日本語の語源には面白いものがたくさんあります。
前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。
以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。
1.桔梗(ききょう)
「桔梗」とは、キキョウ科の多年草で、日当たりの良い山野に自生します。夏から秋にかけて、青紫色の釣鐘形の花をつけます。根は漢方で薬用。「秋の七草」のひとつです。
桔梗はその形の良さから多くの武将の家紋に用いられました。中でも明智光秀の水色桔梗の家紋は有名です。
キキョウは、薬草としての漢名「桔梗」を音読みした「キチコウ(キチカウ)」が変化した語です。漢名「桔梗」の語源は、乾燥した根が硬いという意味に由来します。
キキョウは日本在来種で、古名には「アサガホ(朝顔)」や「アリノヒフキ(蟻の火吹き)」「ヲカトトキ(岡止々岐)」があり、『万葉集』で秋の七草として歌われているアサガオは、キキョウのことです。
「桔梗」は秋の季語で、次のような俳句があります。
・桔梗の花 咲時ほんと 言ひさうな(加賀千代女)
・紫の ふつとふくらむ 桔梗かな(正岡子規)
・桔梗咲て 何れも花の いそぎ哉(久村暁台)
2.銀幕(ぎんまく)
「銀幕」とは、映写幕(スクリーン)、映画・映画界のことです。
ハリウッド女優のエリザベス・テイラーは、「銀幕の女王」と呼ばれました。
銀幕は、英語「silver screen」の訳語です。
昔の映写幕のうち、布にアルミの粉などを塗布したものを「silver screen」と言いましたが、それが「映写幕」を表す語となって「映画」の意味にも転じました。
日本で「銀幕」の語が使われ始めたのは昭和初期頃で、当初は「映写幕」の意味で使われていましたが、その少し後から「映画」や「映画界」を指す言葉としても用いられ、「銀幕のスター」や「銀幕のヒロイン」など言うようになりました。
3.行儀(ぎょうぎ)
「行儀」とは、礼儀・作法にかなった立ち居振る舞いのことです。
行儀の「行」は、サンスクリット語「gamana」の漢訳で、原義は歩み行くことで、「儀」は、規則や法則の意味です。
行儀は元仏教語で、修行や実践に関する規則、仏教儀式を意味します。
そこから、一般にも作法にかなった立ち居振る舞いをいうようになりました。
余談ですが、秋篠宮家は全員が行儀の悪い身勝手な立ち居振る舞いで、日本国内でも海外でも嫌われています。これについては「秋篠宮家が嫌われる理由。身勝手な立ち居振る舞いが多い!愛子天皇待望論も。」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。
4.切妻屋根(きりづまやね)
「切妻屋根」とは、大棟から両側に葺きおろし本を開いて伏せたような形式の屋根のことです。
切妻屋根の「切妻」は、この屋根の両端の山形部分のことです。
妻は着物の「褄(つま)」などと同源で「端(つま)」を意味し、切妻は屋根の妻(端)を切った形を表しています。
この屋根をもつ建築物の様式は「切妻造り」と呼ばれ、伊勢神宮や出雲大社など、古くから神社に用いられています。
5.九官鳥(きゅうかんちょう)
「九官鳥」とは、スズメ目ムクドリ科の鳥です。全長約30センチで、インドから東南アジア原産です。全身黒色で、翼に白斑があり、頬と足は黄色く、くちばしは橙色。人間の言葉や他の鳥の鳴き声を真似します。「秦吉了(シンキツリョウ)」「サルカ」とも呼ばれます。
九官鳥の「九官」は、日本にこの鳥を持ち込んだ中国人の名前といわれます。
九官が長崎にこの鳥を持ち込んだ際、人間の言葉を真似することを伝えるために「この鳥は吾の名前を言う」と言いました。
「吾の名前」を持ち込んだ人の名ではなく、鳥自身の名と間違って訳されたため、「九官鳥」の名がついたという説が、『本朝食鑑』や『飼籠鳥』に見られ通説となっています。
6.琴瑟相和す(きんしつあいわす)
「琴瑟相和す」とは、夫婦がきわめて仲睦まじいことのたとえです。
「瑟(しつ)」は、中国古代の弦楽器で大型の琴のことです。
琴と瑟を合奏すると音がよく合うところから、夫婦の仲睦まじしさを「琴瑟相和す」とたとえて言うようになりました。
ただし、出典の『詩経(小雅・常棣)』には、「妻子好合、如レ鼓二琴瑟一(妻子が仲睦まじいことは琴と瑟が相和するようである)」とあり、元々は夫婦のことを言ったものではありませんでした。