日本語の面白い語源・由来(め-④)目張り寿司・目弾・滅法・珍しい・メンター・妾・飯

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目張り寿司

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.目張り寿司/めはり寿司(めはりずし)

目張り寿司

めはり寿司」とは、「高菜の漬物で包んだ握り飯。熊野地方の郷土料理」です。特に、新宮市のものが有名。高菜寿司。

めはり寿司は、元は非常に大きな握り飯でした。
そのため、口を大きく開けてかぶりつくと目を見張ったような顔つきになるところからか、目を見張るような大きさの意味で、「目張り寿司」と呼ばれるようになったと考えられています。

めはり寿司が大きかった理由は、元々、農作業などの合間に食べる弁当で、食事を簡便化させるための工夫といわれます。

その他、めはり寿司の語源には、目を見張る美味しさからや、飯を高菜で密閉するように包み込むので「目張り(めばり)」の意味からといった説もあります。

2.目弾(めはじき)

目弾

メハジキ」とは、「草地に生えるシソ科の一年草 または越年草」です。益母草。

メハジキは、「目弾き」という子供の遊びに由来する名といわれます。
目弾きは、この草の茎を短く切り、まぶたの上下につっかえ棒のようにして挟み、目を閉じる勢いで遠くに弾き飛ばす遊びです。

その他、目を明らかにすることから、「メハジキ」の名がついたという説もあります。
これは、メハジキが古くから婦人病の薬や利尿薬として用いられたほか、めまいなどの眼病に効くともいわれたことに由来します。

「目弾」は秋の季語です。

3.滅法(めっぽう)

滅法

滅法」とは、「程度が甚だしいさま」です。

滅法は仏教用語で、因縁に支配される世界を超え、絶対に生滅変化しない真如や涅槃といった絶対的真理のことで、「無為法(むいほう)」の別名です。
滅法に「因縁を超越した絶対的なもの」といった意味が含まれていることから、近世以降、「桁外れに」「甚だしく」といった意味が派生し、「喧嘩が滅法強い」や「今日は滅法暑い」などと用いられるようになりました。

4.珍しい(めずらしい)

珍しい

珍しい」とは、「めったにないこと。稀なこと。目新しいこと」です。

珍しいの本来の語形は「めづらし」で、賞賛することを表す動詞「めづ(愛づ)」の形容詞形です。

「めづ」に賞賛の意味があるように、「めづらし」は「もっと見ていたい」「素晴らしい」といった感情を表す語でした。

めったにないことを示す場合も、「めったになく貴重である」「稀なものを見て心惹かれる」というように、好感を示すことに重点が置かれた用法でした。

そこから、「あまり例がない」など単に稀であることを意味するようになり、良い意味でも悪い意味でも用いられるようになりました。

「めずらしい」に当てられた漢字「珍」は、めったにないご馳走を意味する「珍肴(ちんこう)」や、珍しい宝物の意味の「珍宝(ちんぽう・ちんぼう)」など、貴重なことを表す言葉に多く使われ、「めずらしい」の原義と非常に近い文字です。

この「珍」の漢字は、右側が「人+彡(たくさん)」の会意文字で、それに「玉」を加え、きめ細かくつまった上質の玉の意味です。そこから、めったにない貴重な物の意味となりました。

5.メンター/mentor

メンター

メンター」とは、「優れた指導者・助言者。恩師。顧問。師匠」です。

メンターは、ギリシャの詩人 ホメロスが書いたといわれる叙事詩『オデュッセイア』に登場する老賢人の名「メントール(Mentor)」に由来します。

メントールは、オデッセウスがトロイに遠征の際は王子テレコマスの養育を任され、オデュッセウスがトロイで危機に陥った際には勝利を導く助言をする存在で、オデュッセウスにとって信頼できる良き支援者でした。

そこから、メンターは「助言者」「教育者」「恩師」などの意味で使われるようになりました。

6.妾(めかけ)

妾

」とは、「正妻のほかに、扶養する女性。二号。側室」のことです。

妾は目を掛けて世話をすることに由来する語で、本来は「目掛け」と書くきます。
「めかけ」は中世末期から見られる語で、同じ時代には、手を掛けて愛することから「てかけ」という言葉もありました。

『日葡辞書』には「めかけ」や「てかけ」の他に、「目見せ(めみせ)」の語も見られます。

漢字の「妾」は、「立」と「女」ではなく、「辛」と「女」が合わさった字です。
「辛」は捕虜や罪人に入れ墨のしるしをつけることを示し、「妾」は入れ墨をした女奴隷の意味する漢字です。

そこから、女性を卑しめていう言葉。また、身近に接して世話をする女性をさす言葉となり、「めかけ」の当て字として「妾」が用いられるようになりました。

また、「妾」は「わらわ(「童」と同源)」とも読み、女性が自らを謙遜していう語として、近世の武家の女性が用いました。

7.飯(めし)

飯

」とは、「米・麦などを炊いた食べ物。ごはん。食事」のことです。

飯は「召す(めす)」の連用形「召し(めし)」が名詞になった語で、召し上がる物の意味です。

当初は「召しもの」といった表現がされ、「めし」は食物一般を指していました。
しかし、室町時代には「飯(古くは「いひ」)」を「めし」と読んでおり、この頃から現在と同じような意味を持つようになっていました。

ただし、日常語として用いられるのは江戸時代以後で、「食事一般」の意味で用いられるようになるのも江戸時代以後のことです。

「召す」は尊敬の動詞であることから、それまでは「めし」にも敬語意識が伴なっていたと考えられます。

8.召す(めす)

召す」は「見 (め) す」(*)と同語源です。「ごらんになるためにお呼び出しになる」ところから来ています。

(*)「見 (め) す」(「見る」「統治する」の尊敬語)は、動詞「み(見)る」に上代の尊敬の助動詞「す」が付いて音変化したもの。

終戦直後に流行したに流行した「東京の花売り娘」という歌謡曲がありますが、その中に「花を召しませ 召しませ花を」という歌詞があります。ここでは「花を買ってください」という意味ですが、「召す」には次の通りさまざまな意味があります。

(1) 「人を呼び寄せる」「招く」「取り寄せる」「呼び出して任ずる」などの尊敬語。「神に―・される」

(2) 「お取り寄せになる」の意から、身にとり込む、身につける、また身体に関連する動作をいう。

①「食う」「飲む」「着る」「履く」「買う」また、「乗る」などの尊敬語。「お酒をたくさん―・しておられる」「和服を―・していらっしゃる」「花を―・しませ」「車にお―・しになる」

②「(風邪を)ひく」「(風呂に)はいる」「(気に)いる」「(年を)とる」などの意の尊敬語。「お風邪を―・す」「お年を―・した方」「お気に―・しましたか」

③「切腹する」の尊敬語。「お腹を―・す」

(3) 広く、「する」の尊敬語。なさる。

(4) 命令して、無理に呼び寄せる、取り寄せるところから、命によって捕らえる。また、お取り上げになる。現在、複合語に用いる。「―・し取る」「―・し上げる」

(5) (補助動詞)尊敬語動詞の連用形に付いて尊敬の意を強める。通常、一語化したものとなる。「しらしめす」「きこしめす」「おもほし(おぼし)めす」など。