日本語の面白い語源・由来(こ-⑮)御馳走・御馳走様・破落戸・コロッケ・誤魔化す・ゴミ

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ご馳走

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.御馳走/ご馳走(ごちそう)

ご馳走

ごちそう」とは、贅沢な食事、食事をもてなすことです。

御馳走の「馳走」は、本来「走り回ること」「奔走すること」を意味します。

昔は、客の食事を用意するために馬を走らせ、食材を集めたことから「馳走」が用いられました。

走り回って用意するところから意味が転じ、もてなしの意味が含まれるようになりました。

さらに、走り回って集められた食材を使った料理や、もてなしに用意される食事から、ごちそうは贅沢な食事も意味するようになりました。

2.御馳走様/ご馳走様(ごちそうさま)

ご馳走様

ごちそうさま」とは、食後の挨拶、ご馳走になったことに対する感謝の言葉です。

ごちそうさまは、食事をもてなす意味の「馳走(ちそう)」に、感謝の意味で「御(ご)」と「様(さま)」が付いた語です。

食後の挨拶語として「ごちそうさま」が使われるようになったのは、江戸時代後半からです。

3.破落戸(ごろつき)

ごろつき破落戸

ごろつき」とは、住所不定無職で、弱い者をいじめたり、脅しやたかりをする者のことです。

ごろつきは、動詞「ごろつく」の連用形が名詞化されたものです。

「ごろつく」の「ごろ」は「ゴロゴロ転がる」の意味で、「つく」は「うろうろ」が「うろつく」など、擬音語や擬態語に付く接尾語です。

ごろつきは、江戸時代後期から使われ始め、当時は住所や仕事が定まらず、他人の家をまわる者のことを蔑む言葉として用いられていました。

そのような者は脅しやたかりをすることが多いことから、現在使われる意味に転じました。

ごろつきの漢字は、当て字で「破落戸」と書かれることもあります。
「破落戸」は中国で使われていた言葉で、これに当てられた読みが「ごろつき」や「ならずもの」でした。

4.コロッケ(ころっけ)

コロッケ

コロッケ」とは、挽き肉や魚、玉葱などをの細かく刻んだものを、マッシュポテトやホワイトソースに混ぜ、パン粉をまぶして油で揚げた料理です。

コロッケは、フランス料理「croquette(クロケット、クロケート)」が訛ったものです。
「croquette」の語源には、二つの説があります。

ひとつは、フランス語の「croquer(クロケー)」がバリバリ、カリカリ噛むを模した擬声語で、これに小さいものを示す語尾がついて「croquette」になったという説。
これには、油でカラッと揚げて、パリパリ音を立てて食べる小さい丸型、筒型のものという意味が含まれています。

もうひとつは、「croquet(クロッケー)」という名のスポーツで使われる用具に、形が似ていたことからとする説。
croquetは、13世紀に南フランスで生まれたゲートボールに似た球技で、木槌で木の球を打ち、弓形の小門をくぐらせるもので、その木槌の部分がコロッケの形に似ているというものです。

余談ですが、大正時代に「コロッケの唄」という流行歌がありました。これについては、「コミカルなコロッケの唄の元歌を作ったのは、益田太郎冠者という意外な人物」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。

5.誤魔化す(ごまかす)

ごまかす

ごまかす」とは、人目をあざむいて不正を働くこと、不利益にならないよう取り繕うことです。

ごまかすは、江戸時代から見られる語で、漢字で「誤魔化す」と書くのは当て字です。

ごまかすの語源には、二通りの説があります。

ひとつは、祈祷の際に焚く「護摩(ごま)」に、「紛らかす(まぎらかす)」などと同じ接尾語「かす」が付き、ごまかすになったとする説
この説は、弘法大師の護摩の灰と偽り、ただの灰を売る詐欺がいたため、その詐欺を「護摩の灰」、その行為を「ごまかす」と言ったことからとされます。

もうひとつは、「胡麻菓子(ごまかし)」を語源とする説
「胡麻菓子」とは、江戸時代の「胡麻胴乱(ごまどうらん)」という菓子のことで、中が空洞になっているため、見掛け倒しのたとえに用いられたことから、「ごまかす」と言いうようになったというものです。

胡麻菓子

6.ゴミ/塵/芥(ごみ)

ごみ

「ゴミ」とは、物のくず、不要になった廃棄物、汚い屑のことです。

ゴミは、主に農家で「木の葉」を表した言葉で、各地の方言にも「木の葉」を指す言葉として残っています。

長野県には、木の葉を「ゴミ」、落ち松葉を「マツゴミ」と呼ぶところがあります。
愛知方言では落ち松葉を「ゴ」と呼んだり、京都では「ゴを掻く」といった表現もあります。

ゴミが木の葉以外の意味にも使われ始めたため、「ゴ」と呼ばれるようになったのか、元々ゴミは「ゴ」と呼ばれており、「ゴ」の「実」という意味で「ゴミ」となったのか定かでありません。

鎌倉前期の『平家物語』には「水田のごみ深かりける畔(あぜ)の上に」とあり、ドブなどに溜まる泥を指す言葉として使われています。

そのため、はじめはドブに溜まるものとして、「木の葉」を意味していたのではないかと推測されます。

ゴミが「塵(ちり)」や「土ぼこり」の意味になったのは近世以降で、不要物であるため、その頃から「取るに足りないもの」「役に立たないもの」の意味でも「ゴミ」の語は使われはじめました。