日本語の面白い語源・由来(ら-②)ラナンキュラス・猟虎・ライバル・ラグビー・ライ麦・落花生・落書き

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ラナンキュラス

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.ラナンキュラス/Ranunculus

ラナンキュラス

ラナンキュラス」とは、「中近東、東地中海沿岸原産のキンポウゲ科の多年草」です。春、五弁から数十弁の花を開く観賞用の花です。ハナキンポウゲ。

ラナンキュラスは、ラテン語「Ranunculus」からの外来語です。
「Ranunculus」は、「カエル(蛙)」を意味するラテン語「rana」に由来します。
ラナンキュラスがカエルに由来するのは、カエルが多くいるような湿地に自生することと、葉の形がカエルの足に似ているところからです。

2.猟虎/海獺/獺虎(らっこ)

ラッコ

ラッコ」とは、「食肉目イタチ科ラッコ属の哺乳類」です。海面にあお向けに浮かび、腹の上に石を乗せてアワビやウニ、カニなどに打ちつけ、殻を割って食べます。

アイヌ語で「ラッコ」を意味する「rakko」に由来します。
中国語名のひとつに「臘虎」があり、これを語源とする説もありますが、「臘虎」はアイヌ語の「rakko」、もしくは和名となった「ラッコ」の音訳と思われます。

ラッコの漢字は、「猟虎」のほかに「海獺」「獺虎」があります。
「海獺」や「獺虎」の「獺」は「カワウソ」のことで、ラッコの英語名「Sea otter」も「海のカワウソ」という意味です。

3.ライバル/rival

ライバル

ライバル」とは、「競争相手。好敵手。肩を並べる人。匹敵する人」のことです。

ライバルは、英語「rival」からの外来語です。
「rival(ライバル)」の語源は、「小川」を意味するラテン語「rivus」から派生した「rivalis」。
「rivalis」は「川を競い争っている者」「川を共同で使う者」という意味で、水源の確保から生まれた言葉です。

上記のように「rivalis」は「争う」「競う」という意味に限った用法はされておらず、英語に入り「rival(ライバル)」となってからも「同僚」「仲間」という意味で用いられていました。

やがて「肩を並べる者」「対抗馬」といった意味に限定されるようになり、「競争相手」の意味が強くなっていきました。

日本では「ライバル」が「好敵手」と訳されるように好意的なニュアンスが強く、現代英語よりもラテン語の「rivalis」に近い意味での使用が多くなりました。

4.ラグビー/rugby

ラグビー

ラグビー」とは、「フットボールの一種」です。15人ずつの2チームが、楕円形のボールを手で運んだり足で蹴ったりして奪い合い、相手陣のゴールライン(エンド)に運ぶか、H型のゴール上に蹴り入れ、得点を競うスポーツです。ラ式蹴球。

ラグビーの正式名称は、「ラグビーフットボール (Rugby football) 」。
「ラグビー」の名は、イギリス・イングランド中部の都市ラグビーにあるパブリックスクール「ラグビー校(Rugby School)」に由来します。

1823年、ラグビー校で行われたフットボールの試合中、ラグビー校の生徒William Webb Ellis(ウィリアム・ウェッブ・エリス)が、夢中のあまりルールを無視してボールを抱え走ってしまったのが起源で、この学校名に因んだ名というのが定説となっています。

ただし、この少年が初めて行ったという点は不明で、1823年以前からボールを手に持って走ることが許された例もあるため、「ラグビー」の呼称が学校名に由来することは確かですが、起源については後世に作られた俗説との見方もあります。

5.ライ麦(らいむぎ)

ライ麦

ライ麦」とは、「カフカス・小アジア原産のイネ科の一年草、または越年草」です。実は製粉してパンの材料とされ、麦芽はウォッカやウイスキー、ビールなどの原料となります。

ライ麦の「ライ」は、英語「rye」に由来します。
英語の「rye」は単独で「ライ麦」を意味しますが、日本語に翻訳する際、麦の一種とわかるように「麦」が付加され「ライ麦」となりました。ライ麦が日本に導入されたのは、明治初期のことです。

「rye」の語源は、古英語「ryge」に由来します。
そこから、印欧基語の「wrughyo」までさかのぼることは出来ますが、「wrughyo」も「ライ麦」を意味し、それ以前のことは不明です。

6.落花生(らっかせい)

落花生

落花生」とは、「南アメリカ原産のマメ科ラッカセイ属の一年草」です。

落花生は、江戸時代初期に中国を経て伝来しました。
「落花生」は漢名で、花が落ちた後、子房の下の部分が伸びて地中に潜り、実が生ることに由来します。

日本では「落花生」が音読みされて、「ラッカセイ」と言うようになりました。
古くは、音読みの違いで「ラッカショウ」とも言われていました。

落花生とピーナッツは同じものですが、日本では主に皮のついたものを「落花生」と呼び、皮を剥いて味付けしたものを「ピーナッツ」と呼ぶことが多いようです。

「落花生」は秋の季語です。

7.落書き(らくがき)

落書き

落書き」とは、「本来書くべきでない所に、絵や文字などをいたずら書きすること。また、その書いたもの」です。

落書きは、和製漢語「落書(らくしょ)」を重箱読み(上の字を音で読み、下の字を訓で読むこと)したものです。

「落書(らくしょ)」は中世から近世にかけて、政治・社会や人物(権力者)などに対し、批判や社会風刺を述べた匿名の文書のことで、人目につきやすい場所に落として人に拾わせたため、この名がつきました。

このような文書は「落とし文(おとしぶみ)」とも言われましたが、漢語形「落書」の方が古くから見られます。

これを相手の家の壁や塀にも貼り付けられたことから、現在の「落書き」の意味に転じました。