明ける頃。
・朝な夕な:朝となく夕となく。いつも。
・朝まだき:夜の明けきらないころ。
・可惜夜(あたらよ):明けてしまうのが惜しいほどの夜。
・有明(ありあけ):明け方。
・古(いにしえ):過去。
・今しがた:たった今。
・朧月夜(おぼろづきよ):朧月の出ている夜。
・折から:ちょうどその時に。
・暮れなずむ:日没、日が暮れかけてから暗くなるまでの間。
・小夜(さよ):夜。
・しののめ:東の空がわずかに明るくなる頃。
・雀色時(すずめいろどき):空が薄暗くなった時分。
・黄昏(たそがれ):夕方の薄暗い時。
・玉響(たまゆら):ほんの少しの間。
・千歳(ちとせ):千年。長い年月のこと。
・月夜(つくよ):月の夜
・月籠り/晦日(つごもり):月の末の日。みそか。
・久方(ひさかた)ぶり:長い時間が経っていること。久しぶり。
・日ならず:それほど日数を必要としないさま。遠からず。まもなく。
・ひねもす:朝から夕方まで。一日中。終日。
・昼下がり:正午を少し過ぎたころ。
・待宵(まつよい):訪ねて来るはずの恋人を待っている宵。名月を待ち焦がれる前日の夜。
・短夜(みじかよ):短い夏の夜。
・夕明かり:夕暮れになお残るほのかな明るさ。残照。
・宵の口:日が暮れて間もないころ。
・夜もすがら:一晩中。夜どおし。
⑦自然を表す大和言葉
・青嵐(あおあらし):初夏の青葉を吹き渡るやや強い風。
・天満月(あまみつつき):空いっぱいに輝く月。
・雨降り花(あめふりばな):摘み取ると雨が降ると言い伝えがある花。(ヒルガオなど)
・有明の月:夜明けの空に残っている月。
・生きとし生けるもの:この世に生きているすべてのもの。あらゆる生物。
・十六夜(いざよい):中秋の名月のあとの陰暦8月16日の月。
・雨月(うげつ):名月が雨で見られないこと。
・薄氷(うすらい/うすらひ):薄く張った氷。うすごおり。
・泡沫(うたかた):水面にできる泡のように、消えやすくはかないことのたとえ。
・空蝉(うつせみ):蝉の抜け殻(また、蝉)。この世の人、生きている人間のこと。人間の生きているこの世、現世。
・朧月(おぼろづき):春の夜のほのかにかすんだ月。
・帰り花(かえりばな):初冬の小春日和(こはるびより)に咲く季節はずれの花。
・風薫る:初夏に新緑の間を吹いてくる快い風。
・風光る:春の日差しの中を吹き渡る風。
・草いきれ:夏の強い日ざしをうけて、草むらから立ちのぼるむっとする熱気。
・草紅葉(くさもみじ):秋に草の色が変わること、草の紅葉。
・東風(こち):東から吹いてくる風。
・木の葉時雨(このはしぐれ):木の葉の散るさまや音を時雨に見立てていう語。
・木漏れ日(こもれび):木の葉の間からもれてさす日の光。
・せせらぎ:浅瀬を流れる水の音。
・そよ風:わずかに吹く風。
・空の鏡:月のこと。
・月冴(さ)える:冴えきった寒さの中で鏡のように澄んだ月。
・月映え(つきばえ):月の光に照らされて美しく映えて見えること。
・月読(つくよみ・つきよみ):月の神。
・凪(なぎ):風がやんで海面が静まること。
・花明かり:桜の花が満開で、夜でもそのあたりの闇がほのかに明るく感じられること。
・花筏(はないかだ):花びらが水面を流れる様子
・花衣(はなごろも):桜の花が人に散りかかるのを衣に見立てた言葉。花色の衣装を着た美しい女性
・花野(はなの):草の花が一面に咲き乱れた野原(特に秋草の咲く野原)。
・春告げ鳥:うぐいす。
・春隣(はるどなり):春がすぐそこまで来ているということ、春の兆し。
・冬ざれ:冬の、草木の枯れて荒涼たる様子。また、その季節。
