日本語の面白い語源・由来(め-③)目鼻がつく・目白・目撥・めでたい・恵み・目張・目

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目鼻が付く

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.目鼻がつく/目鼻が付く(めはながつく)

目鼻が付く

目鼻がつく」とは、「物事のおおよその見通しが立つこと」です。

肖像画を描いたり、人形を作ったりする際、顔の中心にある目や鼻をつけると全体が整い、完成後のイメージがわかるようになります。

そこから、大体の見通しがつくことを「目鼻がつく」と言うようになりました。
「明らかになる」の意味から、古くは「目鼻が明く(あく)」とも言いました。

2.目白(めじろ)

メジロ

「メジロ」とは、「スズメ目メジロ科の小鳥」です。雑食で果実や昆虫を食べ、花蜜も吸います。

メジロは、目の周りが白いところからの命名です。
メジロ科の鳥は英名でも「White eye」といい、中国では目のふちが白いことから「繡眼鳥」と名付けています。

梅の木によく来る鶯色の小鳥なので、「ウグイス」(下の画像)と勘違いしている方もおられるかもしれません。

梅にウグイス

「目白」は夏の季語で、次のような俳句があります。

・一色に 目白囀(さえず)る 木の芽かな(浪化)

・陶工の 往き来の径や 眼白籠(高木良多)

・眼白飼ふや 父が集めし 棚人形(原月舟)

・凜として 雲の中から 目白かな(井上秋)

3.目撥/眼撥(めばち)

メバチ

メバチ」とは、「刺身や寿司だねにするスズキ目サバ科マグロ族の魚」です。メバチマグロ。バチ。メブト。ダルマ。

メバチは、目がパッチリと大きいことからの名です。
メバチの漢字「目撥(眼撥)」の「撥」には、「ひらく」の意味があります。

また、方言でまばたきすることを「めばち」と言う地方もあり、これを大きな目の魚に当てたという見方もあります。

「バチ」や「メブト」の異名は、メバチの語源と同じく目の大きさに由来し、「ダルマ」はずんぐりとした丸い体形からです。

4.めでたい

めでたい

めでたい」とは、「喜び祝うに値するさま。喜ばしいさま」です。

めでたいは、漢字で「目出度い」「芽出度い」と表記されますが、いずれも当て字で語源とは関係ありません。

めでたいの「めで」は、「賞賛する」といった意味の「めづ(愛づ)」の連用形です。
その「めで」に、程度の甚だしいさまを示す形容詞「いたし(甚し)」が付いた「めでいたし」の縮約形が「めでたい」です。

現代では「祝うに値するさま」「慶賀」の意味で用いますが、めでたいは「賞賛する以外にないほど素晴らしい」が原義で、元々は「素晴らしい」「立派だ」「見事だ」といった賞賛に値する状態を表す言葉として広く用いられました。

5.恵み(めぐみ)

恵み

恵み」とは、「めぐむこと。恩恵。情けをかけること」です。いつくしみ。

恵みは、「いとおしい」「かわいい」を意味する形容詞「めぐし(愛し)」が動詞化した「めぐむ(恵む)」の名詞形です。

「めぐし」の「め」は「目」、「ぐし」は「心ぐし(心苦しい)」と同じく、「痛々しい」「切ない」の意味です。

「目に見て痛々しい」「気がかりである」というのが「めぐし」の本来の意味で、そこから「切ないほどかわいい」「いとおしい」の意味が派生しました。

恵み(恵む)は、「めぐし」の原義を含んだ言葉で、困っている人を哀れんで金品を与えることや、情けをかけることをいいます。

めぐみの漢字「恵」の上の部分は、糸巻きの輪をぶら下げたさまを表します。
それに「心」が付いた「恵」は、まるく相手を抱きこむ心を表しています。

6.目張/眼張(めばる)

メバル

メバル」とは、「全長約30センチのカサゴ目フサカサゴ科の魚」です。海釣りの対象魚で美味。

メバルの特徴は、目と口が大きいことですが、名前は張り出した目に由来します。
メバルは棲む場所によって体色が異なり、浅海のものほどっぽく、深くなるにつれ赤くなります。

この体色によって、「赤メバル(ウスメバル)」「黒メバル」「金メバル」「白メバル」などと呼び分けられ、最も美味しいのは金メバル、次いで黒メバルが美味といわれます。

「メバル」は春の季語です。

7.目(め)

目

」とは、「物を見る働きをする器官。まなざし。目つき。視力」です。

目の語源は、「ミエ(見え)」の変化や「ミ(見)」に通じる語など、「見」の意味とする説が多く、妥当と思われます。

ただし、「め」よりも古く「まなこ」が使われていた可能性も高いため、「目」の意味で「ま」が使われ、変化して「め」になり、「ま」は複合語の中でのみ用いられるようになったとも考えられます。