日本語の面白い語源・由来(り-①)竜舌蘭・梁山泊・リウマチ・李下に冠を正さず・凛々しい・竜・溜飲が下がる

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リュウゼツラン

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.竜舌蘭(りゅうぜつらん)

リュウゼツラン

リュウゼツラン」とは、「メキシコ原産のリュウゼツラン科の常緑多年草の総称」です。狭義にはアオノリュウゼツランの覆輪変種です。

リュウゼツランは、漢名「龍舌蘭」の借用で、葉の形を竜の舌に見立てた名です。
リュウゼツランの花は、咲くまでに長い年月を要することから、「万年蘭(マンネンラン)」や「百年草(ヒャクネンソウ)」の異名もあります。

百年目に開花するという意味から、英名では「Century plant(百年植物)」と言います。

「竜舌蘭」は夏の季語です。

2.梁山泊(りょうざんぱく)

梁山泊・水滸伝

梁山泊」とは、「豪傑や豪傑気取りの野心家の集まる場所」のことです。

梁山泊は、中国山東省梁山県の南東、梁山の麓にあった沼沢の名前でした。
古来、梁山泊は盗賊や謀反軍の根拠地となっており、宋江の一味がここを拠点に反乱を繰り返した故事が『水滸伝』に記されてから、豪傑や豪傑気取りの野心家の集まる場所を「梁山泊」と言うようになりました。

3.リウマチ

リウマチ

リウマチ」とは、「関節・骨・筋肉のこわばりや腫れ、痛みなどの症状を呈する疾病の総称」です。現在は主に慢性関節リウマチをいいます。

リウマチは、オランダ語「reumatisch」、英語「rheumatism」からの外来語です。
ギリシャ語で「流れる」を意味する「rheuma」に由来し、古くは悪い液が脳から体の各部に流れていき、痛みを起こすと考えられていたことからの名です。

医学用語として初めて「リウマチ」を使ったのは、ギリシャの医学者ガレノスで、この中には筋肉痛や神経痛も含まれていました。

リウマチは「リューマチ」のほか、リウマチス・リューマチス・リョーマチ・リョーマチス・レウマチ・レウマチス・ロイマチスなど多くの呼び方がされていました。このうちの「ロイマチス」は、ドイツ語の「Rheumatismus」に由来します。

幕末から明治にかけては、「僂麻質(レウマチ)」「僂麻質斯(リウマチ)」と漢字表記された例も見られます。

4.李下に冠を正さず(りかにかんむりをたださず)

李下に冠を正さず

李下に冠を正さず」とは、「人から疑いをかけられるような行動は避けるべきであるという戒め」です。

李下に冠を正さずは、古楽府「君子行」の「瓜田不納履、李下不正冠」に由来することわざです。「李下」は、スモモの木の下の意味です。

スモモの木の下で、曲がった冠を被り直そうとして手を上げると、スモモの実を盗むのではないかと誤解を招く恐れがあります。

そこから、間違ったことでなくても、人から疑いをかけられるような行いは避けるべきであるというたとえで、「李下に冠を正さず」と言うようになりました。

「瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず」と続けても言います。

5.凛々しい(りりしい)

凛々しい

凛々しい」とは、「きりりとひきしまっている。勇ましい。雄々しい。律々しい」ことです。

凛々しいの語源には、「力々し(りきりきし)」の意味とする説もありますが、漢字のまま「凛々(りんりん)」の字音に由来する語です。

「凛」の字は、冷たい氷に触れて心身の引き締まる感じをいい、きっぱりとしたさまを表します。

古く、凛々しいは「非常に賢い」「賢々し(さかさかし)」の意味でも用いられました。

6.竜(りゅう)

昇龍

」とは、「想像上の動物。体は大きなヘビに似て、全身鱗で覆われ、四本の足、二本の角と耳があり、長い口ひげをもつ動物」です。たつ。

漢字の「竜」「龍」はともに、頭に冠をかぶり胴をくねらせた大蛇の形を描いたものです。
旧字体は「龍」ですが、使用は「竜」の方が古く、「竜」にいろいろな模様を添えた字が「龍」です。
「りゅう」と読むのは呉音・慣用音で、漢音では「りょう」といいます。

中国で竜は鳳(ほう)・亀(き)・麟(りん)とともに、四霊として尊ばれました。
平常は海や湖・沼や池などの水中にすみ、時に空に昇って雲を起こし、雷雨をもたらすとされました。

日本でも、深海にある想像上の宮殿を「竜宮(龍宮)」というように、竜は水との関係が深いものです。

これは、竜がヘビと同一のものとされていたため、日本の代表的な水神であるヘビと結びけられたものである。

「竜に九似あり」というように、竜の姿は、角が鹿、頭がラクダ、目が鬼もしくはうさぎ、首がヘビ、腹は蜃(巨大なハマグリ)、鱗は鯉、爪はタカ、掌は虎、耳はに似るといわれます。

竜の起源は、寒冷で絶滅したワニが伝説化したものであると、ワニ学者の青木良輔氏は主張しています。

7.溜飲が下がる(りゅういんんがさがる)

溜飲が下がる

溜飲が下がる」とは、「不平や不満、恨みなどがなくなり、気が晴れる」ことです。

溜飲とは、消化不良のため胃の中の飲食物がとどこおり、酸っぱい胃液が込み上げてくることです。

この溜飲が下がるということは、わだかまっていたものが消え、胸がすっきりするということです。

そこから、憂鬱だった気分が晴れることを「溜飲が下がる」と言うようになりました。