・星合(ほしあい):陰暦七月七日の夜、年に一度の牽牛と織女の二つの星の逢瀬。
・星月夜(ほしづきよ):星の光で、月夜のように明るい夜の様子。
・汀(みぎわ):水際。波うちぎわ。
・もちづき:満月。
・遣(や)らずの雨:訪れてきた人が帰るのを引き止めるような雨。
・行き合い(ゆきあい):夏と秋、冬と春など隣り合う二つの季節が行き合うこと。次の季節に変わること。また、そのころ。
⑧天候・気象を表す大和言葉
・徒雲(あだぐも):風のまにまに漂う雲。はかなく消えやすい雲。
・淡雪(あわゆき):やわらかで今にも消えそうな春の雪。
・浮雲(うきぐも):空中に浮かんでいてあちこちと漂う雲。
・朧(おぼろ):春の夜のぼうっと薄く霞んだ様子。
・陽炎(かげろう):夜明けの薄明かり、地面からの空気がユラユラとゆらめく現象。
・風花(かざはな):晴天にちらつく小雪片。純白の雪を花びらに例えたもの。
・霞(かすみ):霧や煙のため、遠くのものがぼんやりと見える状態。
・雲足(雲脚)が速い:風が強く雲が空を速く流れるさま。
・雲の梯(かけはし):雲がたなびいているさま。
・小春日和(こはるびより):冬の初めの時期の、春のように暖かい気候のこと。また、陰暦十月ごろの暖かい天候のこと。
・さざ波雲:さざ波のような白い雲。
・細雪(ささめゆき):静かに降る細かい雪。
・五月闇(さつきやみ):五月雨(さみだれ)の降る頃の暗さのこと。
・時雨(しぐれ):秋の末から冬の初めにかけて、ぱらぱらと通り雨のように降る雨。
・棚雲(たなぐも):空一面に広がっている雲。
・根無し雲:あてもなく流れ漂う雲。
・花冷え(はなびえ):桜が咲くころの冷え込み。
・日和(ひより):晴れたよい天気。空模様。天気。
・六(む)つの花:雪の異名。
・山蔓(やまかずら):明け方、山の端にかかる雲。
・木綿蔓(ゆうかずら):明け方の雲をたとえていう言葉
・雪明り(ゆきあかり):降り積もった雪が放つほんのりとした明るさ。
・雪の果て:雪が溶けて消えること。
⑨その他の大和言葉
・生憎(あいにく):期待通りにならず残念であること。都合が悪いこと。
・秋扇(あきおうぎ):秋になっても使われている扇、いつしか使われなくなった忘れられた扇。
・秋風が立つ:男女間の愛情が冷める。秋風が吹く。
・朝惑い:朝寝をすること。また、その人。
・あながち:必ずしも。むやみに。(あとに打消しを伴って、断定しきれない気持ちを表す言葉)
・あまつさえ:そのうえに。おまけに。それだけでなく。
・肖(あやか)る:好ましい状態にある人の影響が及んで、自分も同じような状態になる。
・改める/検める:古いものを新しくする。正しいかどうか調べる。
・如何(いか)にも:相手の考えを強く肯定する意。なるほど。確かに。
・誘(いざな)う:誘う。勧める。
・勤(いそ)しむ:精を出す。励む。
・いたたまれない:精神的な圧力を受けてその場にそれ以上とどまっていられない。
・いただきだち:ごちそうになってすぐ辞去すること。食べ立ち。
・至らない:行き届かない。不十分である。
・労(いた)わる:困っている人や病人などに同情の気持ちをもってやさしく接する。大事にする
・出で湯(いでゆ):温泉。
・厭(いと)わない:嫌がらない。
・いみじくも:非常に巧みに。適切に
・いやが上にも:なおその上に。ますます。
・言わずもがな:言わない方がよいこと。言うまでもなく。
・打ち水:ほこりをしずめたり、涼をとるために水をまくこと。また、その水。
・現(うつつ)を抜かす:ある物事に過度に熱中する。ある事に心を奪われる。
・うってつけ:条件や役割にぴったり合っていること(さま)。あつらえむき。
