日本語の面白い語源・由来(ら-①)ラッキーセブン・落第・雷鳥・騾馬・ライラック・ラベンダー・喇叭

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ラッキーセブン

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.ラッキーセブン/lucky seventh

ラッキーセブン

ラッキーセブン」とは、「7を幸運の数字とすること」です。

ラッキーセブンは、英語「lucky seventh」からの外来語で、野球で7回の攻撃を意味します。
7回になると投手は疲れが出始め、逆に打者は投球に慣れてきて、得点のチャンスに恵まれやすいことから、7回の攻撃を「ラッキーセブン」と呼ぶようになりました。

1885年9月30日、シカゴ・ホワイトストッキングスの7回の攻撃の時、打ち上げたフライが風に運ばれてホームランとなり、それが決め手となってホワイトストッキングスは優勝し、勝利投手のジョン・クラーソンがこれを「lucky seventh」と語ったことが「ラッキーセブン」の起源といわれます。

ただし、西洋の思想では古くから「7」を幸運の数字としており、野球で7回の攻撃を意味するようになったのも、この思想があった上で成立したもので、「7」を幸運の数とすることを「ラッキーセブン」という言葉で表現するようになったのが、野球にあるということです。

2.落第(らくだい)

落第

落第」とは、「試験や審査に合格しないこと。不合格。進級や卒業ができないこと。一定の水準に達していないため、認められないこと」です。

「第」は「第何位」などと用いられるように、一段一段の段階や物事の順序を意味し、転じて、段階ごとの試験も意味するようになりました。

そこから、落第は段階ごとの試験に落ちる意味で、「不合格」を表すようになりました。
中国では「不合格」の意味で用いられますが、日本では「落第生」と言うように、不合格になることで進級や卒業ができないことも意味します。

「落第」は春の季語です。

3.雷鳥(らいちょう)

雷鳥

ライチョウ」とは、「キジ目キジ科ライチョウ属の鳥」です。夏の羽色は褐色、冬は色になります。日本では中部地方の高山に生息。特別天然記念物。

平安時代末から「ライノトリ」、江戸時代から「ライチョウ」と呼ばれるようになりました。
ライチョウの語源には、天敵を避けるためカミナリが鳴るような時に活発に活動することから、「雷の鳥」になったとする説。
火難、雷難除けの信仰と結び付けられ、「雷の鳥」と呼ばれるようになったとする説。
山中でカミナリが鳴ると、雷獣を捕らえて食べるという言い伝えからなどがあります。

しかし、ライチョウがカミナリと結び付けて考えられるようになったのは江戸時代以降のことなので、「ライノトリ」を「雷の鳥」とするのは不自然です。

ライチョウは「レイチョウ(霊鳥)」とも呼ばれていたことから、本来は「霊の鳥(らいの鳥)」で、のちにカミナリと結び付けられ「雷鳥」になったと考えられます。

「雷鳥」は夏の季語で、次のような俳句があります。

・雲垣や 雷鳥鳴ける お花畑 (石橋辰之助)

・雷鳥鳴く 雷鳥沢の 霧底に(高山麦)

・雷鳥の 腹雪渓の いろ残る(棚山波朗)

・雷鳥の 声雪渓の 風にのり(小原菁々子)

4.騾馬(らば)

騾馬

ラバ」とは、「雄のロバと雌の馬との交配一代雑種」です。繁殖力はありませんが、ロバのように丈夫です。

ラバは、漢語「騾馬」の字音に由来し、本来は「騾」の一字で「ラバ」を表します。
「馬」が加えられて「騾馬」になった理由は、「驢馬(ロバ)」と同様に、馬の一種であることを明確にするためか、文字を安定させるため二文字にしたものと思われます。

ラバの漢字「騾」は、「馬」に音符の「累(ルイ)」からなる形声文字です。
「累」の字には「重ねる」などの意味がありますが、音から当てているだけなので、「騾」の漢字の意味には一切関係なく、「ロバ」の音に関係するものと考えられます。

5.ライラック/lilac

ライラック

ライラック」とは、「ヨーロッパ原産のモクセイ科の落葉低木または小高木」です。春、枝先に芳香を放つ花を咲かせます。ムラサキハシドイ。

ライラックは、英語「lilac」からの外来語です。
「lilac」は、フランス語名の「lilas(リラ)」が変化した語です。
「lilac」「lilas」を遡ると、スペイン語「lilac」、アラビア語「lilak」になり、「青色」を意味するペルシャ語「lilak」に辿り着き、薄紫の花の色が語源と考えられます。

ライラックの花色は、白・赤・青色などもありますが、和名を「ムラサキハシドイ」というように、薄紫色が代表種です。

「ライラック」は春の季語です。

6.ラベンダー/lavender

ラベンダー

ラベンダー」とは、「地中海沿岸原産のシソ科の常緑小低木」です。初夏、薄紫色の花穂をつけ、全草に芳香があります。花からラベンダー油をとり、香料とします。

ラベンダーは、英語「lavender」からの外来語で、「洗う」を意味するラテン語「lavare」に由来します。

ラベンダーにはリラックス効果があるといわれ、既にローマ時代には、沐浴や水浴の際にラベンダーが使われていました。

また、殺菌・消毒の効果もあるといわれ、傷口を洗う際にもラベンダーが用いられたことから、「洗う」を意味する語が語源となっています。

日本にラベンダーが渡来したのは、江戸末期です。

「ラベンダー」は夏の季語です。

7.喇叭(らっぱ)

喇叭

ラッパ」とは、「金管楽器の総称。特に、弁の無い単純な構造のトランペットのこと」です。

ラッパの語源には、オランダ語の「roeper」。中国語の「喇叭」。サンスクリット語で「叫ぶ」を意味する「rava」など諸説あります。

中国語の「喇叭」は、サンスクリット語「rava」に由来するともいわれることから、サンスクリット語の「rava」が中国語で「喇叭」となり、日本に入ったと考えられます。

慶応2年(1866年)に幕府軍の歩兵が、フランス人教官から信号ラッパの教習を受けています。

そのため、フランス語で「記憶力」のほか「呼び戻す」という意味もある「rappelle」を語源とする説もあります。
しかし、「ラッパ」はそれ以前から見られる語なので、フランス語説は考え難いものです。