「一」から「万」の数字を含むことわざ・慣用句(その14)「三十」「三十六」「三十九」「四十」

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兵法三十六計

数字を含むことわざ・慣用句と言えば、「三人寄れば文殊の知恵」とか「三つ子の魂百まで」などたくさんあります。

前回は「人数・年齢・回数・年月や時間・距離・寸法」を表す数字を含むことわざ・慣用句を紹介しました。そこで今回は、その他の「一」から「万」までの数字を含むことわざ・慣用句をまとめてご紹介したいと思います。

なお面白い数字の単位についての話は、前に「数字の単位は摩訶不思議。数字の不思議なマジック・数字の大字も紹介!」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧下さい。

14.「三十」「三十六」「三十九」「四十」を含むことわざ・慣用句

(1)三十六計逃げるに如かず(さんじゅうろっけいにげるにしかず):計略には様々なものがあるが、形勢が不利になったときは、あれこれ思案するよりも、逃げてしまうのがいちばんよい。転じて、面倒なことが起こったときには、逃げるのが得策であるということ。

三十六計逃げるに如かず

三十六計」とは、中国古代の兵法にある三十六種類の計略のことで、多くの計略を表します。
形成が不利になったときは、あれこれと策を練るよりも逃げるべき時に逃げて身を守る方法もあるということ。
『南斉書・王敬則伝』に「壇公の三十六策、走ぐるは是れ上計なり」とあります。

(2)うかうか三十きょろきょろ四十(うかうかさんじゅうきょろきょろしじゅう):歳月の過ぎるのが早く、人生が無為に過ぎることのたとえ。

うかうか過ごしているうちに三十代になり、きょろきょろしている間に四十代になってしまうとの意から。

(3)三十九じゃもの花じゃもの(さんじゅうくじゃものはなじゃもの):三十九歳はまだ三十代、これからが盛りで人生の花を咲かせる時期だということ。

「四十四十と人言うけれど三十九だもの花だもの」という俗謡から。

(4)三十の尻括り(さんじゅうのしりくくり):三十歳にもなると、後始末すべき事柄もきちんとまとめて、堅実な生活をするようになるということ。

(5)三十振袖、四十島田(さんじゅうふりそで、しじゅうしまだ):女性が年齢に不相応な若づくりをすること。

若い女性が着る振袖を三十代の女性が着たり、四十代の女性が年頃の女性のように島田まげを結ったりするとの意から。

(6)四十肩に五十腕(しじゅうかたにごじゅううで):四十歳、五十歳頃になると、身体のあちこちが痛んで動きが悪くなることをいう言葉。

(7)三十にして立つ(さんじゅうにしてたつ):三十歳で自己を確立し独立すること。

(8)四十にして惑わず(しじゅうにしてまどわず):四十歳にもなれば道理を理解して迷わなくなるということ。
「不惑」とも言います。

(9)四十がったり(しじゅうがったり):四十歳になったとたんに体力が衰え始めるということ。

(10)四十くらがり(しじゅうくらがり):四十歳頃になると、視力も衰え始めるということ。

(11)四十過ぎての道楽と七つ下がって降る雨は止みそうで止まぬ(しじゅうすぎてのどうらくとななつさがってふるあめはやみそうでやまぬ):中年になってから始めた道楽と、七つ下がりに降り出した雨は、なかなかやまないということ。

「七つ下がり」は午後四時過ぎのこと。

(12)末四十より今の三十(すえしじゅうよりいまのさんじゅう):将来多く得ることができるよりも、たとえ少なくても今すぐ確実に得たほうがよいということ。

「四十」を「始終」に掛けた言葉。

(13)人の意見は四十まで(ひとのいけんはしじゅうまで):40歳を過ぎた人間に意見をしても効果がないということ。また、それくらいの年齢になると、本人の考えを尊重すべきであるということ。

(14)有知無知三十里(ゆうちむちさんじゅうり):知恵のある者と知恵のない者には、大きな差があることのたとえ。

魏の曹操が楊脩を従えて曹娥の墓碑のそばを通ったとき、碑文の意味を楊脩はすぐに理解できたが、曹操は三十里先でやっと理解できたという故事から。