・空ろ/虚ろ(うつろ):内部がからであること。空(むな)しいこと。
・えてして:ある傾向になりがちであるさま。ややもすると。ともすると。
・逢瀬(おうせ):男女が隠れながら逢うこと。
・お門(かど)違い:目当てをまちがえること。見当違い。訪問すべき家をまちがえること。
・烏滸(おこ)がましい:分不相応である。さしでがましい。出過ぎたことだ。
・お浚(さら)い:学んだことが確実に身につくように再びやってみること。復習。
・おっつけ:そのうちに。間もなく。
・思い人(びと):恋人。愛(いと)しく思う人。
・徐(おもむろ)に:ゆっくり。静かに。
・折り入って:特別に。心を込めて。
・折から/折しも:ちょうどその時。
・かえすがえす:繰り返し繰り返し。何度考えても。
・かこつける:ある物事のせいにする。口実にする。
・重ね重ね:何度も何度も。
・頭(かしら)の雪:白髪。
・蚊遣り火(かやりび):蚊取り線香。
・気が通る:さばけている。粋である。気が利く。
・階(きざはし):階段。
・気働き(きばたらき):気が利くこと。機転。
・踵(きびす)を返す:後戻りする。引き返す。
・肝に銘じる:強く心に留め、決して忘れないようにすること。
・きらら:鉱物の雲母(うんも)
・口が過ぎる:言ってはならないことを言う。失礼なことを言う。言いすぎる。
・心を寄せる人:好きな人。
・輿入(こしい)れ:嫁に行くこと。嫁入り。
・言祝ぐ(ことほぐ):言葉で祝福する。喜びや祝いの言葉を述べて、幸運を祈る。
・差し出口:出しゃばっておせっかいを言うこと。
・差し障(さわ)り:都合が悪いこと。
・認(したた)める:書き記す(ほかに食事する、用意する、整える、などの意味も)
・不知火(しらぬい):夜間の海上にたくさんの光が点在し、ゆらめいて見える現象。
・酸いも甘いも:人生経験が豊富で、世の中のことをいろいろと知っている。
・袖振る:袖をひらひらさせる。別れを惜しんだり、合図をするしぐさ。
・高嶺の花(たかねのはな):遠くから見るだけで手にいれることのできないもの。
・たまさか:めったにないさま。偶然。
・契(ちぎ)り:固く約束すること。男女が肉体関係をもつこと。前世から定まっている運命。
・手練(てだ)れ:技芸・武芸などに熟達していること。
・とどのつまり:結局のところ。
・ない袖は振れない:持っていないものは、出せない。
・馴れ初め(なれそめ):二つの心が寄り添うこと。
・俄(にわ)かに:突然に。急に。
・捗(はかど)る:物事が順調に進む。
・日溜り(ひだまり):日当たりがよくて暖かい場所。
・紅差し指(べにさしゆび):口紅をつけるのに用いた薬指のこと。
・骨身に沁みる/骨身にこたえる:全身に、また心に強く感じる。
・仄(ほの)見える:かすかに見える、ほのかに見える。
・正(まさ)しく:ある事柄がまちがいなく成り立つさま。確かに。
・間尺(ましゃく)に合わない:割に合わない。損になる。
・御輿/神輿(みこし)を担(かつ)ぐ:他人をおだて上げる。持ち上げる。
・むべなるかな:いかにも。もっともなことである。
・目端(めはし)が利く:素早く見てとる。抜け目がない。
・申し開き:自分のした行為について、その正当さや、そうせざるを得なかった理由などについて述べること。弁明。
・勿怪(もっけ)の幸い:思いがけない意外な幸運。
・以(もっ)ての外(ほか):非常に不届きであること。けしからぬこと・さま。
・柳腰(やなぎごし):細くしなやかな腰つき。また、細腰の美人。
・ゆくりなく:思いがけず。不意に。
・横紙破り(よこがみやぶり):自分の思った通りを無理に押し通そうとすること。