日本語の面白い語源・由来(ち-③)縮緬雑魚・張本人・血祭りに上げる・ちゅうちゅうたこかいな・中盤・竹輪

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ちりめんじゃこ

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.縮緬雑魚/ちりめんじゃこ

ちりめんじゃこ

ちりめんじゃこ」とは、カタクチイワシなどの稚魚を煮干しにした食品のことです。ちりめんざこ。

「ちりめん」は、表面に細かなしわをつけた絹織物の「ちりめん(縮緬)」のことです。
じゃこは、いろいろな種類の小魚、また、小さいをいう「ざこ(雑魚)」の拗音化です。

小さな魚をたくさん煮て広げて干した姿が、縮緬を広げたように見えることから、「ちりめんじゃこ(ちりめんざこ)」と呼ぶようになりました。

ちりめんじゃこの代表格は、収穫量が多く、脂分の少ないカタクチイワシですが、マイワシ・ウルメイワシ・シロウオ、イカナゴなどの稚魚も、ちりめんじゃこにします。

「ちりめんじゃこ」「白子干し(しらすぼし)」は春の季語で、次のような俳句があります。

・春うらら ちりめんじゃこが 散り散りに(坪内稔典)

・磯長びと 声かけ通る 白子干(原裕)

・白子干すや 磯松の中 一桜(徳永山冬子)

・暮遅し 白子は白く 乾し上り(松本たかし)

2.張本人(ちょうほんにん)

張本人

張本人」とは、事件を起こす原因となった人、悪事などを企てた首謀者のことです。

張本人は、「張」と「本人」ではなく、「張本」と「人」からなる語です。
「張」は「弓に弦を張る」など緩みなく引き締める意味の語ですが、「物の表面を覆うように広がる」「張り巡らす」といった意味から、「催す」「設ける」の意味にもなりました。
「本」は「根本」の意味。

「張本」は根本を施す意味から、後に続く事柄の手はずを前もって準備しておくこと、物事の原因を表します。

そこから、「張本」は悪事を起こす原因を意味するようになり、その原因となった人の意味で「張本人」と言うようになりました。

「張本」のみでも、「張本人」と同様の意味で使われます。

3.血祭りに上げる(ちまつりにあげる)

血祭りに上げる

血祭りに上げる」とは、戦いの手始めに敵を殺して気勢をあげること、相手を酷い目にあわせることです。「血祭りにする」とも言います。

血祭りに上げるの「血祭り」は、生贄の血を神に供えて祭る古代中国の「血祭(けっさい)」に由来し、日本では中世頃から見られます。

『日葡辞書』では生贄の血を祭る意味も見られますが、主に戦いのはじめに敵の一人を殺して士気を高める意味で使われました。

「血祭りに上げる」の形での使用は昭和になってからで、相手を酷い目にあわせるたとえとして使われるようになったのは近年のことです。

4.ちゅうちゅうたこかいな

ちゅうちゅうたこかいな

ちゅうちゅうたこかいな」とは、おはじき遊びなどで「2、4、6、8、10」と2つずつ数を数える代わりに唱える言葉です。

ちゅうちゅうたこかいなの「ちゅう」は、すごろく用語の「重二(ぢゅうに)」が変化した語といわれます。
「重二」は、2のゾロ目(サイコロの目が両方とも2の目)になることをいい、「4」を意味する。
その「ちゅう」を二度繰り返した「ちゅうちゅう」は「8」を表し、「8」から8本足のタコを連想し、「たこかいな(たこですか)」となったものです。

このことに加え、タコが吸いつく音を表した「ちゅう」や、「腕」の古語「かいな」が掛けられているという説もあります。

また、「ちゅうじ(重二)ちゅうじ(重二)たこ(蛸)の加え」と言っていたものが訛り、「ちゅうちゅうたこかいな」になったとする説もあります。

5.中盤(ちゅうばん)

中盤・囲碁

中盤」とは、勝負事などの中ほどまで進んだ時期、中途の段階のことです。

「序盤」「終盤」と同じく、元々は囲碁や将棋の用語で、「盤」は碁盤や将棋盤のことです。
中盤は、序盤の布石や駒組みが終わって、本格的な戦いが始まる局面を指し、中ほどの時期にあたります。

中盤・将棋

転じて、「試合が中盤を迎える」「選挙も中盤に入った」など、特に、勝負事で戦いが中ほどまで進んだ時期を表すようになりました。

6.竹輪(ちくわ)

竹輪

ちくわ」とは、魚肉のすり身にデンプンなどを加えて練り、細竹や金属製の棒に巻きつけて焼いたり蒸したりした食品です。

ちくわが作られ始めた頃は、この食品が「かまぼこ」と呼ばれていました。

桃山時代になると、現在「かまぼこ」と呼ばれている板付きのものが作られるようになり、そちらが「かまぼこ」と呼ばれるようになりました。

そのため、それまで「かまぼこ」と呼ばれていたものは、切り口が竹の輪に似ていることから「竹輪かまぼこ」と呼ばれるようになり、略して「竹輪」と呼ばれるようになりました。