「一」から「万」の数字を含むことわざ・慣用句(その7)「七」

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色の白いは七難隠す

数字を含むことわざ・慣用句と言えば、「三人寄れば文殊の知恵」とか「三つ子の魂百まで」などたくさんあります。

前回は「人数・年齢・回数・年月や時間・距離・寸法」を表す数字を含むことわざ・慣用句を紹介しました。そこで今回は、その他の「一」から「万」までの数字を含むことわざ・慣用句をまとめてご紹介したいと思います。

なお面白い数字の単位についての話は、前に「数字の単位は摩訶不思議。数字の不思議なマジック・数字の大字も紹介!」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧下さい。

7.「七」を含むことわざ・慣用句

(1)色の白いは七難隠す(いろのしろいはしちなんかくす):色白の女性は、顔かたちに多少の欠点があっても、それを補って美しく見えるということ。女性は肌が色白のほうが、美しく見えて得をしやすいということ。

「七難」は、多くの欠点・難点のこと。

(2)親の七光り(おやのななひかり):親の威光によって子が恩恵を受けること。また、親の名声や地位を子が大いに利用すること。

「親の光は七光り」とも言います。

親の七光り

「七光り」の「七」は、数が多いことを表します。親の威光が子に及んで、あらゆる余沢を受けることを言います。

親の社会的地位や名声のおかげで、子が得を得たり、それを大いに利用すること。多く、子の実力によるものではなく、子が親の恩恵を受けて成功した場合に使われます。

(3)無くて七癖(なくてななくせ):どんな人でも多少は癖があるものだということ。

「七」は数の多いことを表し、「無くて」の「な」の音に調子を合わせたもの。

なくて七癖

(4)七転び八起き(ななころびやおき):何度失敗してもくじけず、立ち上がって努力すること。転じて、人生の浮き沈みの激しいことのたとえ。七度転んでも八度起き上がる意から。

「転」は「顛」とも書きます。四字熟語では「七転八起(しちてんはっき)」。

七転び八起き

(5)七下がり七上がり(ななさがりななあがり):人の一生は浮き沈みが激しく、不安定であることのたとえ。

「七」は多いことの意味で、上がり下がりを何度も繰り返すことを表します。

(6)彼岸過ぎまで七雪(ひがんすぎまでななゆき):春の彼岸を過ぎても、雪がたびたび降ること。

「七雪」は、七回雪が降る意から、たびたび雪が降ること。

「暑さ寒さも彼岸まで」に対していうことわざです。

(7)木七竹八塀十郎(きしちたけはちへいじゅうろう):木を切るには七月、竹を切るには八月、土塀を塗るのは十月が適しているということ。

月はいずれも陰暦で、人名のように語呂をあわせて覚えやすくしたもの。

(8)人の七難より我が十難(ひとのしちなんよりわがじゅうなん):人の欠点は少しのことでも気がつくが、自分の欠点はなかなか気がつかないということ。

「難」は欠点のこと。

「人の七難より我が八難」「人の七難は見ゆれど我が十難は見えず」とも言います。

(9)七年の病に三年の艾を求む(しちねんのやまいにさんねんのもぐさをもとむ):事態が差し迫って慌てても間に合わないので、日ごろの心がけが大事だということ。

七年もの間病気に苦しんだあとで、三年乾かさないといけない上等の艾を求めるということから。

(10)赤子のうちは七国七里の者に似る(あかごのうちはななくにななさとのものににる):赤ん坊ははっきりした特徴がないので、似ていると思って見ればあちこちの誰にでも似て見えるということ。「七国七里」は諸所方々のこと。

(11)朝起きは七つの徳(あさおきはななつのとく):朝早く起きるとなにかしらいい事があるということ。「徳」は「得」と同じ。

(12)朝茶は七里帰っても飲め(あさちゃはしちりかえってものめ):朝の茶は一日の災難よけなので、飲み忘れて旅立ちしたら、たとえ七里の道を戻ってでも飲むべきだということ。

