エモい古語 言葉(その2)二字熟語 光芒・赫灼・永訣・蠱惑・紫電・首魁・逍遥・彷徨

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光芒

前に「エモい古語辞典」という面白い辞典をご紹介しました。

確かに古語は現代の我々が普段あまり使わない言葉ですが、繊細な情感を表す言葉や、感受性豊かで微妙な感情を表す言葉、あるいはノスタルジーを感じさせたり、心を動かされる魅力的な言葉がたくさんあります。

そこで「エモい古語」をシリーズでご紹介したいと思います。

1.光の二字熟語

・光芒(こうぼう):細長くのびる一筋の光。または、雲の切れ間から太陽の光が放射線状に地上に降り注いで見えること。後者については、薄明光線(はくめいこうせん)、

天使の梯子(てんしのはしご)、レンブラント光線とも言います。

宮沢賢治は、光でできたパイプオルガン(「告別」)と表現しました。

・幻光(げんこう):まぼろしのように一瞬で消える光。

・燐光(りんこう):腐敗した生物などから生じた黄燐(おうりん)が空気中で酸化するときに発する青白い光。

・赫灼(かくしゃく):光り輝いて明るいさま。「赫」は、あかあかと燃えるように輝くこと。赫焉(かくえん)・赫々(かっかく)は、あかあかと光り輝くさま。

・燦然(さんぜん):きらきらと光り輝くさま。燦々(さんさん)は、きらきら輝いて美しいさま。

・皎然(こうぜん):白く光るさま。

・繚乱(りょうらん):花などが咲き乱れるさま。

・玲瓏(れいろう):玉、音、空気などが透き通って美しいさま。

・蒼翠(そうすい):樹木などがあおあおとしているさま。

・蒼海/滄海(そうかい):広く青々とした海。滄溟(そうめい)。

・蒼蒼(そうそう):空や草木などがあおあおとしているさま。または月が青白いさま。

・蒼茫(そうぼう):あおあおとして果てしなく広いさま。

2.闇の二字熟語

・昏冥(こんめい):暗闇。

・黒暗(こくあん):まっくらなこと。暗黒。黒暗暗(こくあんあん)は墨を流したようにまっくらなこと。

・宿痾(しゅくあ):長年治らない病。持病。

・永訣(えいけつ):永遠の別れ、または死別。

・鏖殺(おうさつ):皆殺しにすること。

・斃死(へいし):野垂れ死に。

・行尸(こうし):歩いている死体。形だけで魂がない人のたとえ。行尸走肉(こうしそうにく)。

・走屍(そうし):走る死体。生きていても役に立たない者のたとえ。

・蜜人(みつじん):ミイラ(木乃伊)。

・屍蝋/死蝋(しろう):何らかの理由で腐敗をまぬがれ、脂肪が蝋化した死体。ミイラと同じく永久死体の一種。

・挽歌(ばんか/ひきうた):人の死を悼み、悲しむ歌。葬式の際に柩(ひつぎ)を引く時の歌。

・九泉(きゅうせん):死後の世界。地の底の冥界。九泉の下(きゅうせんのもと)・幽都(ゆうと)とも言います。

・血祀(けっし):動物のいけにえを供して先祖の霊をまつる祭祀。

・桎梏(しっこく):手枷(てかせ)と足枷(あしかせ)。自由を束縛するもの。

・冥契(めいけい):異形の者や妖怪と結婚すること。あるいは言葉にしなくても心が通じ合うこと。

・幽鬼(ゆうき):死者の霊魂。亡霊。

・邪鬼(じゃき):人間に祟りをする鬼。もののけ。仏像では仁王像や四天王像に踏まれている小型の鬼類を指します。

・妖姫(ようき):妖気を感じさせるほどなまめかしい美女。または美女の姿をした化け物。

・妖蠱(ようこ):人を迷わせるほど妖しく美しいこと。

・蠱惑(こわく):美しさや妖しい魅力で人を惑わすこと。

・魔睡(ますい):魔力にかかったような深い眠り。

・暗愁(あんしゅう):どこからともなくやってくる、悲しい物思い。

・厭忌(えんき):いやがり忌み嫌うこと。

・落魄(らくはく):落ちぶれること。零落(れいらく)。

・梟雄(きょうゆう):残忍で荒々しいこと。古来フクロウ(梟)は母を食べる悪鳥とされ、獰猛なもの、凶悪なものにたとえられてきました。

・凡俗(ぼんぞく):ありふれていてとりえのないこと。

3.自然の二字熟語

・刹那(せつな):極めて短い時間。瞬間。

・瞬刻(しゅんこく):ごくわずかな時間。

・天涯(てんがい):天の果て。

・天末(てんまつ):地平線を地の果てではなく、天の果てとして捉えた言葉。

・穹窿(きゅうりゅう):半球状のもの。大空。

・虚空(こくう):天と地の間。何もない空。

・胡天(こてん):異国の空。

・紫電(しでん):紫色の稲妻。転じて研ぎ澄まされた刀剣や眼光の光を指します。

