日本語の面白い語源・由来(ま-⑨)漫才・摩訶不思議・枕・マシュマロ・マグニチュード・マヨネーズ・マカロン

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漫才

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.漫才(まんざい)

漫才

漫才」とは、「テレビなどでも演じられる二人の滑稽な掛け合いで笑わせる寄席演芸」です。三人組の場合は、トリオ漫才とも呼ばれます。

漫才は、本来は「万歳(萬歳)」と書き、「万年」や「いつまでも栄えるように祝う」ことを意味しました。

中世以降、新年に宮中や寺社などで祝い言を述べ、舞を舞う「千秋万歳(せんずまんざい)」が、漫才の原型となります。

近世に、「太夫(たゆう)」と「才蔵(さいぞう)」が二人一組で家々を回り、祝い言を述べ、滑稽な踊りや掛け合いをする形になりました。

この形の万歳には、「三河万歳」「大和万歳」「尾張万歳」「秋田万歳」などがあります。
漫才は万歳が発展したもので、1930年代中頃より「漫才」の表記となりました。

大阪では昭和8年正月から「万才」に替え、東京でも昭和9年4月から使用されていました。

本来の意味の「万歳」は新年の季語で、次のような俳句があります。

・やまざとは まんざい遅し 梅の花(松尾芭蕉

・万歳や 左右にひらいて 松の陰(向井去来)

・万歳の 踏みかためてや 京の土(与謝蕪村

・万歳や 門に居ならぶ 鳩雀(小林一茶

2.摩訶不思議(まかふしぎ)

摩訶不思議

摩訶不思議」とは、「非常に不思議なこと」です。

摩訶不思議の「摩訶」は、「摩訶般若波羅蜜多心経」や「摩訶曼陀羅華」「摩訶曼珠沙華」など、仏教用語に多く用いられている「摩訶」です。

「摩訶」は、「偉大な」を意味するサンスクリット語「maha」の音写で、「大」「多」「勝」とも漢訳され、「大いなる」「非常の」「優れている」といった意味にも用いられます。

摩訶不思議は、「非常に不思議」という意味よりも、本来は「人知を超えた素晴らしさ」を意味する言葉でした。

3.枕(まくら)

枕

」とは、「寝る時に頭を乗せて支える寝具」です。

枕の語源には、「ま+くら」「まく+ら」「まく+くら」の三説あります。

「ま+くら」の説には、頭の隙間を支える意味で「間座(まくら)」、神や霊を召喚するために頭を乗せる意味で「真座(まくら)」などがあります。
また、「ま」を「あたま」の「ま」とする説など数多くありますが、それぞれの言葉が使われていた時代が前後するため、有力な説とはされていません。

「まく+ら」説は、「枕にして寝る」意味の動詞「まく」に接尾語の「ら」が付き、名詞化された語というものです。
『万葉集』に「大和女(やまとめ)の 膝麻久(ひざまく)ごとに 吾を忘らすな」と、「まく」の例がみられます。

「まく+くら」の説は、「纏く(まく)+座(くら)」や「巻く(まく)+座(くら)」とするものです。

4.マシュマロ/marshmallow

マシュマロ

マシュマロ」とは、「ゼラチン・卵白・砂糖などを混ぜて作られた弾力のある洋菓子」です。

マシュマロは、アオイ科の多年草「ウスベニタチアオイ」の英語名「marsh mallow(マーシュマロウ)」に由来します。この英語名の語源は、「沼地の葵」という意味からです。

お菓子のマシュマロは、マーシュマロウ(ウスベニタチアオイ)のデンプンに、卵白や砂糖を混ぜて作られていたことに由来します。

19世紀頃、現在のゼラチンを使う作り方に改良され、「マシュマロ」という名前だけが残りました。
マーシュマロウの成分には、喉や胃腸の炎症をを抑える効果があるため、お菓子のマシュマロが作られる以前から、咳止め用トローチの原料などにも使われており、薬用植物としては古代から用いられていました。

5.マグニチュード/magnitude

マグニチュード」とは、「地震の規模を示す尺度。また、その数値」です。震源のエネルギーが大きいほど大で、震度とは異なります。記号M。

マグニチュードは、1935年にアメリカの地震学者チャールズ・リヒター(リクターとも呼ぶ)が定義したもので、「リヒター・スケール」ともいいます。

英語の「magnitude」は、「大きさ」を意味するラテン語「magnus」に、性質・状態の抽象名詞をつくる「tude」がついた語です。

マグニチュードには「恒星の光度」「光度による等級」の意味があり、幼少期のリヒターは天文学に関心があったことから、地震の規模に「magnitude(マグニチュード)」を採用したといわれます。

6.マヨネーズ/mayonnaise

マヨネーズ

マヨネーズ」とは、「卵・サラダ油・酢などを混ぜ合わせた半固体状のソース」です。サラダや揚げ物に用います。

マヨネーズは、フランス語の「mayonnaise」に基づく語で、語源については諸説ありますが、スペインのメノルカ島の港町「マオン(Mahón)」に由来する説が有力とされています。

ルイ13世の宰相であったリシュリュー公爵の率いるフランス軍が、1756年にマオン港を占領した際に食事を求めましたが、用意がなかったため、料理人がありあわせのものを混ぜて作ったソースが、マヨネーズの起源といわれます。

このソースを公爵は気に入り、レシピをフランスに持ち帰って、「salsa de Mahón(マオンのソース)」と名付けられました。

その後、料理人たちがこぞってこのソースを作るようになり、広まるにつれ「souce Mahonnaise」「maganonaise」「mayonnaise」と呼ばれるようになっていきました。

英語の文献に「mayonnaise(マヨネーズ)」の名が登場するのは、1841年からです。
ちなみに、マヨネーズの英語発音は「メイヨネーズ」に近いものです。

7.マカロン/macaron

マカロン

マカロン」とは、「卵白・砂糖・アーモンド粉を混ぜ合わせたものを絞り袋に入れ、半球状に絞り出して焼き、クリームを挟んだ菓子」です。

マカロンはフランスを代表する洋菓子ですが、名前はイタリア語で「練った生地を切った」を意味する「maccherone(マッケローネ)」に由来し、パスタの「マカロニ」と同じ語源です。

マカロンの原型となった菓子は、8世紀にイタリアのベネチアで、修道僧のへそを模して作られた「マッケローネ」だったといわれます。

16世紀、フィレンツェの富豪の娘であるカトリーヌ・ド・メディシスが、フランス王アンリ2世に嫁いだことで、フランスに伝わりました。

フランスに伝わった当時は、パスタとお菓子の区別なく「マッケローネ」と呼ばれていましたが、17世紀に入って、パスタは「マカロニ」、お菓子は「マカロン」と区別して呼ばれるようになりました。