<類義語>

・朝茶に別れるな

・朝茶はその日の祈祷

(13)浮世は衣装七分(うきよはいしょうしちぶ):とかく世間では外見を重んじ、うわべで内容を判断しがちだということ。

七分は十分の七のことで、衣装で七分がた評価が下される意から。

(14)兎も七日なぶれば噛みつく(うさぎもなぬかなぶればかみつく):おとなしい人でも、たびたび辱めを受けるとついには怒るというたとえ。

おとなしい兎でも七日もいじめられればついには噛みつくというたとえ。

(15)男心と秋の空は一夜に七度変わる(おとこごころとあきのそらはいちやにななたびかわる):男の愛情は、秋の空模様のように変わりやすいということ。

(16)金の光は七光(かねのひかりはななひかり):金持ちの威光が広く及ぶようす。

「七光り」は親などの威光で利益を受けること。

(17)狐七化け、狸は八化け(きつねななばけ、たぬきはやばけ):狐は七つのものに化けることができるが、狸は八つのものに化けられるということ。

狐よりも狸のほうが化けるのが上手だということ。

「狐の七化け狸の八化け」とも言います。

(18)七歩の才(しちほのさい):詩文を作る才能が非常にすぐれていること。また、詩作の早いこと。魏の曹植が、兄の文帝(曹丕)に七歩あゆむ間に詩を作れと命じられてただちに作ったという故事から。

(19)男女七歳にして席を同じゅうせず(だんじょしちさいにしてせきをおなじゅうせず):人は七歳にもなれば、男女の別を明らかにしてみだりに慣れ親しんではならないということ。

男女は七歳になったら同じ敷物に座るべきではないという儒教の道徳から。

(20)竹林の七賢(ちくりんのしちけん):中国晋代に、俗世間を避けて竹林に集まり、清談を行った七人の隠者のこと。阮籍・嵆康・山濤・向秀・劉伶・阮咸・王戎の七人。

(21)弟子七尺去って師の影を踏まず(でししちしゃくさってしのかげをふまず):師につき従う時、弟子は七尺ほど後ろを歩いて、師の影を踏んではいけないということ。

弟子は師を敬い礼儀を失わないように心がけるべきであるという戒めの言葉。

「七尺去って師の影を踏まず」「三尺下がって師の影を踏まず」とも言います。

(22)七重の膝を八重に折る(ななえのひざをやえにおる):この上ないほど丁寧な態度で、頼みごとをしたり詫びたりする様子。

実際には二重にしか折れない膝を、七重にも八重にも折りたいほどの気持ちだということ。

(23)七つ道具(ななつどうぐ):七種の道具のこと。また一組にして携行する道具のこと。

・武士の七つ道具:具足・刀・太刀・矢・弓・母衣・兜
・弁慶の七つ道具:鉄熊手、大槌、大鋸、まさかり、つく棒、さすまた、そでがらめ
・大名行列の七つ道具:槍・薙刀・台笠・馬印・挟箱・立傘・大鳥毛。
・選挙の七つ道具:選挙事務所標札、拡声機表示板、自動車・船舶表示板、街頭演説用標記旗(幟の形をしている)・腕章、個人演説会用立札、乗車・乗船用腕章

(24)七つ七里憎まれる(ななつななさとにくまれる):七歳頃の男の子はいたずら盛りで、近くの村々の憎まれっ子になるということ。「七里」は、多くの村々の意。

(25)七尋の島に八尋の船を隠す(ななひろのしまにやひろのふねをかくす):やっても無駄なことのたとえ。
「尋」は長さの単位。七尋しかない島に八尋の船を隠すとの意から。

(26)七日通る漆も手に取らねばかぶれぬ(なぬかとおるうるしもてにとらねばかぶれぬ):物事に直接かかわらなければ、害を受けることはないというたとえ。

漆の木のそばを何度通っても、手で触れなければかぶれることはないことから。

(27)猫を殺せば七代祟る(ねこをころせばしちだいたたる):猫は執念深いので、殺せば子孫七代まで祟りがあるという俗説。

(28)七細工八貧乏(しちざいく、はちびんぼう):なんでもできるような器用な人は一つの事に専念できずにどれも中途半端になってしまい、そのためにかえって貧乏するということ。

「八細工七貧乏(はちざいく、しちびんぼう)」とも言います。

(29)花七日(はななぬか):盛りの時期の短いことのたとえ。桜の花の盛りが七日しかない意から。

(30)人に七癖、我が身に八癖(ひとにななくせ、わがみにやくせ):他人の癖は目につきやすが、自分の癖にはなかなか気がつかないから自戒せよということ。