・曠野(こうや):広々とした野原。

・翠微(すいび):薄緑色に見える山の様子。あるいは山の八合目あたり。

・空漠(くうばく):果てしなく広がっているさま。茫漠(ぼうばく)。

・杳遠(ようえん):はるか遠いさま。

・幺微(ようび):かすか。極めて小さいさま。

・銀濤(ぎんとう):白く泡立つ波。

・銀波(ぎんぱ):月光などが映って銀色に輝く波。

・荊棘(けいきょく):イバラなどのとげのある木。

・伏兎(ふくと):伏せて隠れるウサギ。

・滴声(てきせい):葉や花などから雨のしずくが落ちる音。

・凛冽(りんれつ):寒さの厳しいさま。

4.人の二字熟語

・夢痕(むこん):夢の痕跡。終わった夢のあとかた。

・夢境(むきょう):夢の世界。

・隻影(せきえい):たったひとつの影。孤影(こえい)。

・片影(へんえい):わずかに見えた姿。

・閃影(せんえい):さっとひらめいて過ぎる姿。

・首魁(しゅかい):グループの頭。特に悪事の首謀者。魁首(かいしゅ)。

・眷属(けんぞく):血筋のつながっている者。一族の者。または家来。

・空賊(くうぞく):航空機などで襲撃・掠奪行為をする盗賊のこと。

・豺狼(さいろう):ヤマイヌとオオカミ。残酷で貪欲な人のたとえ。

・氷肌(ひょうき):氷のように透き通った清らかな肌。氷肌玉骨(ひょうきぎょっこつ)でウメの花枝のたとえ、また美しい人の形容。

・香魂(こうこん):花の精。または美人の魂。

・双眸(そうぼう):左右両方のひとみ。

・緋唇(ひしん):赤いくちびる。

・嫣然(えんぜん):美女がほほえむさま。

・莞爾(かんじ/にっこり):にっこりほほえむさま。

・哀艶(あいえん):美しさのなかに哀しみが感じられるさま。

・花奢(きゃしゃ):上品で優雅なさま。風流。伊達(だて)。

・凛凛(りり):きりりとひきしまったさま。

・瑕瑾(かきん):すぐれているものの中にあるわずかな欠点。

・跪拝(きはい):ひざまずいて礼拝すること。拝跪(はいき)。

・眩暈(げんうん):めまい。

・哄笑(こうしょう):高笑いすること。

・逍遥(しょうよう):気が向くまま、あちこち歩き回ること。

・彷徨(ほうこう):さまよう(漢字で「彷徨う」)こと。

・午睡(ごすい):昼寝。

・超克(ちょうこく):乗り越え、打ち勝つこと。

・服妖(ふくよう):奇怪な服装をすること。古代中国では天下に異変が起こる予兆と考えられました。

・睥睨(へいげい):にらみつけて圧を感じさせること。

・放埓(ほうらつ):勝手気ままにふるまうこと。酒や色事に夢中になること。

・悪謔(あくぎゃく):悪ふざけをすること。

・哀憐(あいれん):哀しみ、あわれむこと。

・哀傷(あいしょう):(人の死などを)悲しみ、物思いに沈むこと。

・慟哭(どうこく):悲しみのあまり大声をあげて泣くこと。

・鬼胎(きたい):ひそかなおそれ。

・垂翅(すいし):翼をたれること。転じて、失意で打ちひしがれている様子。

・怯懦(きょうだ):臆病でいくじがないこと。

・懶惰(らんだ):何もせずに無駄に過ごすこと。

・風交(ふうこう):手紙のやりとりをすること。

・哀歌(あいか):悲しい気持ちを表した詩や歌。エレジー。

・凱歌(がいか):戦いの勝利を祝う喜びの歌。

・絶唱(ぜっしょう):極めてすぐれた詩や歌。言葉では言い表せないほどすぐれていること。

・詩林(しりん):詩や文章を集めたもの。詩人が集まっている場所。

・詞藻(しそう):美しい言い回し。文章や詩歌。

・奇譚(きたん):珍しくて不思議な話。

・伝奇(でんき):実際には起こりそうもない幻想的で怪奇的な物語。

・陥穽(かんせい):落とし穴、わな。

・玉楼(ぎょくろう):宝玉で飾った高い宮殿。

・空宮(くうきゅう):人のいない宮殿。

・玉壺(ぎょくこ):玉でつくった壺。

・供物(くもつ):神仏へのささげもの。

・羂索(けんじゃく/けんさく):鳥や動物を捕えるわな。「羂」は「わな」の意。仏教では五色の糸をより合わせた縄状の仏具で衆生救済の象徴とされ、不動明王、千手観音、不空羂索観音などが持ちます。

・嚆矢(こうし):かぶら矢。昔の中国では戦いを始める時にまず敵陣にかぶら矢を放っていたことから、物事の始まりを指します。

・緋緒(ひお):緋色の糸やひも。

・秘鑰(ひやく):秘密の鍵。秘密や謎などを解き明かす隠された手がかり。

・揺籃(ようらん):ゆりかご。物事が発展する初期段階。

・襤褸(らんる):ぼろぼろの服。またはぼろきれ。